第15回「shiseido art egg」@ 資生堂ギャラリー


 

第15回「shiseido art egg」
石原海|2021年9月14日(火)– 10月10日(日)
菅実花|2021年10月19日(火)– 11月14日(日)
中島伽耶子|2021年11月23日(火・祝)– 12月19日(日)
資生堂ギャラリー
https://gallery.shiseido.com/
開館時間:11:00–19:00(日・祝は18:00まで)
休館日:月

 

資生堂ギャラリーは、新進アーティストによる「新しい美の発見と創造」の応援を目的とした公募プログラム「shiseido art egg」の入選者3名の個展を9月14日より順次開催する。15回目の開催となる本年度は、243件の応募の中から選ばれた石原海、菅実花、中島伽耶子がそれぞれ約1ヶ月間の個展に挑む。

資生堂は1919年に資生堂ギャラリーを開廊し、「新しい美の発見と創造」という活動理念の下、アートによる美しい出会いや経験を人々に提供する活動を続けている。同活動の一環として2006年に設立された「shiseido art egg」は、新進アーティストにギャラリーの門戸を開き、数多くの受賞者/入選者の表現を幅広い観客に紹介してきた。公募審査における要素として、制作テーマや作品のクオリティのほか、「資生堂ギャラリーの空間でなにをどのように表現しようとしているのか」が重視されており、実現した各個展を見る上での注目点のひとつとなる。

今回は初のWebのみの公募となったが、応募総数に大きな変化はなく、資生堂ギャラリーの空間特性を意識した具体的で緻密なプロポーザルが多数寄せられた。審査は、資生堂ギャラリーアドバイザーの伊藤俊治(美術史家/東京藝術大学名誉教授)と光田由里(美術評論家)、資生堂ギャラリー学芸スタッフ・社員審査員が担当(審査の所感と各入選者への審査員評は公式ウェブサイトに掲載)。また、すべての展覧会終了後に、金沢健一(彫刻家)、小田原のどか(彫刻家/評論家/出版社代表)、小林エリカ(作家/マンガ家)の審査の下、資生堂ギャラリーの空間に果敢に挑み新しい価値の創造を最も感じさせたアーティストに、shiseido art egg賞が贈呈される。

 


石原海《UMMMI.のロンリーガール》2016年 HDヴィデオ、プロジェクター、iPad、Tumblrウェブサイト、看板、紙

石原海|2021年9月14日(火)– 10月10日(日)
石原海(1993年東京都生まれ)は、愛、ジェンダー、個人史と社会をテーマに、実験的な映画作品やヴィデオインスタレーションを発表してきた。現実の出来事を軸に、独自のセンスでフィクションや物語的な要素を加えて構築する作品は、現代社会の一面や心の機微を丁寧に捉える。石原は2018年に東京藝術大学美術学部先端芸術表現科を卒業し、ロンドン大学ゴールドスミスカレッジファインアート学科に進むが現在は休学し、福岡県に拠点を置く。2019年には初の長編映画『ガーデンアパート』が短編作品『忘却の先駆者』とともにロッテルダム国際映画祭Bright Future部門で上映されたり、ロンドンのサウスロンドン・ギャラリーで開かれた『Bloomberg New Contemporaries 2019』で作品を発表している。本展では、シモーヌ・ヴェイユの『重力と恩寵』から影響を受けたという《重力の光》を発表。北九州のある教会に集う人々と行なう演劇を通して、苦しみや生の意味を追求するとともに、インタビューを交差させることで、根源的な問いを提示する場をつくりだす。

 


菅実花《A Happy Birthday》2019年 インクジェットプリント

菅実花|2021年10月19日(火)– 11月14日(日)
菅実花(1988年神奈川県生まれ)は、ヒューマノイドロボットや高度生殖医療など、テクノロジーの進歩によって変遷しつつある新たな身体感や生殖のあり方をテーマとし、写真・人形・映像などのメディアを用いて「人間とは何か」を探究している。菅は2021年に東京藝術大学大学院美術研究科 先端芸術表現専攻博士後期課程を修了。現在は千葉県に拠点を置く。2019年には原爆の図丸木美術館で個展『The Ghost in the Doll』を開催し、2020年には『VOCA展2020 現代美術の展望−新しい平面の作家たち–』(上野の森美術館)でも作品を発表している。本展では、写真作品、分光シートを使った吊りモビール、LEDライトによる光学インスタレーション、テレイドスコープ(万華鏡)などを駆使する新たなアプローチにより、実体のなさと視覚的な鮮明さを同時に体験させる空間をつくりだし、その視覚認識を揺さぶる作品によって、近未来の価値観の変化を予感させ、鑑賞者に新たな世界を提示する。

 


中島伽耶子《light dress》2019年 アクリル樹脂、電球、自然光、LED電球、色紙、ボタン、配線コード

中島伽耶子|2021年11月23日(火・祝)– 12月19日(日)
中島伽耶子(1990年京都府生まれ)は、壁や境界線をモチーフとして人と場所との関わりについて問う作品を制作している。中島は2020年に東京藝術大学美術研究科美術専攻博士後期課程を修了し、現在は秋田県に拠点を置く。これまでに、オーストラリアのフリーマントル・ビエンナーレ2019や台湾の花蓮で開かれた『Fault Line Art Festival』などで作品を発表している。本展では、ギャラリーを巨大な壁で分断し、鑑賞者の動きによって光と音のみが行き来する空間をつくりだす。なんらかのサインとなり壁の反対側に送られる光や音は、受け取る側の状態によっては暴力的になるかもしれないし、希望となるかもしれない。田中敦子の《ベル》(1955)を参照点に、2021年にふさわしい光と空間の体験の創出を試みる。

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