福島秀子展 @ STANDING PINE 東京


福島秀子《Whither Blue (VII)》1982年

 

福島秀子展
2025年4月12日(土)-5月10日(土)
STANDING PINE 東京
https://standingpine.jp/
開廊時間:12:00–18:00
休廊日:日、月、祝
展覧会URL:https://standingpine.jp/exhibitions/138

 

STANDING PINE 東京では、実験工房のメンバーとしての領域横断的な表現とともに、制作初期より一貫して絵画における抽象表現を追求し、近年は東京都現代美術館のMOTコレクションでの特集展示をはじめ、再評価の高まる福島秀子の個展を開催する。

福島秀子(1927年東京生まれ)は、文化学院女学部を卒業し、日本アバンギャルド美術家クラブ主催のモダンアート夏期講習会に参加し、そこで出会った北代省三、山口勝弘、柳田美代子らと「七耀会」を結成。1951年に「実験工房」の結成に参加し、主に舞台美術や衣装デザインを担当しながら、弟の福島和夫とともにオートスライドによる映像作品なども発表した。一方、画家としても勢力的に活動し、1950年代半ばには「捺す」という行為によって円形、矩形や線状の形象を生み出し、さらに絵具を幾重にも重ね、かすれを伴う躍動的な筆致を交差させるスタンピング(型押し)の技法を確立。その制作は同時代にヨーロッパで隆盛した抽象絵画の潮流「アンフォルメル」とも共鳴し、フランスの批評家ミシェル・タピエをはじめとする国内外の専門家から高い評価を受け、パリ青年ビエンナーレ(1961)を皮切りにヨーロッパ各地の展覧会に参加し、国際的な舞台での活躍の場を広げた。その後もモノクロームによる「弧」シリーズや、福島が強い関心を寄せていた水と深く結びついた色彩である青を基調とした作品、パラフィン・ワックスを用いたコラージュなど、時代ごとに異なる手法を取り入れながら、一貫して静謐かつ探究的な姿勢を貫いた。1997年に逝去。

近年は実験工房の国際的な再評価だけでなく、福島の画業に対する再評価も進み、「特集展示|福島秀子:クロニクル 1964-」(東京都現代美術館、2012)、「実験工房展 戦後芸術を切り拓く」(東京都現代美術館、2013)、「Tokyo 1955–1970: A New Avant-Garde」(ニューヨーク近代美術館、2013)、「戦後芸術を切り拓く 実験工房」(2013-2014、神奈川県立近代美術館 鎌倉ほか)、「女性と抽象」(東京国立近代美術館2Fギャラリー4、2023)、「MOTコレクション「竹林之七妍」」(東京都現代美術館、2024-2025)などで作品が紹介されている。また、美術史家の中嶋泉が執筆した『アンチ・アクション─日本戦後絵画と女性画家』(ブリュッケ、2019)では、草間彌生、田中敦子とともに重点的に取り上げられた。2025年には東京国立近代美術館で同書の視座を基軸に日本の近現代美術史の再解釈を試みる展覧会「アンチ・アクション 彼女たち、それぞれの応答と挑戦」も開催が予定されている。

本展では、福島が長年にわたり探求した「円」や「青」といった造形的・色彩的テーマ、そしてスタンピング技法を用いた作品を中心に14点が出品される。

 


福島秀子、1958年


福島秀子《From Blue III》制作年不明

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