非零和無限不確定不完全情報ゲームとしてのアート? @ タリオンギャラリー


アラン《ゾンビマスター》2017年、Photo by Fuyumi Murata

 

非零和無限不確定不完全情報ゲームとしてのアート?
2019年11月30日(土)- 12月29日(日)
タリオンギャラリー
http://www.taliongallery.com/
開廊時間:11:00-19:00
休廊日:月、火、祝
キュレーター:副田一穂(愛知県美術館学芸員)
※オープニングレセプション:11月30日(土)18:00-20:00

 

タリオンギャラリーでは、『芸術植物園』などの企画を手がけてきた愛知県美術館学芸員の副田一穂のキュレーションの下、既存のゲームのメカニクスと道具との関係を拗らせて新たなゲームを生み出すふたりのアーティスト、アラン(三浦阿藍)と斉と公平太の活動を紹介する展覧会『非零和無限不確定不完全情報ゲームとしてのアート?』を開催する。

アラン(三浦阿藍)(1991年鳥取県生まれ)は、成安造形大学芸術学部芸術学科を卒業し、鳥取大学大学院地域学研究科に在籍しながら、梅津庸一が率いる神奈川・相模原のパープルーム予備校生となる。アーティストであり、ゲームデザイナーでもあるアランは、自らゲームを考案したり、ゲームをめぐる文化をモチーフとした作品を制作している。近年はワタリウム美術館で開かれた『恋せよ乙女!パープルーム大学と梅津庸一の構想画』(2017)をはじめとするパープルーム関連の展示や、リボーンアート・フェスティバル2019に参加。2018年には個展『communicatio – コムニカチオ』をTAV GALLERYで開催している。本展では、自らが開発したボードゲーム「ゾンビマスター」において、ゲーム道具とプレイヤーとの間のコミュニケーション不全に焦点を当てた展示を行なう。

斉と公平太(1972年愛知県生まれ)は、名古屋造形芸術大学(現・名古屋造形大学)を卒業し、水戸芸術館現代美術ギャラリーのクリテリオム(1997)や『VOCA展1998 現代美術の展望−新しい平面の作家たち−』(上野の森美術館、1998)、『空き地』(豊田市美術館、2000)などで作品を発表、2005年には第8回岡本太郎現代芸術賞を受賞している。「オカザえもん」をはじめとする日本のご当地キャラクターに着目した作品でも知られる斉と公平太は、近年、蒲郡図書館での個展(2013、2015)やアートラボあいちでの個展『グスタフ・フェヒナーもしくはベンハムの独楽』(2018)などを開催。2015年には愛知県芸術文化選奨新人賞を受賞。中日新聞プラスで「芸術は漠然だ!~斉と公平太のムダに考えすぎ~」を連載している。チェスの駒の見かけ上の形状を、将棋の駒の形状に差し替え、意匠登録した《将棋形チェス》を中心に発表する。

 


斉と公平太《将棋形チェス 試作品》2019年

 

本展のキュレーションを手がけた副田一穂(1982年福岡県生まれ)は、東京大学大学院人文社会系研究科基礎文化研究専攻(美術史学)を修了し、2008年より現職である愛知県美術館で学芸員を務める。近現代美術、特にシュルレアリスムとそのローカルな展開を中心に調査研究を行ない、科学写真や図表といった視覚文化と美術との交差を掘り起こす展覧会を手がけてきた。主な企画に、『マックス・エルンスト−−フィギュア×スケープ』(横浜美術館・宇都宮美術館・愛知県美術館共同企画、2012)、上述した『芸術植物園』(愛知県美術館、2015)、『アイチアートクロニクル1919-2019』(愛知県美術館、2019)などがあり、主な論考に、「(反)バルセロナの画家、ジュアン・ミロ」(『バルセロナ:カタルーニャ文化の再生と展開』収録、竹林舎、2017)、「阿部展也(芳文)と『みちしるべ』:日本占領下のフィリピンにおける画家の活動の一断片」(『愛知県美術館研究紀要』収録、2017)などがある。

「わたしたちは、自分を取り巻いている世界や自分自身を知り、そして他者と関わりあうひとつのやり方として、「遊ぶ」というモードを持っている。いまや世界のいたるところにゲームがあり、アートがある。そして、ゲームもアートも、この「遊ぶ」というモードと、強く結びついている。プレイヤーであるわたしたちには開示されていないメカニクスによって、わたしたちの行動のひとつひとつはこの世界にささやかな変化という結果をもたらす。ゲームとアートが共有しうる原理的思考に基づいて、世界を遊ぶわたしたちの次の一手を検討しよう。」
(副田一穂、Curator’s Statement、本展プレスリリースより)

 


『芸術植物園』2015年、愛知県美術館

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