岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here @ 東京都現代美術館


岡﨑乾二郎《Heads poking out, a shape with lion body and man’s head. A gaze blank and pitiless as the sun. Embankment crowded, a vast image troubles my sight. Everyone shouting, voices affectionate, half-crying. We’re all gonna die. Darkness drops again. I heard ducks floating.
Black rocks absorbed light. Was I all along born on the far shore? Cave pitch dark. Colors fade. Stretch out a hand. World already ended.
Spread legs. Never to perish again. Only a presence – the subtle movement of air as someone searched. Solely ephemeral presence lingers. I remember who I am.
Earthquake shook. Sun black as sackcloth. Moon like blood. Stars fell to earth, fig tree dropping unripe fruit. Sky split apart, mountains and islands moved. Kings, slaves shouted, “Hide us from the throne, from the Lamb’s wrath.” Their day has come. I’m gonna faint!》2024年 Photo: Shu Nakagawa

 

岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here
2025年4月29日(火・祝)-7月21日(月・祝)
東京都現代美術館 企画展示室 1F/3F
https://www.mot-art-museum.jp/
開館時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、5/5、7/21は開館)、5/7
展覧会企画:藪前知子(東京都現代美術館学芸員)
展覧会URL:https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/kenjiro/

 

東京都現代美術館では、絵画、彫刻のみならず、建築や環境文化圏計画、絵本、ロボット開発などの幅広い表現領域でも革新的な仕事を手がけ、さらには文化全般にわたる批評家としても活躍してきた岡﨑乾二郎の核心に迫る大規模個展「岡﨑乾二郎 而今而後 ジコンジゴ Time Unfolding Here」を開催する。

岡﨑乾二郎(1955年東京都生まれ)は、1970年代後半より作品の発表を開始。1981年に初個展「たてもののきもち」で〈あかさかみつけ〉シリーズを発表し注目を集める。以来、第12回パリ・ビエンナーレ(1982)、「戦後日本の前衛美術−−Scream Against The Sky」(グッゲンハイム美術館、1994/サンフランシスコ近代美術館、1995)、個展「ART TODAY 2002」(セゾン現代美術館、2002)など国内外で展示機会を重ねる。2009年から2010年にかけては、東京都現代美術館で1980年代の立体作品から最新の絵画まで俯瞰する特集展示。2014年の「かたちの発語展」(BankART1929)では彫刻やタイルを中心に最新作を発表。2017年に豊田市美術館で『抽象の力―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』展の企画制作を行なうと、2019年から2020年にかけて、同美術館で大規模な個展「視覚のカイソウ」を開催した。

また、制作活動に並行して、総合地域づくりプロジェクト「灰塚アースワーク・プロジェクト」の企画制作、「なかつくに公園」(広島県庄原市)などのランドスケープデザイン、第8回ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展日本館ディレクター(2002)、四谷アート・ステュディウム(2002〜2014)の創設、トリシャ・ブラウンとのコラボレーションなど、多角的な活動も展開。主著に『而今而後 批評のあとさき(岡﨑乾二郎批評選集 vol.2)』(亜紀書房、2024)、『頭のうえを何かが』(ナナロク社、2023)、『絵画の素 TOPICA PICTUS』(岩波書店、2022)、『感覚のエデン(岡﨑乾二郎批評選集 vol.1)』(亜紀書房、2021 ※第76回毎日出版文化賞(文化・芸術部門)受賞)、『抽象の力 近代芸術の解析』(亜紀書房、2018 ※第69回芸術選奨文部科学大臣賞(評論等部門)受賞)、『ルネサンス 経験の条件』(文春学藝ライブラリー、文藝春秋、2014)、『芸術の設計―見る/作ることのアプリケーション』(フィルムアート社、2007)。『ぽぱーぺ ぽぴぱっぷ』(絵本、谷川俊太郎との共著、クレヨンハウス、2004)。作品集に『TOPICA PICTUS』(urizen、2020)、『視覚のカイソウ』(ナナロク社、2020)。

 


