生誕100年 松澤宥 @ 長野県立美術館


松澤宥、パフォーマンス〈消滅の幟〉1984年、スイス・フルカ峠、撮影:大住建

 

生誕100年 松澤宥
2022年2月2日(水)- 3月21日(月・祝)
長野県立美術館
https://nagano.art.museum/
開館時間:9:00-17:00
休館日:水(ただし、2/2、2/23は開館)、2/24

 

長野県立美術館では、2022年2月2日に日本におけるコンセプチュアル・アートの代表的な存在として知られる松澤宥の生誕100年を迎えるにあたり、その生涯をたどる回顧展を開催する。

長野県諏訪郡下諏訪町に生まれた松澤宥(1922–2006)は、早稲田大学理工学部建築科の大学時代を第二次世界大戦下で過ごし、戦後は下諏訪に戻り、高校の数学教師を務めながら、詩作をはじめ、絵画やオブジェの制作に取り組んだ。1955年にウィスコンシン大学にフルブライト交換教授として招聘され、翌年から57年までコロンビア大学で現代美術、宗教哲学を研究し、帰国後は下諏訪を拠点に30年以上にわたり高校教師を務めながら、同地を拠点に国内外に芸術を発信しつづけた。

松澤を語る上で欠かせないエピソードのひとつは、1964年6月1日に「オブジェを消せ」という啓示を受け、三日三晩考えたあげく、美術を言葉だけで表現するという決意に至ったというもの。以降、「消滅」をテーマとする制作活動に取り組み、《消滅の幟(のぼり)》をはじめ、国内外の展覧会で「人類の消滅」を警告する展示やパフォーマンスを発表。そのほか、『ニルヴァーナ展』(京都市立美術館、1970)、『世界蜂起』(美術手帖誌上など、1971–1973)の企画、1971年からの10年間にわたって、東京・美学校で「最終美術思考」工房を主宰するなど、さまざまな活動を展開した。

 


松澤宥《人類よ消滅しよう行こう行こう》1966 年、印刷・紙、個人蔵


松澤宥《鳥》(『RATI』2号)1951年、個人蔵

 

本展では、「オブジェを消せ」以前の最初期の建築や詩から、美術文化協会や読売アンデパンダンなどに出品した絵画やオブジェから、宣言前後から国内外で発表された言語による作品やパフォーマンスまで、松澤の生涯にわたる作品や活動の資料を一堂に集め、松澤の追い求めた世界を考察する。また、「プサイの部屋」と名付けた下諏訪の自室兼アトリエの一部を再現するとともに、その空間をVRで体験できる展示も行なう。

同時期には、Suwa-Animism(スワニミズム)美術部が主催となり、下諏訪町の複数の施設で『松澤宥 生誕100年祭』を開催。すでに充実した公式ウェブサイトも開設されている。

 


松澤宥、パフォーマンス〈九想の室〉1977年、ブラジル・サンパウロ


松澤宥〈プサイの部屋〉2018年11月16日撮影 「文化庁平成30年度我が国の現代美術の海 外発信事業」の一環として撮影

 

関連イベント
記念講演会:見えないものを観るために―松澤宥の過去・現在・未来
講師:富井玲子(美術史家・「ポンジャ現懇」主宰)
2022年2月5日(土)午後2:02-
会場:長野県立美術館 B1Fホール
定員:50名(要申込 ※申込フォームにて、受付は1/5から)

クロストーク:「オブジェを消せ」前夜―松澤宥の初期ドローイングとオブジェ
講師:千葉成夫(美術評論家)× 梅津庸一(美術家・美術共同体「パープルーム」主宰)
2022年2月11日(土)午後2:02-
会場:長野県立美術館 B1Fホール
定員:50名(要申込 ※申込フォームにて、受付は1/11から)

鼎談:松澤宥の共同体幻想―〈ニルヴァーナ〉のころ
講師:田中孝道(美術家)×春原敏之(美術家)
聞き手:木内真由美(長野県立美術館学芸員)
2022年2月12日(土)午後2:02-
会場:長野県立美術館 B1Fホール
定員:50名(要申込 ※申込フォームにて、受付は1/12から)

松澤宥パフォーマンス映像上映会
2022年2月22日(火)午後2:22-
会場:長野県立美術館 B1Fホール
定員:50名(当日先着順 ※受付は午後2時から)

担当学芸員によるスライドトーク
2022年2月27日(日)、3月13日(日)午後2:02-
会場:長野県立美術館 3Fレセプションルーム
定員:30名(当日先着順 ※受付は午後1時30分から)

こどもアートラボ
2022年2月12日(土)、3月12日(土)午前10:00-午後3:00
会場:長野県立美術館 交流スペース
対象:どなたでも(要申込)
※ねんど・絵具・紙などを素材に遊びを通したさまざまな造形体験を提案。
申込方法は公式ウェブサイトを参照。

 


松澤宥 生誕100年祭
2022年1月29日(土)- 3月21日(月・祝)
https://matsuzawayutaka.jp/
主催:Suwa-Animism(スワニミズム)美術部
会場:諏訪湖博物館・赤彦記念館(3月21日まで開催)
御宿まるやギャラリー、マスヤゲストハウス、すみれ洋裁店、ninjinsan、Café Tac、Ericʼs Kitchen、UMI Coffee & Laundry、ゆめひろ(上諏訪)(諏訪湖博物館・赤彦記念館以外の8施設は2月13日まで開催)

トークイベント「松澤宥ってどんな人?」
登壇者:林聡一(松澤宥生誕100年祭実行委員長 / スワニミズム美術部)
木内真由美(長野県立美術館主査学芸員)
古家満葉(長野県立美術館学芸員)
2022年2月6日(日)午後2:02-4:02(途中休憩あり)
会場:諏訪湖博物館・赤彦記念館 講堂

Copyrighted Image