ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室 @ DIC川村記念美術館

 

ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室
2023年7月29日(土)-11月5日(日)※一部展示替えあり
DIC川村記念美術館
https://kawamura-museum.dic.co.jp/
開館時間:9:30–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(ただし9/18、10/9は開館)、9/19、10/10
展覧会URL:https://kawamura-museum.dic.co.jp/art/exhibition-past/2023/albers/

 

DIC川村記念美術館では、画家、デザイナー、そして美術教師としてバウハウスやブラックマウンテン・カレッジ、イェール大学で教鞭を執り、戦後アメリカの重要なアーティストたちに影響を与えたジョセフ・アルバースの制作者/教師の両側面に迫る日本初の回顧展「ジョセフ・アルバースの授業 色と素材の実験室」を開催する。

ジョセフ&アニ・アルバース財団の全面的な協力を得て実現する本展は、国内初公開作品を含む絵画や関連資料など、約100点を通じて、画家としてのアルバースのみならず、実験的な授業をとらえた写真や映像、学生の作品も交えて、教育者の側面にも着目しながら、その活動を時系列に4章構成で紹介する。

「1章 バウハウス―素材の経済性(1920–1933)」では、ジョセフ・アルバース(1888–1976/ドイツ、ボトロップ生まれ)が1920年にヴァイマールのバウハウスに入学したのち、1923年に同校の教師に就任し、1933年の閉校時まで教育に携わった期間を取り上げる。専門教育に先立つ、造形のための基礎演習を担当したアルバースは、素材の性質を把握し、効率よく扱う方法を習得することを重視した教育を一貫して行なった。また、バウハウスではガラス画工房や家具工房でも教え、家具、食器などのデザインを手掛けるほか、ガラス作品も制作している。

 


ジョセフ・アルバース、スタッキング・テーブル、1927年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217 Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art


ジョセフ・アルバース、リーフ・スタディ I、1940年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217 Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art

 

ナチス政権の下でバウハウスが閉校してまもなく、アルバースはアメリカ合衆国ノースカロライナ州に創設されたばかりのブラックマウンテン・カレッジから招聘を受け、妻でアーティストのアニとともに渡米する。「2章 ブラックマウンテン・カレッジ―芸術と生(1933–1949)」では、リベラルアーツ教育を目指し、芸術をカリキュラムの中心に位置づけた同校で過ごした時期を扱う。新しい教育環境で、アルバースは自然物を素材として課題に用いるなど、より 先進的な課題を授業に取り入れていく。この地で過ごした約15年間は、自身の制作においても抽象絵画や版画にも取り組み、その後の展開につながる重要な時期となった。

続く「3章 イェール大学以後―色彩の探究(1950–)」は、アルバースがイェール大学に着任し、色彩への探究を深めていく時期を扱う。アルバースが担当した色彩課程では、さまざまな色の錯覚を作り出すことが求められ、学生たちは試行錯誤しながら課題と向き合うことで、色彩をより正確に見て、選び出す経験を積んだ。一方、制作においては1950年から20年以上にわたり、正方形による決まったフォーマットに色彩を配置した絵画シリーズ〈正方形讃歌〉に取り組んだ。隣接する色同士がさまざまな効果を生み出す同シリーズには、色彩を移ろいやすいものと考え、そのはたらきを動的に捉えようとするアルバースの探究が反映されている。本展では、同シリーズとともに主著『色彩の相互作用』(邦題:『配色の設計』)にも使われた学生の作品を展示することで、アルバースの色彩への取り組みを再考する。

 


ジョセフ・アルバース《プリズムのような II》1936年 ジョセフ&アニ・アルバース財団 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217 Photo: Tim Nighswander/Imaging4Art


ジョセフ・アルバース《正方形讃歌》1952–54年 DIC川村記念美術館 © The Josef and Anni Albers Foundation / JASPAR, Tokyo, 2023 G3217


作者不詳[イェール大学の学生]色彩演習 1958–60年頃 ジョセフ&アニ・アルバース財団 Courtesy of the Josef and Anni Albers Foundation

 

最終章となる「4章 版画集〈フォーミュレーション:アーティキュレーション〉(1972)」では、アルバースの集大成ともいえる版画集を取り上げる。各作品にはアルバース自身のテキストが付されており、その造形に対する思考や色彩への探求を追体験できる内容となる。

授業の目的を「目を開くこと」だと述べたアルバースは、ただ知識を教えるのではなく、学生に課題を与え、手を動かして考えることを促し、答えを探究することで、色彩や素材のもつ新しい可能性を自ら発見させようとした。本展では、実際にアルバースの出した課題に挑戦できる常設のワークショップ・スペースを設け、来場者が色や素材のもつ不思議さや楽しさを自ら発見できる機会も提供する。

 


DIC川村記念美術館 YouTube公式チャンネルより 展示会場で体験できる常設ワークショップの解説動画(ワークショップは全部で4種類)。

 

関連イベント ※最新情報は美術館ウェブサイトを参照
「ジョセフ・アルバース、教師そして芸術家」について
2023年7月29日(土)13:30-15:30
講師:ブレンダ・ダニロウィッツ(ジョセフ&アニ・アルバース財団チーフ・キュレーター)
会場:DIC川村記念美術館 1階レクチャールーム
定員:50名(要予約) ※申込は既に満席のため終了
※入館料のみ

2023年9月23日(土)13:30-15:30
講師:沢山遼(美術批評家)
会場:DIC川村記念美術館 1階レクチャールーム
定員:50名
※入館料のみ

学芸員によるギャラリートーク
2023年8月12日(土)、9月17日(日)、10月20日(金)各日11:30-(約1時間)
定員:35名(先着順、要予約)
※当日9:30より館内にて随時受付。11:20にエントランスホール集合
※入館料のみ

ガイドスタッフによるギャラリートーク
毎日14:00-
定員:20名(先着順、要予約)
※当日9:30より館内にて随時受付
※入館料のみ

ワークショップ:インタラクション・オブ・カラー ──色の相互作用を体験する
講師:永原康史(グラフィックデザイナー、ジョセフ・アルバース『配色の設計』監訳者)
2023年8月19日(土)13:30-15:30
定員:30名(先着順、要予約)
対象:中学生以上
参加費:1,000円
受付は8月5日から開始
https://kawamura-museum.dic.co.jp/topics/2023/07-workshop/

ラーニング:アルバースの授業に挑戦!
講師:亀山裕亮(DIC川村記念美術館学芸員)
2023年8月10日(木)、8月26日(土)、9月9日(土)、9月16日(土)、9月29日(金)、10月9日(月・祝)、10月21日(土)、10月28日(土)※課題は毎回異なる
各日11:30-12:15(11:30エントランスホール集合)
定員:15名(先着順、要予約)
対象:小学生以上(大人も可)
参加費:入館料のみ
※当日9:30より館内にて当日分のみ随時受付。材料は美術館が用意
各日の課題等、詳細は公式ウェブサイトを参照
https://kawamura-museum.dic.co.jp/topics/2023/07-learning/

コンサート:サウンドミュージアム・オブ・テルミン
2023年10月14日(土)18:00-(開場:17:45)
出演:ザ・ぷー=街角マチコ(テルミン)、街角マチオ(ギター&ボーカル)
料金:一般5,000円、会員4,500円 *当日入館料込み
受付は会員8月11日(金)、一般8月23日(水)開始
https://kawamura-museum.dic.co.jp/topics/2023/10-concert/

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