ⒸValérie Massadian
「映画」と「彫刻」という異なる表現領域で活躍する二人のポルトガル人アーティストによる異色の展覧会。
原美術館に繰り広げられる光と影、動と静―相反する要素が対決し、生み出される空間、時間とは。
「映画」と「彫刻」という異なる表現領域で国際的に活躍するポルトガルの鬼才、ペドロ コスタとルイ シャフェス。ドキュメンタリーとフィクションの境界線に立つユニークな映画監督ペドロ コスタは、ロカルノ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で受賞するなど高い評価を受け、静謐な映像美と破壊的な世界観の共存する作品で観客を魅了し続けています。またルイ シャフェスは、ヴェネツィア ビエンナーレ、サンパウロ ビエンナーレ等の国際展にポルトガル代表として出品するなどの活躍を見せ、主に鉄を用いて彫刻表現のさまざまな可能性を追求しています。
プライベートでも親しい二人が、日本映画の巨匠小津安二郎監督に敬意を表し「MU[無]」と名付けた本展は、邸宅としての記憶が存在する原美術館の空間を意識して制作された新作を加えた映像インスタレーション4点、彫刻6点の計10点で構成されます。ペドロ コスタの代表作「ヴァンダの部屋」「コロッサル・ユース」の映像素材が、ルイ シャフェスの鉄の彫刻とともにインスタレーションとして新たな形で提示されるのも見どころの一つです。光と影、動と静―相反する要素が対決し、生み出される空間、時間とは―異なる二つの才能が出会うこの異色の展覧会で、一期一会の体験をして頂ければ幸いです。
ペドロ コスタ 「カザル ダ ボバ地区」 2005年、映像インスタレーション、所蔵:セラルヴェス美術館
ルイ シャフェス 「私が震えるのを見よ」 2005年、鉄にペイント、241(高さ) x 372 x 117 cm、所蔵:セラルヴェス美術館
【開催要項】
展覧会名 MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス
(英題 MU─Pedro Costa & Rui Chafes)
会期 2012年12月7日[金]‐2013年3月10日[日]
会場 原美術館
東京都品川区北品川4-7-25 〒140-0001
Tel 03-3445-0651(代表)
Fax 03-3473-0104(代表)
E-mail info@haramuseum.or.jp
ウェブサイト http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ https://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
Twitter http://twitter.com/haramuseum (アカウント名 @haramuseum)
主催 原美術館、ポルトガル大使館
助成 EU・ジャパンフェスト日本委員会
特別協力 セラルヴェス美術館
協力 シネマトリックス、アテネ・フランセ文化センター
開館時間 11:00 am-5:00 pm(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館 時刻の30分前まで)
休館日 月曜日(祝日にあたる12月24日、1月14日、2月11日 は開館し、翌12月25日、1月15日、2月12日は振替休館)、年末年始(12月28日[金]‐1月4日[金])
入館料 一般1,000円、大高生700円、小中生500円/原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高生の入館無料/20名以上の団体は1人100円引
交通案内 JR「品川駅」高輪口より徒歩15分/タクシー5分/都営バス「反96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩3分。
*日曜・祝日には当館学芸員によるギャラリーガイドを行ないます。(2:30pmより30分程度)
【関連イベント】
連続講演会
第1回 12月8日[土] 1:00 – 3:00pm アーティストトーク ペドロ コスタ&ルイ シャフェス
第2回 12月16日[日] 2:30 – 4:00pm 講演 杉田敦 「ポルトガルの現代美術について」(美術批評家・女子美術大学教授)
第3回 1月30日[水] 7:00 – 8:30pm 講演 港千尋 「空虚(ヴォイド)と映画-インスタレーションをめぐって」(写真家、映像人類学者、多摩美術大学教授) *新日時が決定しました(12/26追記)。
第4回 12月22日[土] 2:00 – 4:00pm 講演 諏訪敦彦 「存在の彼方へ—ペドロ コスタの映画空間」(映画監督・東京造形大学学長)+ペドロ コスタ短編映画上映
