井上亜美「The Garden」@ 京都芸術センター


井上亜美《The Garden》2022年

 

井上亜美「The Garden」
2023年1月7日(土)– 2月12日(日)
京都芸術センター ギャラリー南・北
https://www.kac.or.jp/
開館時間:10:00–20:00
会期中無休
展覧会URL:https://www.kac.or.jp/events/32784/

 

京都芸術センターでは、公募により採択された企画を京都芸術センターとともに共同で制作・開催・実験していく事業「Co-program」の共同開催枠として、京都を拠点に活動するアーティストの井上亜美の個展『The Garden』を開催する。

井上亜美(1991年宮城県生まれ)は、京都の山里近くのアトリエを拠点に、生活の一部として狩猟や養蜂などを実践しながら制作に取り組んでいる。生き物たちが生きる場所に入り込むことで、その姿や人間との関係性や距離感を捉える考察や感覚などを、写真や映像、インスタレーションといった手法を通じて表現する。これまでに、蔚山中区文化の街現代美術祭2022「From Now to Now」、個展『The piercing eyes』(Amado Art Space、ソウル、2019)、第21回シドニー・ビエンナーレ、『コンニチハ技術トシテノ美術』(せんだいメディアテーク、2017)、個展『猟師の生活』(トーキョーワンダーサイト本郷、2017)などで発表している。

本展では、自身のアトリエの庭の細やかな観察から日々生まれてきた新作を、過去作品とともに展示する。

 


井上亜美《じいちゃんとわたしの共通言語》2016年

 

私が庭のアトリエに出ると、人間以外の複数の目線を感じる。

暖かい日、フジバカマの蜜を吸いにくる蝶。
どうして、ここに花があるとわかるのだろう。
虫取り網で捕まえて標本にしてみる。
鱗粉が手に付き、翅から光沢が消えてしまった。

私が美しいと感じたのは蝶だったのだろうか。
それとも鱗粉だけを見ていたのだろうか。
捕まえたようで、その正体はつかまえることができない。

日が暮れると一斉に鳴きはじめる虫たち。
私の作った昆虫標本は、夜の間に何者かに喰われている。
彼らのすがたを見たことはないのだけれど――気配を感じる。
掴めそうでつかめなかった、輪郭が浮かびあがってくる。

その感覚は、暗室での現像作業に少し似ている。
電気を消すと、はじめににおいを感じる。
部屋の外のかすかな虫の音が聴こえてくる。

じっとする。耳を澄ませる。情報を手放す。
ふと、そのすがたが目に映りこんでくる。

これまでの感覚から自由になるとき、
私は少しだけ虫や動物たちの世界に足を踏み入れる。

井上亜美

 


井上亜美《The Garden》2022年


井上亜美《胡蝶(Ghost)》2022年

 

関連イベント
アーティストトーク
登壇者:井上亜美
ゲスト:ゲスト:山内朋樹(京都教育大学教員/庭師)
進行:中谷圭佑(京都芸術センター アートコーディネーター)
2023年1月8日(日)14:00-16:00
会場:京都芸術センター 和室「明倫」
定員:30名(要事前予約)
予約申込URL:https://www.kac.or.jp/reserve/?id=32784

ギャラリーツアー
話し手:井上亜美
聞き手:中谷圭佑(京都芸術センター アートコーディネーター)
2023年1月28日(土)15:00-16:00
会場:京都芸術センター ギャラリー南・北
集合場所:京都芸術センター エントランス前
定員:15名(要事前予約)
予約申込URL:https://www.kac.or.jp/reserve/?id=32784

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