小企画『塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」』@ 兵庫県立美術館


『塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」』展ロゴ

 

2019年度 コレクション展Ⅲ
小企画『塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」』
2019年11月23日(土・祝)- 2020年3月1日(日)
兵庫県立美術館 常設展示室6
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00-18:00(特別展開催中の金、土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、1/13、2/24は開館)、年末年始およびメンテナンス休館(12/31-1/10)、1/14、2/25

 

兵庫県立美術館は、10,000点を超える収蔵作品の中から個々に展示テーマを設けて作品を紹介する常設展示において、マルセル・デュシャンの代表作のひとつ《トランクの中の箱》の個々のすべての要素を提示する小企画『塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」』を開催する。

マルセル・デュシャン(1887-1968)は、「芸術作品」や「芸術家」の概念を問い直す作品を数多く残し、現代の美術に多大な影響をもたらした20世紀を代表するアーティストとして知られている。昨年は、フィラデルフィア美術館が企画、監修する巡回展『デュシャン 人と作品(The Essential Duchamp)』が東京国立博物館で開催された(日本開催では、『マルセル・デュシャンと日本美術』と題して、「デュシャンの向こうに日本がみえる。」展との2部構成で開催された)。《トランクの中の箱》は、デュシャン自身の主要作品のミニチュアや写真複製等で構成されたマルチプル作品で、それ自体も作品の一部である革製の「トランク」にすべての構成要素を収納することが可能で、デュシャン芸術が凝縮した「持ち運びできる、小さな美術館」としてつくられている。一般的にその集合体的な性質を強調するために、「トランク」の中やその周囲に個々の要素が折り重ねた状態で展示される《トランクの中の箱》だが、本企画では、その中に収められた構成要素(80アイテム)を可能な限りすべて提示することで、各構成要素のひとつひとつに目を向けると共に、本作品の全体像を「見る」体験を実現する。

会期中には、京都工芸繊維大学准教授の平芳幸浩による講演会「デュシャンと箱と美術館」を開催する。平芳は、2004年に国立国際美術館で『マルセル・デュシャンと20世紀美術』を担当し、著書『マルセル・デュシャンとアメリカ−戦後アメリカ美術の進展とデュシャン受容の変遷』(ナカニシヤ出版、2016)で吉田秀和賞を受賞、京都国立近代美術館で2017年から2018年にかけて企画された連続展示および関連書籍『百年の《泉》 ―便器が芸術になるとき』(LIXIL出版、2018)に携わり、昨年は『マルセル・デュシャンとは何か』(河出書房新社)を出版するなど、デュシャンの活動や作品に関する数々の研究で知られる。

なお、兵庫県立美術館は本年度より、収蔵作品の常設展示の名称を「県美プレミアム」から「コレクション展」に変え、1年を3期に区切って、横断的にコレクションを紹介する変化に富んだ常設展示を行なっている。コレクション展Ⅲでは小企画『塩売りのトランク マルセル・デュシャンの「小さな美術館」』のほか、「もうひとつの日常」をテーマとした特集展示を同時開催している。また、「注目作家紹介プログラム〈チャンネル〉」の10回目として、岡山県出身で現在は広島を拠点に活動する入江早耶(1983年生まれ)の個展をギャラリー棟アトリエ1ほかにて開催する。日常的な素材を使いながら、変わらないものの存在を問う制作をつづけてきた入江は、掛軸や写真などのイメージを消し、消し去った観音や小鳥などを消しゴムのカスで小さな立体物としてつくりあげる作品などで知られる。本展では、兵庫県の残る3つの古墳にまつわる悲恋伝説「菟原処女(うないおとめ)の伝説」をテーマに、その続編となるストーリーを新作で発表する。

 

関連事業
講演会「デュシャンと箱と美術館」
講師:平芳幸浩(京都工芸繊維大学准教授)
2019年12月22日(日)14:00-(約90分)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:100名(先着順)、要観覧券

学芸員によるギャラリートーク
2019年12月14日(土)、2020年1月18日(土)各日16:00-(約45分)
※エントランスホール集合、参加無料、要観覧券

 


 


名坂有子《作品Ⅰ》1964年

2019年度 コレクション展Ⅲ
特集『もうひとつの日常』
2019年11月23日(土・祝)- 2020年3月1日(日)
兵庫県立美術館 常設展示室1〜5

 


入江早耶《純真遺跡 ~愛のラビリンス~》作品スケッチ

注目作家紹介プログラム チャンネル10
『入江早耶展 純真遺跡 〜愛のラビリンス〜』
2019年11月23日(土・祝)- 12月22日(日)
兵庫県立美術館ギャラリー棟アトリエ1ほか
担当学芸員:橋本こずえ(兵庫県立美術館学芸員)

オープンイベント「入江早耶アーティスト・トーク」
2019年11月23日(土・祝)14:00-14:30
会場:兵庫県立美術館ギャラリー棟アトリエ1
※聴講無料、申込不要

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