ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術 @ DIC川村記念美術館


 

ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術
2021年10月9日(土)– 2022年1月10日(月・祝)
DIC川村記念美術館
https://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:10:30-16:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/3、1/10は開館)、12/25–1/1
学芸担当:岡本想太郎(DIC川村記念美術館 学芸員)

 

DIC川村記念美術館では、1967年にデュッセルドルフに開廊した画廊を拠点に、同時代の新しい芸術動向をいち早く紹介し、ミニマル・アートとコンセプチュアル・アートの国際的な展開において重要な役割を担ったコンラート・フィッシャーとドロテ・フィッシャーに焦点を当てながら、1960年代から70年代のアメリカ合衆国およびヨーロッパのミニマル・アート、コンセプチュアル・アートを中心に振り返る展覧会『ミニマル/コンセプチュアル:ドロテ&コンラート・フィッシャーと1960–70年代美術』を開催する。

ミニマル・アートは1960年代に主にアメリカで展開した美術の潮流として知られている。レンガや金属板、蛍光灯といった工業用素材や既製品が使用されること、正方形や立方体などの単純で幾何学的な形態やその反復による構造が一般的な特徴として挙げられる。アーティストの感情の痕跡や身振りを伴う表現を排すことで、作品はその物質性を前景化させる。ミニマル・アートに続いて現れ、同時代に拡がりを見せたコンセプチュアル・アートは、実際の制作物以上に、もととなる考えを作品の成立条件として重視し、芸術にとって最も重要な要素はアイディアやコンセプトだと考えられた。特定の形態に限定されることなく、言葉をはじめ、写真、映像、印刷物、日用品、自然物、そしてアーティスト自身の身体など多様な媒体や形式が用いられた。

 


ドロテ・フィッシャーとコンラート・フィッシャー、1969年 Photo: Gerhard Richter

 

こうした新しい傾向をもつ芸術を紹介する国際的な拠点のひとつとなったのが、コンラート・フィッシャー(1939–1996/デュッセルドルフ生まれ)が、ドロテ・フィッシャー(1937–2015/ヴッパタール生まれ/旧姓:フランケ)とともに、1967年にデュッセルドルフに開廊した「Ausstellungen bei Konrad Fischer(コンラント・フィッシャーでの展覧会)」(現・コンラート・フィッシャー・ギャラリー)。当時はまだ国際的に知られていなかったアメリカやヨーロッパの若いアーティストたちとコンタクトを取りながら、完成した作品を高い費用をかけて海外から輸送するよりも、アーティスト本人をデュッセルドルフに招いて現地で制作する方法や、アーティストが記した指示書に基づき、フィッシャーをはじめ、職人やエンジニアなどが制作と展示設営を遂行するといった形で展覧会を実現していった。アーティストに伴走するその活動は、展示会場の新設や閉設、移転を経ながらも、従来の美術作品の枠組みを拡張するような、サイトスペシフィック、制度批判、作者性の再考などの要素を含む前衛的な表現を牽引するものとなった。1996年にコンラートが亡くなってからは、ドロテが単独でディレクターとなり、2007年にはベルリンにギャラリーを開設。2015年にドロテが亡くなると、長女のベルタがディレクターを引き継ぎ、現在もデュッセルドルフとベルリンに画廊を構えている。フィッシャー夫妻は、展覧会を手がけた作家たちの作品を蒐集し、同時に書簡や指示書、展示のためのドローイングといった多彩な資料も記録、保管しており、現在、そのコレクションはノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館に収蔵されている。2010年にはバルセロナ現代美術館とクアハウス・クレーフェ美術館で『With a Probability of Being Seen – Dorothee and Konrad Fischer. Archives of an attitude』、2016年にはノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館で『”Cloud & Crystal”. The Collection of Dorothee and Konrad Fischer』といった同コレクションを使った展覧会が開かれている。

本展は、故フィッシャー夫妻のコレクションを収蔵したノルトライン=ヴェストファーレン州立美術館の全面的な協力のもと、国内初公開作品を含む約100点の作品や資料を出品。さらに、国内所蔵の主要作品を加え、芸術とは何かを問い直し、今日のアートにも多大な影響を与えたミニマル・アートとコンセプチュアル・アートというふたつの芸術動向を振り返る。

 


ギルバート&ジョージ《アーチの下で(ボックス)》1969年 ノルトライン゠ヴェストファーレン州立美術館、デュッセルドルフ


コンラート・フィッシャーとギルバート&ジョージ(デュッセルドルフ、プラターネン通り、1973年11月)Konrad Fischer Galerie

 

出品作家(予定)
カール・アンドレ、リチャード・アートシュワーガー、ローター・バウムガルテン、ベルント&ヒラ・ベッヒャー、マルセル・ブロータース、スタンリー・ブラウン、ダニエル・ビュレン、ハンネ・ダルボーフェン、ヤン・ディベッツ、ダン・フレイヴィン、ギルバート&ジョージ、河原温、ソル・ルウィット、リチャード・ロング、ブルース・ナウマン、ブリンキー・パレルモ、ゲルハルト・リヒター、ロバート・ライマン

 

 

関連プログラム
学芸員によるギャラリートーク
※決定次第、公式ウェブサイトに掲載。

ガイドスタッフによる定時ツアー
※上記イベント開催日を除く毎日 14:00–14:45
定員:10名(要予約、先着順)、館内受付にて当日10:30より随時受付、無料(要入館料)

対話型鑑賞「オンライン mite!」(Zoomを使用したオンライン対話型鑑賞会)
毎月2回開催予定 11:00–11:45
定員:6名(要予約)、PassMarketにて受付、無料
※詳細は公式ウェブサイトに掲載。

 


 

巡回情報
愛知県美術館
2022年1月22日(土)– 3月13日(日)

兵庫県立美術館
2022年3月26日(土)– 5月29日(日)

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