収集→保存 あつめてのこす @ 高知県立美術館


絵金派《源平布引滝 竹生島遊覧》制作年不詳 高知県立美術館蔵

 

収集→保存 あつめてのこす
2020年4月4日(土)- 5月17日(日)
高知県立美術館
https://moak.jp/
開館時間:9:00-17:00 最終入場は閉館30分前まで
会期中無休
展覧会企画:塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)
※開館について、状況に応じて変更の可能性あり

 

高知県立美術館では、美術館が司る「収集」と「保存」というふたつの機能に焦点を当てた展覧会『収集→保存 あつめてのこす』を開催する。本展はコレクション形成の歴史を辿るだけでなく、美術館で作品を「あつめてのこす」にあたって生起する出来事や課題を共有し、地域における美術館の役割を問い直す意欲的な試みとなる。

本展において、1993年の開館から27年を経た現在の高知県立美術館が直面する大小さまざまな問題は、同館コレクションを鑑賞する上での新たな視点として提示される。「収集」に着目したセクションでは、新規収蔵品の初公開にあたり、各作品の収集に関わった担当学芸員が音声ガイドを通じて収集経緯を語る。また、従来のコレクションである土佐の祭礼を彩った絵金派の芝居絵屏風や、河田小龍、岡崎精郎、山脇信徳といった高知出身の作家、そのほか、村山槐多、岸田劉生、柳瀬正夢、篠原有司男などの作品はその来歴とともに紹介する。さらに、同館コレクションの核とも呼べるジャン=ミシェル・バスキアやゲルハルト・リヒターなど80-90年代の作品の紹介においては、公立美術館の購入予算と高騰する現在の市場価格との関係から窺うことのできる「あの時しか収集しえなかった」という視点を通して、時代の変化に応じて見え方も価値評価も異なるアクティブな存在としてのコレクションの姿が見えてくるだろう。

 


岸田劉生《画家の妻》1914年 高知県立美術館蔵


ゲルハルト・リヒター《ステイション》(577-1)1985年 高知県立美術館蔵

 

一方、「保存」に着目したセクションでは、高知県立美術館が経験した1998年の豪雨水害による被災の歴史を踏まえ、当時被災した作品を修復前の写真資料とともに展示し、作品を次世代に継承することの困難と意義について改めて考える。また、素材が多様化する美術作品の保存の難しさや課題に対し、土など多様な素材が用いられたアンゼルム・キーファーによる《アタノール》を最新の科学分析結果とともに、森村泰昌によるプリクラ機《モリクラ・マシーン》、生産が減り続けている消耗材となったネオン管を使った柳幸典の《ヒノマル・イルミネーション》を、学芸員がアーティスト本人に作品保存について問いかけたインタビュー映像とともに紹介する。

会期中には、本展企画者の塚本麻莉のほか、保存修復士の田口かおり、横浜市民ギャラリーあざみ野主席学芸員の天野太郎を招聘し、シンポジウム「公立美術館における収集と保存」を開催、公立美術館が抱える「あつめてのこす」難しさや課題について検討、これからの美術館のあるべき姿を探る。また、本展出品作家のバスキアやリヒターも登場する作品の価格を題材にアート市場の裏側に迫ったドキュメンタリー『アートのお値段』の上映も開催する。

 


柳幸典《ヒノマル・イルミネーション》1992年 高知県立美術館蔵 撮影:上野則宏 ©Yukinori Yanagi

 

関連企画

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①展覧会プレトーク「修復家のお仕事」 新型コロナウィルスの感染拡大防止のため、本イベントは中止
講師:大原秀之(絵画修復士)
2020年3月28日(土)19:00-21:00
会場:高知 蔦屋書店 2階イベントスペース(高知市南御座6-10)
定員:40名
※事前予約は原則不要。席の確保希望者は3/27までに「展覧会プレトーク参加希望」のタイトルで、本文に名前と人数を記入の上、特定非営利活動法人「地域文化計画」(opalh2019@gmail.com)まで申込ください。

②関連映画上映会「アートのお値段」
2020年4月29日(水・祝)
10:30-、13:30-、16:30-、19:30-
会場:高知県立美術館ホール
入場料:1,000円(展覧会半券の提示で600円に割引)
映画の内容詳細はこちら

③シンポジウム「公立美術館における収集と保存」
登壇者:塚本麻莉(高知県立美術館学芸員、本展企画者)
田口かおり(修復家、東海大学情報技術センター特任講師)
天野太郎(横浜市民ギャラリーあざみ野 主席学芸員、札幌国際芸術祭2020 統括ディレクター)
2020年5月2日(土)13:00-16:00
会場:高知県立美術館1階講義室
第1部|発表
第2部|発表者によるディスカッション
※情報は公式ウェブサイトにて随時更新

④担当学芸員によるギャラリー・トーク
2020年4月5日、19日、5月3日、6日、17日 ※各日14:00-
集合場所:高知県立美術館第1会場入口
料金:無料(要当日観覧券)
※5/3は手話通訳付き
Guided tour with English translation
Date: 4/19 (SUN) 14:00-
※ Free with museum admission; reservations are not necessary.

その他の関連イベントは公式ウェブサイトを参照

 


森村泰昌《肖像(双子)》1988-90年 高知県立美術館蔵 ©️Yasumasa Morimura

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