「兵庫県立美術館開館20周年 関西の80年代」@ 兵庫県立美術館


田嶋悦子《Hip Island》1987年 2017年西宮市大谷記念美術館での展示風景 岐阜県現代陶芸美術館蔵 撮影:高嶋清俊

 

兵庫県立美術館開館20周年
関西の80年代
2022年6月18日(土)– 8月21日(日)
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00–18:00 入館は閉館30分前まで
閉館日:月(ただし、7/18は開館)、7/19
企画担当:江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)

 

開館20周年を迎える兵庫県立美術館では、「関西ニューウェーブ」として注目を集めたアーティストが台頭した1980年代に焦点を当てた展覧会『関西の80年代』を開催する。

兵庫県立美術館は、その前身となる兵庫県立近代美術館時代に「アート・ナウ」と題したシリーズ展を通じて、新進のアーティストをいち早く紹介し、関西アートシーンの現在を伝えてきた。特に当時まだ20代のアーティストは、1970年代の禁欲的な傾向とは一転、心躍る色やイメージにあふれた作品群を競うように発表し、「関西ニューウェーブ」として注目を集めることとなった。

 


北辻󠄀良央《WORK-RR2》1982年 和歌山県立近代美術館蔵

 

本展は、ともに美術の伝統的モチーフを扱った1970年代(奥田善巳による林檎をモチーフとした作品)と80年代(北辻良央*による薔薇をモチーフとした作品)の作例を対比的に示すプロローグをはじめ、「フレームを超えて」「インスタレーション―ニューウェーブの冒険」「「私」のリアリティ―イメージ、身体、物語」「「私」の延長に」のテーマの下、1980年代に関西で制作された作品群を紹介する。*北辻󠄀の「辻」のしんにょうは点がひとつ

「フレームを超えて」と題した第1章では、飯田三代、北山善夫、辰野登恵子、福嶋敬恭ら、変形キャンバスやレリーフ、さらにはイラスト的表現など、80年代に入り従来の絵画や彫刻という枠組みを超えた表現を展開したアーティストを紹介する。第2章の「インスタレーション―ニューウェーブの冒険」は、1983年から84年頃に新たな発表形式として隆盛した「私」の世界で画廊の空間全体を埋めつくすかのようなインスタレーションを紹介する。展示空間を前提とした表現だったため現存する例は限られるが、本展ではいくつかの再現展示を行なうとともに、関連資料による展示でも当時の鑑賞体験を生々しく伝えることを試みる。出品予定作家には、石原友明、杉山知子、藤浩志、松井智惠など。

 


杉山知子《the drift fish》(部分)1984年ギャラリー手での展示風景 作家蔵 撮影:成田弘


石原友明《約束Ⅱ》1984年ギャラリー白での展示風景 現・高松市美術館および作家蔵 撮影:石原友明

 

第3章の「「私」のリアリティ―イメージ、身体、物語」では、各アーティストがインスタレーションから絵画、彫刻、版画など各自の領域に戻るとともに、 表現の内容を深めた1980年代後半に焦点を合わせ、「私」のイメージなり身体なり物語であり、それぞれのリアリティを起点とした表現を紹介する。河合(田中)美和、中西學、松尾直樹、三村逸子、森村泰昌、安井寿磨子、吉原英里らの作品を出品。第4章では、「私」のリアリティを探求する先に待ち受けている生と死のような「私」が生きる世界や芸術の普遍的な問題に向き合った、80年代終盤の表現に着目。赤松玉女+森村泰昌、KOSUGI+ANDO(小杉美穂子+安藤泰彦)、TRIO(福田新之助、浜本隆司、中澤テルユキ)といったユニット、共同制作や、田嶋悦子、中原浩大、山部泰司らの作品を紹介する。

 


吉原英里《M氏の部屋》(部分)1986年番画廊での展示風景 作家蔵 撮影:濱田弘明


KOSUGI+ANDO(小杉美穂子+安藤泰彦)《芳一 -物語と研究》1987年京都アンデパンダン展(京都市美術館)での展示風景 作家蔵 ©KOSUGI+ANDO

 

 

関連イベント
京阪神ニューウェーブ鼎談
講師:山部泰司、福田新之助、杉山知子(出品作家)
2022年6月26日(日)15:00-16:30(開場は30分前から)
会場:兵庫県立美術館ミュージアムホール
定員:120名(先着順・要観覧券・芸術の館友の会会員優先席あり)

講演会「1980年代を語れるのか?」
講師:島敦彦(国立国際美術館館長)
2022年7月24日(日)14:00-15:30(開場は30分前から)
会場:兵庫県立美術館ミュージアムホール
定員:120名(先着順・要観覧券・芸術の館友の会会員優先席あり)

テーマ・レクチャー①「アート・ナウと関西の80年代」
講師:江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)
2022年7月9日(土)15:00-15:40(開場は30分前から)
会場:兵庫県立美術館レクチャールーム
定員:50名(先着順)

テーマ・レクチャー②「インスタレーションを展示する」
講師:江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)
2022年8月6日(土)15:00-15:40(開場は30分前から)
会場:兵庫県立美術館レクチャールーム
定員:50名(先着順)

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詳細決まり次第、公式ウェブサイトに掲載。(問い合わせ先:078-262-0908)

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