第5回 2月2日[土] 2:30 – 4:00 講演 瀬下直樹(建築家)
(このほかにも準備中のイベントプログラムがございます)
イベントはすべて有料・予約制です。
第4、5回の募集開始日:2013年1月9日[水] 11:00 am~
イベント詳細はこちらへ。
【本展と連動した映画上映プログラム】
「MU[無]-ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」開催記念上映
◎「特集上映:ペドロ・コスタ、ルイ・シャフェスの選ぶカルト・ブランシュ」
12月1日[土]-12月3日[月]、12月7日[金]-12月13日[木]
オーディトリウム渋谷(東京)にて、二人が選ぶお気に入りの映画約10本(ゴダール、タルコフスキー、ドライヤー、小津など)を上映。また、ペドロ コスタの『ヴァンダの部屋』『コロッサル・ユース』も併映。http://a-shibuya.jp
◎「『終焉のさなかに』/『映画作家ペドロ コスタ/オール・ブロッサムズ・アゲイン』特別上映(仮題)」
12月5日[水]、7日[金] 6:30pm -/2本立て/デジタル上映/両作とも日本語字幕付き/一般1,000円、会員割引あり アテネ・フランセ文化センターにて。http://www.athenee.net/culturalcenter
・『終焉のさなかに』(During the End/2003/70分/監督:ジョアン トラブロ)
ルイ シャフェスの芸術世界に迫るドキュメンタリー。作品と制作現場、インタビュー、彼が影響を受けたアーティスト達から想を得た映像等。
・『映画作家ペドロ コスタ/オール・ブロッサムズ・アゲイン』(All Blossoms Again/2007/51分/監督:オーレリアン ジェルボー)
「コロッサル・ユース」制作中のペドロ コスタ監督を記録。「骨」、「ヴァンダの部屋」、「映画作家ストローブ=ユイレ/あなたの微笑みはどこに隠れたの?」等の映像を交えつつ、コスタの映画観を紐解く。
【追加情報】
第13回東京フィルメックスにてペドロ コスタ監督最新作を含むオムニバス映画「ギマランイス歴史地区(仮題)」上映。11月27日[火] 21:30 – TOHOシネマズ日劇、12月2日[日] 6:00pm – 有楽町朝日ホール
(※2日は監督登壇有) http://filmex.net/2012
【本展のなりたち】
ペドロ コスタとルイ シャフェス。一方は映画、一方は彫刻と、一見水と油のように異なる表現領域で活躍するこの二人は、ポルトガル現代芸術を代表するアーティストとして国際的に活躍しています。本展はプライベートでも仲の良い友人である二人がコラボレーションし、美術館という空間で作品による対話を試みる異色の企画展です。
彼らのコラボレーションの始まりは、2005年にポルトガル第二の都市ポルトのセラルヴェス美術館で開催した「FORA! / OUT!」展*にさかのぼります。ペドロ コスタはせんだいメディアテークでの展覧会や山形国際ドキュメンタリー映画祭審査員、東京造形大学客員教授など、日本にも少なからぬ縁があります。一方、ルイ シャフェスは原美術館の別館ハラ ミュージアム アークで開催した「ポルトガル現代美術展」(1993年)に出品、来日した経験があります。また、揃って日本映画の巨匠小津安二郎監督を敬愛するという共通点もあります。そこで二人は「FORA! / OUT!」展を発展させ、東京の原美術館において、同展の再現ではなく新たなコラボレーションを行うというアイデアにいたりました。そしてこのたび、ポルトガル大使館の支援で実現する運びとなりました。
二人は原美術館の空間を実際に見てプランを練り、「FORA! / OUT!」展で発表した作品の中から映像インスタレーション2点と彫刻2点を選び、さらに新作の映像インスタレーション3点と彫刻3点を加え、展覧会タイトルも「MU[無]」と改めました。このタイトルも、小津安二郎の墓碑に刻まれた一文字「無」に触発されて二人が選んだものです。
【作家について】
ペドロ・コスタ(1959年生まれ)は、「ヴァンダの部屋」(2000年)や「コロッサル・ユース」(2006年)などを通し、一般的な劇映画の文法・話法にとらわれず、ドキュメンタリーとフィクションの境界線に立つユニークな映画監督として知られています。今回、「映画館」の「ロードショー」という空間的・時間的フォーマットではなく、「美術館」の「展覧会」という空間的・時間的フォーマットでの作品発表の試みも、彼の実験的姿勢の現れです。したがって鑑賞者を待ち受けているのは、映画館の客席で映画を観るのとは一味違う映像体験の空間と時間なのです。
