もう一つの鼓動の重みと歩む
2025年2月8日(土)-2月23日(日)
アートセンター・オンゴーイング
https://www.ongoing.jp/
開場時間:12:00–19:00(月、火)
12:00–21:00(水〜日)※水、木、金の16:00-18:00は一時休憩
会期中無休
キュレーター:瞿暢(チュ・チャン)
参加アーティスト:陳楚翹(チャン・チョウキュウ)、羅玉梅(ロウ・ユックムイ)、張小船(ボート・チャン)
展覧会URL:https://www.ongoing.jp/tag/video/beatingheart/
アートセンター・オンゴーイングでは、ベルリンを拠点に活動する瞿暢(チュ・チャン)のキュレーションの下、中国出身で現在はいずれも日本国内に活動拠点を置く、陳楚翹(チャン・チョウキュウ)、羅玉梅(ロウ・ユックムイ)、張小船(ボート・チャン)の作品を紹介する展覧会「もう一つの鼓動の重みと歩む」を開催する。
ディアスポラを生きるベトナム系アメリカ人の詩人、小説家のオーシャン・ヴオンの詩「Headfirst」(『Night Sky with Exit Wounds』に収録)の一節を引用したタイトルを持つ本展のキュレーションを手がけた瞿暢は、自分以外の生命とともに歩むとは、現代の母の理想的な在り方として語られがちな、母子の生体リズム同期することではなく、むしろ、母と子のそれぞれの振動や息遣い、重みや揺らぎ、そしてリズムが不規則に交じり合い、時に衝突し、乱れながらもやっと歩調を合わせることであり、いくつもの鼓動を抱える母親の身体には、充足と故障、補給と欠乏、愛情と暴力、喧騒と静寂がつねに渦巻いていると記す(本展プレスリリースより)。
本展は、母であり、移民であり、アーティストである陳楚翹、羅玉梅、張小船が経験する日常と肉体のリズムの浮き沈みを重ね合わせた多層的な構成をとる。それぞれが新たな文化的文脈の中で自らの精神性とアイデンティティを本来あるべき所へと再び定めつつ、ふたつ目の鼓動を抱え育み、絶え間なく相互形成が繰り返される深く複雑な層の中で「愛情」と「子育て」を探検する3名の作品を通じて、母と家の身体性が聞こえ、それに心を動かされ、抱きしめられることで、その意味を再構成するような、共感と共鳴が生まれる場の創出を試みる。
陳楚翹 (チャン・チョウキュウ)《日日》2024年
羅玉梅(ロウ・ユックムイ)《練習曲》2025年
陳楚翹[チャン・チョウキュウ](1990年香港生まれ)は、単調な時間のあり方を絵画とミクストメディア・インスタレーションを通じて表現している。その作品は日用品の状態や質感を描き出し、それらを日々の行為やその繰り返し、習慣と結びつけることで、観客にあらゆるものの間に存在する触知不可能なつながりを認識させる。近年は日々の労働の考察を通じて、注意力の散漫と集中の推移が生み出す制限、エネルギー、リズムについて探究している。
羅玉梅[ロウ・ユックムイ]は、アーティスト兼教育者として領域横断的な活動に取り組む。「エクスパンデッド・シネマ(拡張映画)」を表現の軸に、フィールドワークの技術を採り入れながら、都市のありふれた空間や時間に分け入り、歴史の物理的痕跡や人間の心理的経路、時間の形跡、地理学的空間の政治性を明らかにする作品を制作。音における政治的文化的修辞、身体的記憶としての音、音とテキストと視覚的要素の間の翻訳など、羅の実践において、音は重要な要素に位置づけられる。
張小船(ボート・チャン)《「アルゼンチン蟻」の結末にて》2024年
張小船[ボート・チャン](1983年中国生まれ)は、珍しいものから普遍的なものまで、あらゆる状況に対して、自身の経験や感情を元に即興的に反応する表現を展開。その実践はコンセプチュアルなものからパフォーマンス、イヴェント、ヴィデオ、サウンド、テキストまで多岐にわたるが、一貫して張独自の奇妙なユーモアを備える。その作品の多くはサイトスペシフィック、シチュエーションスペシフィックなもので、実生活の問題に対する(失敗へと向かう?)オルタナティブな応答を試みるものである。個人での制作活動に並行し、「row&row」「• • PROPAGANDA DEPARTMENT」「チームやめよう」「runaway girls club」といったアーティスト・コレクティブとしても活動している。
瞿暢[チュ・チャン]は、ベルリンを拠点にキュレーターやライターとして活動。現在は世界文化の家(HKW)でディスカーシブ・プラクティス部門のキュレーターを務めるとともに、2025年から2026年にかけて、中国広東省東莞市のアートスペース「Shekmai Space」の展示プログラムをEcho Shiと手がける。改革開放時代における「愛」の言説に関する研究により、2024年に香港の嶺南大学芸術学部カルチュラルスタディーズ学科にて博士号を取得。前職に香港の非営利美術機関「パラサイト」のキュレーター。
関連イベント
2025年2月8日(土)
15:00-|キュレーターツアー
16:00-17:30|アーティスト・トーク
18:00-|オープニングパーティー ※参加費:1,000円(軽食+1ドリンク付)
2025年2月16日(日)
14:30-|羅玉梅による作品解説ツアー
15:30-|茶会 ※参加費:400円(1ドリンク付)
スペシャルゲスト:黑田菜月、後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
2025年2月23日(日)
19:30-|クロージングパフォーマンス
出演:羅玉梅(ロウ・ユックムイ)+陳楚翹(チャン・チョウキュウ)feat. 何子洋(ホー・ツィーヤン)