近藤亜樹《ザ・オーケストラ》2024年 ©The artist. Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は
2025年2月15日(土)-5月6日(火・振休)
水戸芸術館現代美術ギャラリー
https://www.arttowermito.or.jp/
開場時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし2/24、5/5は開館)、2/25
展示構成:青木淳
企画:後藤桜子(水戸芸術館現代美術センター学芸員)
展覧会URL:https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5321.html
水戸芸術館現代美術ギャラリーでは、躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩の絵画で知られる近藤亜樹による2022年以降の作品と、本展に向けて制作された50点を越える新作を一挙に展示する過去最大規模の個展「我が身をさいて、みた世界は」を開催している。
近藤亜樹(1987年北海道生まれ)は、東北芸術工科大学大学院を修了した直後の2012年に「PHANTOMS OF ASIA: Contemporary Awakens the Past」(アジア美術館、サンフランシスコ)に参加し、10メートルを超える大作絵画《山の神様》を出展し、以後、描くことで現実に向き合う自らの創作を探求。2015年には、東日本大震災をモチーフに、約14,000枚からなる油彩コマ撮りのアニメーションと実写映像を組み合わせた鎮魂の映画『HIKARI』を発表するなど、絵画表現の可能性を拡げてきた。近年の主な個展に、「わたしはあなたに会いたかった」(シュウゴアーツ、東京、2023)、「星、光る」(山形美術館、2021)、作品集刊行記念展「ここにあるしあわせ」(シュウゴアーツ/フィリップス 東京/現代芸術振興財団/代官⼭蔦屋書店、東京、2021)など。主なグループ展に、「高松市美術館コレクション+身体とムービング」(高松市美術館、2020)、「絵画の現在」(府中市美術館、2018)など。国際芸術祭「あいち2022」に参加。2023年に絹谷幸二芸術賞、2022年にVOCA奨励賞を受賞。著書に、『ここにいたんだね』(リトルモア、2023)、『ここにあるしあわせ』(T&M projects、2021)がある。
近藤亜樹《ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ》2022年 森美術館蔵 ©The artist. 撮影:武藤滋生
近藤亜樹《I Love You》2022年 OKETA COLLECTION蔵 ©The artist. Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
ダイナミックな画面構成や、身近な事物から超自然的な世界までを行き来する自由な発想とそれを描き留める画力によって描かれる作品は、大学院在籍時に直面した東日本大震災や、身近な家族の喪失や出産の経験など、ときに抗しがたい出来事に向き合い、他者の存在やつながりを感じ取るなかで生み出されてきた。その表現は、極めて私的な出来事や近藤を取りまく世界とともに少しずつ変化し、災害や紛争、パンデミックなど危機的状況を「描くこと」で受け止め、生きることそのものへの祝福として昇華し、作品と対峙する人々の心を震わせてきた。本展は、生命の祝福、他者と共に在ること、2022年以降ますます切実さを帯びる災害や戦禍にある人々への想い、葛藤とレジリエンスなど、近藤の作品を通じて「生きること」と「描くこと」が切り開く世界に迫っている。
近藤亜樹《みんななまえがあるんだね》(シリーズ「わたしはあなたに会いたかった」より)2023年 個人蔵
©The artist. Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
近藤亜樹《Planets》2022年 個人蔵 撮影:武藤滋生. ©The artist. Courtesy of ShugoArts.
本展の見どころは、喜びや悲しみ、困難の受容と再起への希望とが芸術として昇華され、個々の表現が一体となる瞬間を描いた躍動感溢れる幅9メートル超の大作《ザ・オーケストラ》。そして、生命力のシェルターとも、あるいは自己・他者を慈しむ気持ちの象徴とも見ることができる「サボテン」をモチーフとした新作シリーズ。本シリーズを発表するにあたり、展示構成を担当する建築家の青木淳と、「いい顔してる植物」をコンセプトに活動する植物屋「叢」とコラボレーションし、さまざまなサボテンに出会えるインスタレーションとして展開した。
さらに、誰かに会いたいという気持ちを解き放ったポートレイトの連作「わたしはあなたに会いたかった」(2023-)を、既出13点に新作を加え一堂に展示するインスタレーションのほか、厄災の先に世界の希望を見通す《ともだちになるためにぼくらはここにいるんだよ》(2022)、「子ども」のように心のままに表現する喜びへと立ち返る《I Love You》(2022)、一人ひとりの存在と世界とのつながりを象徴的に描いた《Planets》(2022)などを展示。本展では、形式や美術史的コンテクストのみを拠り所とすることなく、一貫して「今を生きている」者として描き続ける近藤が、活動初期から問い続ける「生きること」と「描くこと」のつながりについて、その近年の作品から改めて見つめ直す試みとなっている。
関連プログラムとして、新作絵画《ザ・オーケストラ》を音楽家の演奏とともに味わうミニコンサートのほか、「叢」の小田康平と近藤が「サボテン」について語るトークイベントとワークショップを開催予定。「叢」が日本中から集めた植物の販売も行なわれる。
近藤亜樹《ラブコール》2024年 ©The artist. Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
近藤亜樹《Morning Dew》2024年 ©The artist. Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
展示風景 近藤亜樹個展「わたしはあなたに会いたかった」シュウゴアーツ、2023年 Courtesy of ShugoArts. 撮影:武藤滋生
関連イベント
ウィークエンド・ギャラリートーク
2025年3月1日(土)より毎週土曜日 各日14:30–(40分程度)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
参加費:無料 ※要展覧会入場券
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5361.html
ザ・オーケストラの部屋
2025年3月1日(土)19:00(開演)※閉館後
出演:会田莉凡(ヴァイオリニスト)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー 第7室
定員:50名(要申込・自由席)
料金:1,000円
申込開始:2月1日(土)10:00
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5366.html
担当学芸員によるギャラリーツアー
2025年3月23日(日)、4月20日(日)各日14:00–(60分程度)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
参加費:無料 ※要展覧会入場券
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5363.html
赤ちゃんと一緒に美術館散歩
2025年3月25日(火)、3月29日(土)10:30–12:00
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
定員:5組程度(要申込、先着順)
対象:未就学児とその保護者
参加費:保護者のみ1,500円、入場料減免対象の保護者1,000円(2人目からは通常入場料のみ)
申込開始:2月1日(土)10:00
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5362.html
「叢」ワークショップ&トーク
2025年4月27日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー ワークショップ室
・ワークショップ 13:00–14:30
ワークショップ講師:小田康平(「叢」代表)
定員:15名(要申込、抽選)
参加費:5,000円
申込期間:2月1日(土)10:00-4月4日(金)18:00
・トーク 15:00–16:00
出演:近藤亜樹、小田康平
定員:50名(予約不要・先着順)
参加費:無料
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5367.html
同時期開催
高校生ウィーク2025
会期:2025年3月8日(土)-4月6日(日)
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー ワークショップ室
料金:展覧会入場料に含む
https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5357.html