ルイ シャフェス(1966年生まれ)は、主に鉄を素材とする彫刻家として活躍しており、ヴェネチアビエンナーレやサンパウロビエンナーレにもポルトガル代表として出品してきました。鉄にこだわりながら、「面」「線」あるいは「塊」、「置く」「ぶら下げる」あるいは「立てかける」など、彫刻的表現のさまざまなイディオムを駆使して、幅広い造形を手がけています。抽象とも具象ともとれる造形は暗示性・象徴性に富むと同時に、室内・野外を問わず作品を設置した空間と対話し、緊張を生み出しながら、空間全体を作品としての環境に書き換えていきます。
【作家の言葉より】
二人は1930年代の洋風個人邸宅を再生した原美術館には『住まいとしての記憶が存在する』ことと同時に建築的にも魅力を感じ、この中で『映画と彫刻という相異なる芸術言語の対決を模索』します。二人は『映画の《動》と彫刻の《静》は一見、対立しあう』が、老子の言葉から「家は窓や扉のある壁から成っているが、実のところ、その内にある空虚こそが家というものの本質である」を例に挙げ、『(鑑賞者の)動く影こそ、この《非妥協的な空間》に唯一存在するものである』と言います。(以上『』内は当館に出したコンセプトメモより引用)
【展覧会のみどころ】
プロジェクションによる映像インスタレーションと鉄の彫刻を、展示室の中でどのように「対決」させるのかが、本展のおもしろさのひとつです。「FORA! / OUT!」展から引き続き展示する作品のうち、ペドロ コスタの映像インスタレーション「少年という男、少女という女」は「ヴァンダの部屋」のために撮った映像素材を、もう一点「カザル ダ ボバ地区」は同じく「コロッサル・ユース」の映像素材を使っています。しかしいずれも映画館で発表する映画のフォーマットから逸脱した部分が、映像体験そのものの意味を問い直すものと言えます。ルイ シャフェスが「FORA! / OUT!」展にも出品した彫刻、「私は寒い」と「私が震えるのを見よ」は、建物の一部か什器のようにも見え、しかし全く違うもののようにも見える不可思議なフォルムと、鉄の重量感や作品のボリュームが空間を緊張させる奇妙な力作です。二人はこれに3点ずつ新作を加えて構成する予定です。
*「FORA! / OUT!」展とは: 2005年10月から2006年1月にかけてセラルヴェス美術館にて開催。大型国際美術展「ドクメンタX」の芸術監督も務めたフランスのキュレーター、カトリーヌ ダヴィッドと、セラルヴェス美術館館長のジョアン フェルナンデスが共同でキュレーション。ペドロ コスタの映像インスタレーション4点とルイ シャフェスの彫刻6点を出品。鑑賞者が二人の作品と交互に出会う展示構成で、ジャンルを異にするアーティスト二人の空間的出会いの意外性と面白さが大きな反響を呼んだ。この好評もあり、二人は違う国、違う美術館でコラボレーションを発展させる機会を探り続けてきた。
【プロフィール】
ⒸValérie Massadian
ペドロ コスタ Pedro Costa
1959年リスボン生まれ。リスボン大学を経てアマドーラの国立映画演劇学校に学び、助監督で経験を積んだ後、長編映画の第一作「血」(1989年)を発表。移民が多く住むリスボンのスラム街にカメラを持ち込み、ドキュメンタリーとフィクションの区分を無効にするような野心的長編「ヴァンダの部屋」(2000年)を撮り、カンヌ国際映画祭、ロカルノ国際映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭で入賞し、絶賛される。その他の作品に「溶岩の家」(1995年)、「骨」(1997年)、「ヴァンダの部屋」の姉妹編とも言える「コロッサル・ユース」(2006年)など。日本ではせんだいメディアテークで展覧会+企画上映「ペドロ・コスタ 世界へのまなざし」(2005年)が行われた。
ルイ シャフェス Rui Chafes
1966年リスボン生まれ。リスボン芸術大学で彫刻を学んだ後、ドイツのデュッセルフドルフ芸術アカデミーに学び、主に鉄による彫刻を制作。90年代に入ると国際的に個展・グループ展への出品を重ね、ポルトガル現代美術界を代表する作家の一人となる。ヴェネチアビエンナーレ(1995年)、サンパウロビエンナーレ(2004年)などの大型国際展にもポルトガル代表として出品。日本ではハラ ミュージアム アーク(原美術館別館)の「ポルトガル現代美術展」(1993年)に出品している。また、美術館やアートセンターでの個展は、ポルトガル以外でもドイツ、イタリア、スペイン、デンマーク、ブラジルなどで開催している。
【出品作品】
既発表作品(4点/下記参照)に新作映像インスタレーション3点、彫刻3点を加えた計10点を予定。
ペドロ コスタ「少年という男、少女という女」2005年、映像インスタレーション(2画面)、所蔵:セラルヴェス美術館
ペドロ コスタ「カザル ダ ボバ地区」2005年、映像インスタレーション、所蔵:セラルヴェス美術館
