万物資生|中村裕太は、資生堂と   を調合する @ 資生堂ギャラリー


中村裕太《タイル植物園》(名古屋市東山動植物園、2017年)展示風景 写真|表恒匡

 

万物資生|中村裕太は、資生堂と   を調合する
2022年2月26日(土)- 5月29日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/
開館時間:11:00-19:00(日曜、祝祭日は11:00-18:00)
休館日:月(祝祭日にあたる場合も休館)

 

資生堂創業150周年を迎えるにあたり、資生堂ギャラリーでは、文献調査やフィールドワークをもとに作品を発表してきた中村裕太とともに、社名の由来となった「万物資生」の思想を新たな文脈から読み解く展覧会『万物資生|中村裕太は、資生堂と   を調合する』を開催する。

中村裕太(1983年東京都生まれ)は、〈民俗と建築にまつわる工芸〉という視点から陶磁器、タイルなどの学術研究と制作活動を展開。その土地の歴史や風土の在りようを集め、収集した一次資料と自身の手によって思索した造形物によって、目に見えないつながりを再構成する。近年は、『日本ラインの石、岐阜チョウの道』(美濃加茂市民ミュージアム、2018)、『柳まつり小柳まつり』(ギャラリー小柳、2017)、『タイル植物園|熱帯植物の観察術』(東山植物園温室後館、2017)などの個展のほか、『in number, new world / 四海の数』(芦屋市立美術博物館、2019)、『表現の生態系|世界との関係をつくりかえる』(アーツ前橋、2019)、あいちトリエンナーレ 2016、第20回シドニー・ビエンナーレ(2016)、第8回アジア・パシフィック・トリエンナーレ(2015)、『六本木クロッシング2013展:アウト・オブ・ダウト―来たるべき風景のために』(森美術館)などで作品を発表している。個人での制作のほか、工芸を作り手の視点から読み解き、その制作の方法を探る教育プログラム「APP ARTS STUDIO」の運営や、アーティストの谷本研とのユニット活動、グラフィック・デザイナーの軸原ヨウスケとともに取り組んでいる「民藝」の周辺をめぐるリサーチ活動「アウト・オブ・民藝」など、幅広い活動を展開している。

 


中村裕太《群馬工芸の生態系》(アーツ前橋、2019年)展示風景 写真|表恒匡


中村裕太《ツボ_ノ_ナカ_ハ_ナンダロナ?》(京都国立近代美術館、2020年)展示風景 写真|表恒匡

 

中国の儒教の経典であり、占いの書でもある『易経』の一節、「至哉坤元 万物資生(大地の徳はなんと素晴らしいものであろうか、すべてのものはここから生まれる)」をその社名の由来とする資生堂は、1872年に創業者の福原有信が銀座に日本初の民間洋風調剤薬局として開業した。本展において、中村は「万物資生」という言葉を、「目に見えないつかまへられないものが天から来て、地上の物質がそれを受取つて生物を生ずる」と解した文献(飯島忠夫『易経研究』信濃教育会、1932年)に着目し、そこから導き出した「調合」という方法によって、展覧会を展開していく。

大展示室では、創業時から1940年代初頭までの化粧品や広告と、資生堂にまつわる人物のうち岸田劉生、富本憲吉、今和次郎らの活動を「調合」し、この時代と資生堂との関わりを、中村の造形とともに読み解いていく。また小展示室では、中村が化粧品の原料となる椿種子の残材を釉薬として調合した作品を展示。「調合」を作品制作の方法として取り入れることで、複層的に「万物資生」という思想を浮かび上がらせる。

なお、静岡・掛川にある資生堂アートハウスでは『銀座と椿と資生堂』を開催中。資生堂アートハウスと資生堂企業資料館の収蔵品から、資生堂の企業イメージに結び付く創業の地「銀座」と「椿」に題材を採った、美術品や工芸品、化粧品やパンフレットなどの企業資料を精選し、過去から現在へと続くふたつのイメージの変容を辿りながら、芸術によって培われた資生堂の美意識の一端を紹介する内容となっている。

 

関連施策
トークイベントなど、決まり次第、公式ウェブサイトにて発表

 


資生堂「香水 菊」1920年頃 資生堂企業資料館蔵


川島理一郎《出雲町店の設計図(内部)》1923年 資生堂企業資料館蔵

 

 


銀座と椿と資生堂
2022年1月25日(火)- 4月8日(金)
資生堂アートハウス(静岡県掛川市下俣751-1)
https://corp.shiseido.com/art-house/jp/
開館時間:10:00-16:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:土、日、月(祝祭日にあたる場合も休館)
展覧会URL:https://corp.shiseido.com/art-house/jp/exhibit/project.html

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