合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない @ 高知県立美術館


合田佐和子《ロゼッタ・ギャラクシー》2000年、個人蔵

 

合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない
2022年11月3日(木)– 2023年1月15日(日)
高知県立美術館
https://moak.jp/
開館時間:9:00–17:00 入場は閉館30分前まで
休館日:12/27-1/1
企画担当:塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)
展覧会URL:https://moak.jp/event/exhibitions/goda_sawako.html

 

高知県立美術館では、同時代の現代美術やサブカルチャーの文脈に依拠せず、オブジェや絵画、写真などのメディアを横断しながら幅広い制作活動を展開した美術家・合田佐和子の没後初にして、過去最大規模の回顧展『帰る途(みち)もつもりもない』を開催する。

合田佐和子(1940-2016/高知生まれ)は、廃品を組み合わせた「オブジェ⼈形」、蛇や⼈体のパーツをモティーフにしたエロティックで奇怪なオブジェ、銀幕スターらをモチーフにした絵画、ボディ・メイクを施した親しい間柄の⼈々を捉えたポラロイド写真など、次々と異なる表現メディアを開拓した。1965年に銀芳堂(東京)で初個展を開催。69年以降は唐十郎や寺山修司による演劇の舞台美術やポスター原画を手掛けるなど、その表現はアングラが隆盛した時代の空気を体現するに至る。しかし、90年代からはそれまでの退廃的な作風を脱ぎ捨て、内省に基づく独自の制作論の実践へと移行し、作品はパステル調の色彩に彩られ、まばゆい光に満たされていった。主な展覧会に、『現代のアーティストシリーズVOL.4 合田佐和子展』(富山市民プラザアートギャラリー、1994)、高知県立美術館で開かれた森村泰昌との二人展『森村泰昌と合田佐和子展』(2001)、約40年の制作活動を総合した初の回顧展『合田佐和子 影像 ―絵画・オブジェ・写真―』(松濤美術館、2003)が挙げられる。

 


合田佐和子《Watch-Angels》1964年、高知県立美術館蔵


合田佐和子《極彩色のタマゴ》1968年頃、ギャラリーセラー蔵

 

合田の制作は1985年の約1年にわたるエジプト滞在を機に内省化の兆しを⾒せ、作⾵もそれまでの退廃的な雰囲気からは⼀転、光と⾊彩に満ちた独⾃の内的世界を感じさせるものとなる。そのことを踏まえて、本展では1940年の出⽣から85年の前半⽣を第1部、86年から2016年に逝去するまでの後半⽣を第2部とする構成で、個⼈・公⽴美術館収蔵の代表作から遺族宅に残されていた未公開作品まで、初期から最晩年までを含む300点余りの作品と資料を通して、その作⾵や思考の変遷を辿る。なかでも、65年から70年代にかけての合⽥の初期活動に多⼤な影響を与えた詩人の⽩⽯かずことの影響関係については、最新の研究に基づき、当時の雑誌資料等の展⽰を通して両者の関係性を検証することで、合⽥の初期活動に新たな⾓度から光を当て、その制作がいかに 同時代性を持つものであったのかを探る。なお、三鷹市美術ギャラリーに巡回予定の本企画だが、高知会場のみ、1970年代初頭の合⽥の⽣活を活写した久⾥洋⼆監督によるドキュメンタリー「芸術家の⽣活と意⾒―合⽥佐和⼦」(1973 年、35mm、30分、カラー)を出品する。

会期中には、本展を企画した塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)と富田智子(三鷹市美術ギャラリー学芸員)によるクロストークや、栃木県立美術館勤務時代からジェンダーやフェミニズムに関する数々の表現を紹介してきた小勝禮子(近現代美術史・美術批評)によるゲストレクチャー「戦後の前衛―合田佐和子と同時代の女性美術家たち」などのレクチャーのほか、映画上映会、ワークショップを開催する。

 


合田佐和子《もの思うベロニカ》1972年、森田陽司氏蔵


合田佐和子《鏡の中》1974年、JEANS FACTORY蔵

 

関連イベント
合田佐和子展が実現するまで
登壇:塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)、富田智子(三鷹市美術ギャラリー学芸員)
2022年11月3日(木・祝)13:00-14:30
会場:高知県立美術館ホール
申込不要、先着順

学芸員によるギャラリートーク
2022年11月3日(木・祝)15:00-
12月18日(日)、2023年1月8日(日)、1月15日(日)13:30-
要観覧券

ゲストレクチャー「戦後の前衛―合田佐和子と同時代の女性美術家たち」
講師:小勝禮子(近現代美術史・美術批評)
2022年11月6日(日)14:00-
会場:高知県立美術館1階講義室
50名程度(申込不要、先着順)

サタデーレクチャー「合田佐和子を語り直す」
講師:塚本麻莉(高知県立美術館学芸員)
2022年11月26日(土)14:00-
会場:高知県立美術館1階講義室
50名程度(申込不要、先着順)

 


合田佐和子《ばらの天地創造》1997年、高知県立美術館蔵


合田佐和子《90度のまなざし》2003年、横山知雄氏蔵

 

映画上映会
無声映画×ライヴ演奏&秋の定期上映会「合田佐和子が描いた銀幕のスターたち」
無声映画 x ライヴ演奏付
演奏者:坂田明、大友良英、勝井祐二、山本達久、武田理沙
企画原案・司会:田中淳(松山無声映画上映会実行委員会)
2022年11月17日(木)、11月18日(金)各日とも18:30-(開場:18:00)
会場:高知県立美術館ホール
料金:前売3,000円、当日3,500円

秋の定期上映会
2022年11月19日(土)、11月20日(日)各日とも18:30-
会場:高知県立美術館ホール
料金:前売1,000円、当日1,200円
上映プログラム等詳細は公式ウェブサイトを参照
https://moak.jp/event/performing_arts/autumnscreening2022_silentfilm.html

大木裕之監督「優勝 ―Renaissance」& JEANS FACTORY CM上映
2022年12月11日(日)13:00-
会場:高知県立美術館ホール
料金:500円
協力:JEANS FACTORY

寺山修司監督「上海異人娼館 チャイナ・ドール」 R18+
2022年12月11日(日)17:00-
会場:高知県立美術館ホール
料金:500円

 

スペシャルワークショップ
「イメージをあそぶ」
講師:大月ヒロ子(ミュージアム・エデュケーション・プランナー)
2022年12月3日(土)13:00-
2022年12月4日(日)10:00-
場所:高知県立美術館1階創作室
定員:各回30名(先着順)
対象:小学生以上の子どもから大人まで
参加費:1名500円
※要予約(電話受付:088-866-8000/受付時間:9:00-17:00)

 


巡回情報
合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない
2023年1月28日(土)– 3月26日(日)
三鷹市美術ギャラリー
https://mitaka-sportsandculture.or.jp/gallery/event/20230128/

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