ルイ シャフェス「私は寒い」2005年、鉄にペイント、273(高さ) x 130 x 124 cm
ルイ シャフェス「私が震えるのを見よ」2005年、鉄にペイント、241(高さ) x 372 x 117 cm、所蔵:セラルヴェス美術館
ペドロ コスタ 「少年という男、少女という女」 2005年、映像インスタレーション、所蔵:セラルヴェス美術館
ⒸPedro Costa Courtesy of the artist
ペドロ コスタ 「カザル ダ ボバ地区」 2005年、映像インスタレーション、所蔵:セラルヴェス美術館
ルイ シャフェス「私は寒い」2005年、鉄にペイント、273(高さ) x 130 x 124 cm
ⒸRui Chafes Courtesy of the artist
【映画×展覧会 三館共通割引】
原美術館「MU[無]─ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」展に併せ、オーディトリウム渋谷とアテネ・フランセ文化センター(お茶ノ水)において特集上映を行ないます。この3館の内1館で購入したチケット半券を他2館のいずれかにお持ち頂くと、入場料が割引になります。詳しくは各ホームページをご覧ください。
特集上映 「ペドロ・コスタ&ルイ・シャフェスのカルト・ブランシュ」
2012年12月1日[土]-12月13日[木] オーディトリウム渋谷 *200円引き
http://a-shibuya.jp/archives/4339
「終焉のさなかに」「映画作家ペドロ・コスタ/オール・ブロッサムズ・アゲイン」特別上映 2012年12月5日[水]、7日[金] アテネ・フランセ文化センター *200円引き
http://www.athenee.net/culturalcenter/program/c/c2.html
展覧会「MU[無]―ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」
2012年12月7日[金]-2013年3月10日[日] 原美術館 *100円引き
http://www.haramuseum.or.jp
* MU[無]展は12月7日[金]から開催いたします。
* 学生料金との併用可、他の割引との併用不可。
* 割引適用は上記の特集上映もしくは展覧会に限ります。また半券1枚につき1回のみ。
* アテネ・フランセ文化センターおよび原美術館の「会員」の方は、半券の代わりに会員証のご提示により割引になります。(但しオーディトリウム渋谷では原美術館会員のみ)
* 割引適用期間 上記の特集・特別上映期間中、原美術館では展覧会開催中の3月10日[日]まで。
《写真撮影についてのご注意》
本展に限り、作家の許可を得て撮影可能となっております。作品保護のため、下記をお守りください。
・撮影する作品および周囲の作品の安全を考慮してください。
・事故防止のため作品の接写を禁止します。
・フラッシュの使用を禁止します。
・動画の撮影を禁止します。
・三脚の使用を禁止します。
・プライバシーに配慮するため、ご来館のお客様に対する撮影は禁止します。
・他のお客様の観覧を妨げないようご注意ください。
・撮影した作品写真の営利目的での使用等、著作権を侵害する二次使用を禁止します。
・撮影禁止マークのついた常設作品の撮影を禁止します。
・混雑時には撮影を制限させていただく場合があります。あらかじめご了承ください。
《ご鑑賞について》
作品保護のため、下記をお守りください。
・作品には触らないでください。
・お子様をお連れの場合、大人の方が手をつないでご観覧ください。
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「MU[無]―ペドロ コスタ&ルイ シャフェス」
12月7日[金]-2013年3月10日[日]
「ソフィ カル―最後のとき/最初のとき」
2013年3月20日[水・祝]-6月30日[日]
坂田栄一郎「江ノ島」(仮題)
7月13日[土]-9月 29日[日]
原美術館とハラ ミュージアム アークはTwitterで情報発信中。
http://twitter.com/haramuseum (@haramuseum)
http://twitter.com/HaraMuseumARC (@HaraMuseumARC)
原美術館とハラ ミュージアム アークは割引券一覧iPhoneアプリ「ミューぽん」に参加。
http://www.tokyoartbeat.com/apps/mupon
原美術館ウェブサイト
http://www.haramuseum.or.jp
http://mobile.haramuseum.or.jp
原美術館へのアクセス情報はこちら。