総合開館30周年記念「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」@ 東京都写真美術館


鷹野隆大《2002.09.08.M.#b08》〈立ち上がれキクオ〉より 2002年 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 

総合開館30周年記念
鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―
2025年2月27日(木)-6月8日(日)
東京都写真美術館 2階展示室
https://topmuseum.jp/
開館時間:10:00–18:00(木、金は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし5/5は開館)、5/7
展覧会担当:遠藤みゆき(東京都写真美術館 学芸員)
展覧会URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4826.html

 

東京都写真美術館では、総合開館30周年を記念した展覧会第一弾として、同館の重点収蔵作家である鷹野隆大の多彩な作品を紹介する「鷹野隆大 カスババ ―この日常を生きのびるために―」を開催する。

鷹野隆大(1963年福井県生まれ)は、1994年より作家活動を開始し、2006年に写真集『IN MY ROOM』(蒼穹舎)で第31回木村伊兵衛写真賞を受賞。性差やセクシュアリティの境界とその曖昧さなどを問う作品で注目を集める。それと並行して日常のスナップショットを手がけ、1998年より毎日欠かさず撮ることを自らに課したプロジェクト〈毎日写真〉を開始。その中から、日本特有の無秩序な都市空間の写真を集めた『カスババ』(大和プレス)を2011年に発表。さらに東日本大震災以降、「影」を被写体とした写真の根源に迫るテーマのシリーズなど、さまざまな作品制作に取り組んでいる。1990年代半ばより東京を中心に個展を重ねながら、国内外の企画展で作品を発表。主な展覧会に、「手探りのキッス 日本の現代写真」(東京都写真美術館ほか、2001-2002)、「Out of the Ordinary/Extraordinary: Japanese Contemporary Photography」(2004-、国際交流基金企画により国際巡回)、「液晶絵画展 スティル|モーション」(三重県立美術館ほか、2008)、「JAPAN UNLIMITED」(frei_raum Q21 exhibition space/MuseumsQuartier Wien、2019)、「鷹野隆大 毎日写真 1999―2021」(国立国際美術館、大阪、2021)など。2022年に、第72回芸術選奨文部科学大臣賞(美術部門)と、第38回写真の町東川賞国内作家賞を受賞。

 


鷹野隆大《レースの入った紫のキャミソールを着ている(2005.01.09.L.#04)》
〈IN MY ROOM〉より 2005年 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates


鷹野隆大《2012.08.12.#b30》〈毎日写真〉より 2012年
©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 

代表的な作品シリーズのタイトルであり、本展のタイトルにも採用されている〈カスババ〉とは、鷹野による造語で、カスのような場所(バ)の複数形。本展は、「都市空間」をキーワードに建築家の西澤徹夫が空間を構成し、それに合わせて鷹野も作品構成を更に変化させる複層的なプロセスを幾度となく重ね、さまざまな手法を用いた作品を動的な表現へと昇華。都市になぞらえ、整然と整備された公園や、煩雑な路地裏、相矛盾する要素を取り入れた空間を自由に回遊し、鷹野の世界観を体感できる展示となる。

出品作品は、セクシュアリティ、日常、影といった主題を軸に構成し、多数の未発表作品も含めた約120点を展示。〈IN MY ROOM〉(2002-2005)に代表されるセクシュアリティをテーマとした作品をはじめ、現在まで毎日欠かさず撮り続けている〈毎日写真〉(1998-)や、東日本大震災後の10年間を記録した〈カスババ 2〉(2011-2020)、印画紙を用いて壁に映った影を直に採取した〈Red Room Project〉(2018-)、裸身の鷹野と被写体がともに並ぶポートレイト〈おれと〉(2006-)、人と人が触れ合うことが制限される状況下で制作された、互いに触れ合うことのない手やゴム手袋をつけた手が写された〈CVD19〉(2023)などの作品群を紹介する。また、館内のオープンスペースにて、打ち上がる花火の音とイメージのずれに注目した映像作品を、会期中の毎週金曜日夜に特別上映。写真のみならず、映像、インスタレーションと多岐にわたる表現方法で、実験、再編しながら新たな表現に挑戦し続ける鷹野の制作に迫る。

 


鷹野隆大《2015.10.28.#a28》〈カスババ2〉より 2015年 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates


鷹野隆大《2023.03.24.sc.#048》〈CVD19〉より 2023年 ©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates


鷹野隆大《2019.12.31.P.#02(距離)》〈Red Room Project〉より 2019年
©Takano Ryudai, Courtesy of Yumiko Chiba Associates

 

関連イベント
担当学芸員によるギャラリートーク
2025年3月7日(金)14:00–
要当日有効本展チケット(展覧会無料対象者は各種証明書等)

担当学芸員によるギャラリートーク(手話通訳付き)
2025年4月4日(金)、5月2日(金)各日14:00–
要当日有効本展チケット(展覧会無料対象者は各種証明書等)

出品作家とゲストによる対談
2025年3月15日(土)ゲスト:岡真理(現代アラブ文学研究者、早稲田大学教授)
2025年4月5日(土)ゲスト:北川一成(デザイナー、GRAPH代表取締役)
2025年5月3日(土)ゲスト:丹尾安典(雑本雑学者、早稲田大学名誉教授)
2025年5月24日(土)ゲスト:倉石信乃(詩人、批評家、明治大学教授)
各日15:00–16:30
会場:東京都写真美術館 1階ホール
定員:190名(整理番号順入場/自由席)
参加費:無料
※当日10:00より1階総合受付にて整理券を配布

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