磯谷博史《影響を泳ぐ》
Ginza Curator’s Room #009 德山拓一「形が影に従い、音が響に応じる」
2024年9月2日(月)-9月14日(土)
思文閣銀座
https://gcr.shibunkaku.co.jp/
開廊時間:10:00–18:00
休廊日:日
ゲストキュレーター:德山拓一(森美術館キュレーター)
展覧会URL:https://gcr.shibunkaku.co.jp/exhibition/009/
思文閣銀座では、キュレーターを招聘する展覧会「Ginza Curator’s Room」の9回目の企画として、森美術館キュレーターの德山拓一を迎え「形が影に従い、音が響に応じる」を開催する。本展ではアーティストの磯谷博史が、思文閣所蔵の大正から昭和にかけて描かれた日本画および戦後に生まれた前衛陶芸集団である走泥社の作品を「素材」や「道具」として用いて制作した新しい作品シリーズと、その元となった小早川秋声、竹内栖鳳、田中一村、土田麦僊、鈴木治の作品とを合わせて展示する。
小早川秋声《細雨蕭々》(部分)
「Ginza Curator’s Room」は、ゲストキュレーターの目を通して、新たな魅力と価値が吹き込まれた「部屋」を展観する展覧会シリーズ。2022年8月から始まり、過去には山本浩貴、山峰潤也、藪前知子、サスキア・ボスなどがゲストキュレーターを務めてきた。第9回のキュレーターである德山拓一は、2012年より京都市立芸術大学ギャラリー@KCUAの学芸員として、アピチャッポン・ウィーラセタクン「PHOTOPHOBIA」(2014)、グイド・ヴァン・デル・ウェルヴェ「killing time | 無為の境地」(2016)、奥村雄樹「な」(2016)などを担当。2016年4月より森美術館アソシエイト・キュレーターとして、「サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで」(2017)、「MAMプロジェクト025:アピチャッポン・ウィーラセタクン+久門剛史」(2018)、「六本木クロッシング2019展:つないでみる」、「地球がまわる音を聴く:パンデミック以降のウェルビーイング」(2022)、「森美術館開館20周年記念展 ワールド・クラスルーム:現代アートの国語・算数・理科・社会」(2023)、「シアスター・ゲイツ展:アフロ民藝」(2024)などを担当。また2020年より東北芸術工科大学客員教授を務める。
磯谷博史(1978年東京都生まれ)は、写真や彫刻、ドローイング、それら相互の関わりを通して、時間や認識の一貫性への再考を促す作品を制作する。東京藝術大学建築学科を卒業後、東京藝術大学大学院先端芸術表現科、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジ、アソシエイトリサーチプログラムで学ぶ。近年の主な個展に「動詞を見つける」(小海町高原美術館、長野、2022)、「『さあ、もう行きなさい』鳥は言う『真実も度を超すと人間には耐えられないから』」(SCAI PIRAMIDE、東京、2021)など。主なグループ展に「Constellations: Photographs in Dialogue」(サンフランシスコ近代美術館、2021)、「Lʼ Image et son double」(ポンピドゥー・センター、パリ、2021)、「シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート」(ポーラ美術館、神奈川、2019)、「六本木クロッシング2019:つないでみる」(森美術館、東京)など。また2016年から2年間の期間限定で運営されたプロジェクト・スペースstatementsで共同ディレクターを務めた。
鈴木治《重い雲》
本展のタイトル「形が影に従い、音が響に応じる」は、因果関係を示す言葉としての「影響(ようこう)」に着想を得ている。仏教では影や響のように現われる菩薩を「影響衆(ようごうしゅう)」と呼び、「影が形に従い、響が音に応ずるように、関係が密接で速やかに相応する」という意味が込められている。德山は磯谷の新作について、「本来なら影響を受けるのみの「影」や「響」である後人の磯谷が、先達の「形」を従え、「音」を応じさせることの可能性に挑んだ、大胆であり示唆に富んだ思考実験だといえます。さらには、これまでの作品で重要な主題として「時間の流れ」を扱い、特に、写真作品を通して時間の不可逆性に言及してきた磯谷にとって、本展は、現在が過去を変える可能性を示唆しようとする、注意深い思考に基づいた実験であり、過去との新たな共創の試みともいえるでしょう」と本展のステートメントに記している。