岡﨑乾二郎《あかさかみつけ》1981年 高松市美術館蔵 Photo: Shu Nakagawa


岡﨑乾二郎《まだ早いが遅くなる》1986年 大原美術館蔵

 

AIをはじめとする科学技術の革新、環境危機、政治状況の混沌など、私たちが捉えてきた世界、社会を制御してきた制度は急速に失効しつつあるように思える現今。「世界は崩壊しつつあるのか」という問いに対して、岡﨑は「世界は崩壊しているのではない。動揺しているのは私たちの認識である」と答える。岡﨑にとっての「造形」とは、私たちが世界を捉える、その認識の枠組み自体を作り変える力であり、すなわち、認識を作りかえることで世界の可塑性を解放し、世界との具体的な関わりを通して認識の可塑性を取り戻すことができるということ。「造形とは、この二つの可塑性を実践的に繋ぎなおすこと」だと述べる。

「而今而後(これから先、ずっと先も)」という『論語』の一節を展覧会タイトルに冠した本展は、岡﨑の幅広い活動の根底にある、私たちの「認識」と「世界」を結び直す力としての「造形」に着目。2021年以降に経験した社会的な情勢と個人的経験のふたつの変化のなかで、思考を位置づける時空の枠組みについて、大きな転回を迎え、旺盛な活動期に入った岡﨑の新作・近作約100点を一堂に発表。新作を中心に過去の代表作を網羅した展示構成により、その仕事の全貌を展望する。

 


岡﨑乾二郎《But in truth, the first creatures were driven from the sea. They fled. That’s why so many of us get seasick. A mudskipper crawled onto the beach, raising its head. “Look,” he said, beholding the vast expanse. “Thousands of miles of flat nothing.”
Fish swim through water endlessly; no end to the water they swim. Birds fly through sky ceaselessly; no end to the sky they fly.
There is no reason. We skipped the light fandango, though in truth we were at sea. She said, “I’m home” leaving for the coast.
Darkness covered the empty earth; The Spirit hovered over waters. Let there be waters teeming with life, birds multiplying on earth. All that moves in sea and sky, each according to its kind, merely drifted through the world. Evening fell, then dawn broke.》2024年 Photo: Shu Nakagawa


岡﨑乾二郎《耳を押し当てその向こうの気配を探る。ベールは柔らかな襞を作って、顔に落ち、神秘的で触れられない何かを感じさせる。花嫁のベールほど美しいものはない、透明で儚く脆いのは純粋だから。次の日、彼女は花嫁のベールを買いに行った。
雨が降れば夏になる。丘の頂から湖が見えた。夏はどこにいるのだろう。見晴らしてもすべては春のまま。スミレの花びらは雨を欲して萎れ、身を窄めていた。
何週もの遅れを取り戻そうと冷たい春のあと、暑い夏が慌てて訪れる。リネンの清らかな香りは婚礼のための白い布の束、仕上げのアイロンがけを待っている。
石畳の街に、太陽が降り注いでも石は決して花に変わらず、白壁の家が緑に覆われるわけでもない。太陽は街のあちこちの小さな公園にただ夏の装いをさせる。夏は公園の芝生にも自由に伸びることを許さず、いつも短く刈り揃えられていた。》2024年 Photo: Shu Nakagawa


岡﨑乾二郎《The Salt Of The Sea, Rivers Fresh, Scales Lurking Below, Wings Soaring Above/ 海鹹河淡 鱗潛羽翔》2024年

 


同時開催

MOT Plus サウンドウォーク・コレクティヴ & パティ・スミス|コレスポンデンス
2025年4月26日(土)-6月29日(日)
東京都現代美術館 企画展示室B2F
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-correspondences/

MOT Plus ハン・ネフケンス財団との共同プロジェクト シャハナ・ラジャニ
2025年4月29日(火・祝)-6月29日(日)
東京都現代美術館 コレクション展示室 企画展示室B2F
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/MOTPlus-HNF2025/

開館30周年記念 MOTコレクション
9つのプロフィール 1935→2025
2025年4月29日(火・祝)-7月21日(月・祝)
東京都現代美術館 コレクション展示室 コレクション展示室
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/mot-collection-250429/

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