MOTアニュアル2020 透明な力たち @ 東京都現代美術館


岩竹理恵《内包される風景#表情筋》2018年

 

MOTアニュアル2020 透明な力たち
2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)
東京都現代美術館
https://www.mot-art-museum.jp/
開館時間:10:00-18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし11/23、1/11は開館)、11/24、年末年始(12/28-1/1)、1/12
企画:小高日香理(東京都現代美術館学芸員)

 

東京都現代美術館では、現代美術の一側面を切り取り、問いかけや議論のはじまりを引き出すグループ展のシリーズ「MOTアニュアル」を開催している。16回目となる本展『MOTアニュアル2020 透明な力たち』では、人や物を動かしている自然界や社会の中の不可視の力の作用に着目し、そのメカニズムの再構築を試みるアーティスト5組の実践を紹介する。

物の動きに直接影響を与える重力や磁力や摩擦、生き物の性質や行動に作用するDNA、あるいは、社会を形成する諸システムやルール、その背景にある人々の思考、意識、感情、固定概念。こうした目に見えない数多の力が複雑な世界の様相をつくりだしている。本展では、物事を動かし変化させるメカニズムを咀嚼しなおし、自分の手で、あるいは誰かと協働して、再構築するアーティストの実践を通じて、私たちを取り巻く「透明な力たち」を考察し、見慣れた風景を見つめる新たな視点の獲得を目指す。出品作家は、片岡純也+岩竹理恵、清水陽子、中島佑太、Goh Uozumi、久保ガエタンの5組。

 


片岡純也《回る電球 #4 霰》2019年

 

2013年にパリのレジデンスをきっかけに二人組のアートユニットとして活動をはじめた片岡純也+岩竹理恵(1982年栃木県生まれ/1982年ヨハネスブルグ生まれ)は、電球や食器や本などの日用品に、物理的エネルギー(重力、風力、磁力等)を加えて、通常の役割とは異なる動きを引き出すキネティックな作品や、切手や博物辞典などから切り抜いた断片を組み合わせた繊細なコラージュ作品からなるインスタレーションを展開する。昨年は『大理石の上での電球と送風機の必然の回転のように』(KANA KAWANISHI GALLERY)、『二つの心臓の大きな川』(アーツ千代田 3331)の2箇所で個展を開催し、2020年はcobirdとの二組展『変容のありか 流れる時間の捉え方』(藤沢市アートスペース)で作品を発表している。

清水陽子(1977年京都府生まれ)は、自然、生命、宇宙のメカニズムをテーマに、微生物、細胞、DNA、有機物などのミクロの世界から植物、自然、地球全体におけるマクロの現象まで、その美しさを可視化する作品を制作している。近年は資生堂アートギャラリーで開かれたグループ展『Link of Life』(2017)、『India Design ID』(ニューデリー、2019)に参加、ニューヨークのNARS Foundationで個展『Biodesign Lab Exhibition』(2019)を開催。2020年よりアルスエレクトロニカ・フューチャーラボのアーティスト兼リサーチャーとして、オーストリアのリンツで活動している。

中島佑太(1985年群馬県生まれ)は、予測不可能要素を受け入れたワークショップや遊びの要素を含んだ活動を通じて、日常的に「当たり前」と思われている身の回りのルールやタブーに切り込み、その再構築・書き換えを試みる。『3・11 とアーティスト:進行形の記録』(水戸芸術館、2012)、『表現の森 協働としてのアート』(アーツ前橋、2016)、『第2回・コレクション展 僕らが消えても、世界はつづく?』(宇都宮美術館、2019)などに参加。代表的なプロジェクトに、ある家族が10月13日に守る3つのルールを決め、毎年儀礼的に守りつづける《家族のルール〜杉谷家〜》、身近なテーマで分けたグループの間にバリケードをつくる《あっちがわとこっちがわをつくる》などがある。

 


清水陽子《バイオスピーカー》2017年


中島佑太《あっちがわとこっちがわをつくる(旅行に行くならイタリアか北海道か)》2015年 撮影:加藤甫

 

Goh Uozumiは、自律分散組織、プログラマブル・マネー、機械学習、監視社会、クリエイティヴ・コーディングなど、「文明における自動化の動向」を考察する作品を発表している。近作には、人工知能が自らのための国家をつくる《空の国家》、新秩序の起源として暗号通貨や分散台帳を描く《NewOrder/SirenCall?》などがある。これまでに、2009年度文化庁メディア芸術祭奨励賞、2015年度Prix Digital Choc大賞を受賞。2012年に山口情報芸術センターで個展『OBSERVER N』を開催。昨年は『Lux Aeterna in ISEA』(光州国立アジア文化殿堂)に出品している。

久保ガエタン(1988年東京都生まれ)は、超常現象や自然科学的に知覚できないもの、精神分析や社会科学の中の見えない関係性を「オカルト(隠された存在)」と総称し、独自の装置を通して考察を続ける。2016年に個展『エマージェンシーズ!028 ”破壊始建設 / Research & Destroy”』(NTTインターコミュニケーション・センター)、2017年に個展『僕の体が僕の実験室です。あるいはそれを地球偶然管理局と呼ぶ。』(児玉画廊|天王洲)を開催。そのほか、『新・今日の作家展 2017 ”キオクのかたち/キロクのかたち”』(横浜市民ギャラリー、2017)、『STEAM THINKING』(京都市京セラ美術館、2020)などで作品を発表している。

会期中には参加アーティストによるイベントを予定。詳細は公式ウェブサイトで発表される。本展のキュレーションを手がけるのは東京都現代美術館学芸員の小高日香理。昨夏に同館で開催した『あそびのじかん』(2019)をはじめ、『MOTサテライト2017秋 むすぶ風景』(2017)、『オスカー・ニーマイヤー』(2015)、『ミシェル・ゴンドリーの世界一周』(2014)を担当している。

 


Goh Uozumi《空の国家—State of Empty》2016年 『Media Conscious』展 NTT InterCommunication Center [ICC]


久保ガエタン『記憶の遠近法』展示風景 2016年 撮影:木奥惠三

 

関連プログラム
※アーティストによるイベントを予定。詳細は決まり次第、公式ウェブサイトに順次掲載。

 


 

石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか
2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)

MOTコレクション 第2期 コレクションを巻き戻す
2020年11月14日(土)- 2021年2月14日(日)

VIRTUAL ART BOOK FAIR(VABF)
2020年11月16日(月)- 11月23日(月・祝)
https://virtualartbookfair.com/

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