Ginza Curator’s Room #008 帝国の実験室 @ 思文閣銀座


Laboratories of Empire film still 2024 © Christiaan Bastiaans

 

Ginza Curator’s Room #008 帝国の実験室
2024年5月25日(土)-6月8日(土)
思文閣銀座
https://gcr.shibunkaku.co.jp/
開廊時間:10:00–18:00
休廊日:日
ゲストキュレーター:サスキア・ボス(インディペンデント・キュレーター、批評家)
展覧会URL:https://gcr.shibunkaku.co.jp/exhibition/008/

 

思文閣銀座では、キュレーターを招聘する展覧会「Ginza Curator’s Room」の8回目の企画として、オランダ、アムステルダム在住のインディペンデント・キュレーター、批評家のサスキア・ボスを迎え、クリスティアン・バスティアンスの個展「Ginza Curator’s Room #008 帝国の実験室」を開催。人間の本質に迫るバスティアンスの作品の中から、時事性に焦点を当てつつ、初公開となるショートフィルムの予告編を上映し、制作を簡潔に概観できる近作を展示。

「Ginza Curator’s Room」は、ゲストキュレーターの目を通して、新たな魅力と価値が吹き込まれた「部屋」を展観する展覧会シリーズ。2022年8月から始まり、過去には山本浩貴、山峰潤也、藪前知子などがゲストキュレーターを務めてきた。第8回のキュレーターであるサスキア・ボスは、アムステルダムのデ・アペル現代美術センターで20年以上ディレクターを務めキュラトリアル・プログラムを創設、その後2005年から2016年までニューヨークのクーパー・ユニオン芸術学部長を歴任。2017年から2022年まで国際美術館会議(CIMAM)の理事会に所属し、設立60周年を記念して『ミュージアム・フロム・ザ・インサイド』(2022)を企画・編集した。現在はICA京都、SEC(Société Européenne de Culture)アムステルダム、ウェスト・デン・ハーグの理事を担当。第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ・オランダ館(2009)、第3回ミュンスターランド彫刻ビエンナーレ(2003)、第2回ベルリンビエンナーレ(2001)、第24回サンパウロ・ビエンナーレ オランダ・コミッショナー(1998)、第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ アペルト共同キュレーター(1988)、 Sonsbeek’86(アーネム、 オランダ、1986)など、多くの国際展でキュレーターを務めてきた。

 


クリスティアン・バスティアンス《クラブ・ママ・ゲミュトリッヒ》2009年


クリスティアン・バスティアンス《ホビー ファーム ドッグ ボンブレット》2007 / 2008年

 

クリスティアン・バスティアンス(1951年アムステルダム生まれ)は、政治や社会の現実から派生した、人間の条件の調査をテーマに制作し、入り組んだ多層構造のインスタレーションを通して社会構造を露わにしている。紛争地域や難民キャンプ、元ハンセン病患者のコロニーなど、生と死、美と恐怖が中心にあり、人間が最も基本的な生存戦略に頼らざるをえない場所に足を運び、世界各地で苦しむ避難民、外傷を負った人々、貧しい人々と出会い「恐怖に直面する人々の回復力」に感銘を受け、現代の社会問題を提起する作品を生み出す原動力としてきた。バスティアンスはアムステルダムのヘリット・リートフェルト・アカデミーで絵画とリベラル・グラフィックを、ニューヨークのプラット・グラフィック・センターと京都市立芸術大学でエッチングを学ぶ。1976年から1978年まで日本で生活。1970年代半ばにビデオ制作を始め、ビデオや彫刻、写真などを組み合わせたインスタレーションを発表してきた。近年の主な個展に「Club Mama Gemutlich」(クレラー・ミュラー美術館、オッテルロー、2009-2010)、「Year Zero」(デ・ポント現代美術館、ティルブルフ、2007)、「Hurt Models (II)」(Dutch Textile Museum、ティルブルフ、2003)など。

 


クリスティアン・バスティアンス《榴散弾で傷つけられたキャットウォーク・ボーイ》2022年

 

本展で初公開される映画『帝国の実験室(Laboratories of Empire)』予告編では、俳優のベルト・ルぺス、ヘレヌ・ヴライダグ、チャーリー・チャン・ダグレットが、「別の現実」における「異世界」の天体を示唆しながら、戦場や、負傷者に安らぎを与えるようなシェルターといった隔離の領域に向かうバスティアンスの調査を継続する役割を演じている。サスキア・ボスは本展に寄せた文章で「戦争や紛争はバスティアンスにとって継続的な懸念事項であるだけではなく、地理的に、またしばしば政治的にも広がった、苦悩がますます大きな役割を果たす芸術と文化の世界とも相互に結びついているのです」と記している。

関連イベント
【ICA京都トーク004】サスキア・ボスとクリスティアン・バスティアンスによる対談「Hurt Models | 傷ついたモデル」
2024年5月21日(火)18:00–19:30 ※既に終了
登壇:サスキア・ボス (美術史家・キュレーター・批評家)、クリスティアン・バスティアンス(アーティスト)
会場:京都芸術大学 人間館3階 NA302
定員:会場100名、オンライン500名
https://icakyoto.art/programs/articles/88555/

 


Photo: Tadayuki Minamoto


Photo: Tadayuki Minamoto

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