未見の星座〈コンステレーション〉―つながり/発見のプラクティス @ 東京都現代美術館


淺井裕介「泥絵・祝福のダンス」2011年 ウォールアート・フェスティバル2011 撮影:三村健二 Courtesy of Wall Art Project, ARATANIURANO 【参考図版】

未見の星座〈コンステレーション〉―つながり/発見のプラクティス
2015年1月24日(土)-3月22日(日)
東京都現代美術館
http://www.mot-art-museum.jp/
開館時間:10:00-18:00(入場は閉館30分前まで)
休館日:月

東京都現代美術館では、7人のアーティストによる7つの物語を通じて、現代社会の中で私たちを取り囲む大量の言葉やイメージにつながりを見出だし、「コンステレーション」を発見するためのプラクティスを試みる企画展『未見の星座〈コンステレーション〉―つながり/発見のプラクティス』を開催する。企画は、『伊藤公象 WORKS 1974-2009』(2009)や『MOTアニュアル2014 フラグメント―未完のはじまり』を手掛けた森千花(東京都現代美術館学芸員)。

紀元前何千年も前から、人々はその土地、その民族ならではの神話や伝説、宇宙観を夜空に描き出し、無限の想像力を働かせて、星座(=コンステレーション)を創造してきた。また、心理学においても、ある人の心の中の状況と偶然に起こる外的な出来事がふいに結びつき、全体として星座のようにまとまった意味として感知・理解されることを「コンステレーション」と呼んでいる。本展では、一見バラバラに見えるものや起こる事象に対し、無意識に何らかの連鎖を見い出し、意味づけするというわれわれ人間のこのような傾向を、人間が広大な世界と対峙するために強化された認知のメカニズムのひとつと捉え、世界にばらまかれた点と点の「つながり」を発見し、新たな「星座」をつかまえようとする作家たちの試みを紹介する。

出品作家の山本高之は、こどもの会話や遊びに潜む創造的な感性を取り込んだ作品で知られ、本展では「未知なるもの」を目の前にしたこどもの表情を丹念に記録し、複数の情報を繋げて、「知る」に至ることの複雑なプロセスの可視化に迫る映像作品を出品する。「星座」を知覚する脳のメカニズムの再考を促す大﨑のぶゆきの映像作品とともに、世界のどこかに潜むまだ見ぬつながりを発見するための「問いかけ」、次なる何かを生み出すための「プラクティス」を観客に促す。


Above: 大﨑のぶゆき「water drawing-stardust-」2007-08年. Below: 北川貴好「アカリノラウンジ 長者町の光」2010年【参考図版】

北川貴好は東京都現代美術館をテーマに、建築の表裏を可視化しつつ「美術館という状態」を維持するためのシステムを問うインスタレーションをつくりあげ、志村信裕は美術館のある下町の歴史を紐解き、そこに眠る歴史や物語を新たな映像作品へと紡ぎ直す。伊藤久也は美術館近隣の深川資料館通り商店街の店主らを対象に、店のひそやかな歴史に光を当てる「みせを小さい彫刻に。」プロジェクトを実地し、同商店街での展示を行なう。伊藤と同じく、同商店街でのアートプロジェクトを予定する淺井裕介は、美術館内に美術館近隣の土と海外の土を使った大規模な「泥絵」壁画を制作する。

「切手」というフォーマットを用いて、日々の生活に潜む歴史的・社会的な意味や物語を喚起するインスタレーションなどを制作してきた太田三郎は、美術館の近くから300年以上前に漂泊の旅に出た松尾芭蕉の『おくの細道』をテーマにした作品を発表するとともに、伊藤や淺井の深川資料館通り商店街でのプロジェクトと同じく、開館20周年記念プログラム「地域とつながるサテライト・プログラム」として、美術館の外へと「植物の種」を探しながら木場公園へと小さな旅に出かけるプログラムを実施する。また、同プログラムとして、北川貴好プレゼンツ「みっける!アーティストと子供フェスティバル」も予定されている。

会期中には、淺井裕介の公開制作や志村信裕によるイベント「文庫カバー屋台」、上述した開館20周年記念プログラム「地域とつながるサテライト・プログラム」などを予定。なお、同時開催は、『ガブリエル・オロスコ展 ―内なる複数のサイクル』(1月24日-5月10日)、『菅 木志雄 置かれた潜在性』(1月24日-3月22日)。開館20周年記念 MOTコレクション特別企画『コレクション・ビカミング』(1月24日-6月28日)では、収集と保存に着目した展示構成で、ナム=ジュン・パイクの「TV時計」や山川冬樹「The Voice-Over」、伊藤公象の「アルミナのエロス(白い固形は…)」などを展示、教育普及プログラムと連携したセクションも設けられる。


太田三郎「バードネット―世界はつながっている」2004年 撮影:岡部信幸

関連イベント
淺井裕介による公開制作
2015年1月24日(土)、25日(日)11:00-15:00

志村信裕によるイベント「文庫カバー屋台」
2015年3月22日(日)11:00-
定員:20名(先着)
※持参したお気に入りの文庫1冊に、作家がブックカバーをかけてプレゼント。

淺井裕介によるクロージングイベント「泥絵の終わり」
2015年3月22日(日)17:00-

開館20周年記念プログラム「地域とつながるサテライト・プログラム」
太田三郎による「太田散歩」
2015年2月28日(土)13:00-15:30
2015年3月1日(日)13:00-15:30
対象:中学生以上の大人、各日12名、無料、要予約
※作家と一緒に「植物の種」を探しながら木場公園へと小さな旅に出かける

伊藤久也による「みせを小さい彫刻に。」プロジェクト
2015年1月24日(土)-3月22日(日)
※深川資料館通り商店街にて展示。

淺井裕介による商店街プロジェクト
2015年1月24日(土)-3月22日(日)
※深川資料館通り商店街にて展示。

北川貴好プレゼンツ「みっける!アーティストと子供フェスティバル」
2015年3月21日(土)10:00-17:00
2015年3月22日(日)12:00-16:00
対象:2日間参加できる小・中学生とその保護者、無料、要予約
※美術館を飛び出して30秒に1回、風景の中に何かを“みっける”ワークショップ。撮影した写真は編集して映像作品に。アーティストとの共同制作。
3月22日15:00からの映像発表会は誰でも参加可能。

※そのほかの関連イベントは美術館公式ウェブサイトを参照。

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