集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展 @ 兵庫県立美術館


村上三郎「作品〈空〉」1956/85年 兵庫県立美術館(山村コレクション)
©TOMOHIKO MURAKAMI

 

ICOM京都大会開催記念
集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展
2019年8月3日(土)-9月29日(日)
兵庫県立美術館
https://www.artm.pref.hyogo.jp/
開館時間:10:00-18:00(金、土は20:00まで)入場は閉館30分前まで
休館日:月(ただし、8/12、9/16、9/23は開館)、8/13、9/17、9/24
企画担当:江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)
鈴木慈子(兵庫県立美術館学芸員)

 

兵庫県立美術館では、西宮市出身の企業家、山村德太郎が長年にわたり収集した日本の戦後美術のコレクションを紹介する企画展『集めた!日本の前衛-山村德太郎の眼 山村コレクション展』を開催する。山村の没後に一括収蔵された山村コレクションは、68作家167点という規模の大きさゆえ、これまでにまとめて公開される機会が限られてきたが、本展では展示スペースを拡大して約20年ぶりに大規模公開を行なう。

1926年に西宮市に生まれた山村德太郎は、戦後まもない48年に山村製壜所所長に就任、55年の組織改編により山村硝子株式会社取締役社長となる。この頃より、国内外のモダンアートの収集を母・ハルとともにはじめる。66年、母の死を機に収集品のうちジョアン・ミロら海外作家の大作7点を国立西洋美術館に寄贈。以来、収集の対象を日本の戦後美術に特化し、「アブストラクト(=抽象)と人間くさい前衛のはざ間」という独自の方針のもと、まだ評価の定まらない新しい表現を、いずれは公共の財産となる前提で収集した。亡くなる前年の85年には、当時、大阪万博公園内にあった国立国際美術館を借り切って、その時点での収集品全てを並べ作家や評論家などの関係者に公開する、一日限りの「山村コレクション研究会」を開催している。86年に59歳で逝去した後、そのコレクションは兵庫県立美術館に一括して収蔵された。これまでに『幻の山村コレクション展』(兵庫県立美術館、1989)、『戦後美術の断面-兵庫県立近代美術館所蔵・山村コレクションから』(千葉市美術館、1996)、『あるコレクターが見た〈現代〉美術-山村コレクション展』(兵庫県立美術館、1997)が開かれたほか、兵庫県立美術館の常設展をはじめ、国内外の展覧会にコレクションの数々が出品されている。

 


津高和一「母子像」1951年 兵庫県立美術館(山村コレクション)


斎藤義重「ペンチ」1967年 兵庫県立美術館(山村コレクション)

 

同展では、これまで注目されてこなかった山村の収集の経緯を、関係者への聞き取りや文献資料などから読み解き想像し、推測した「山村德太郎の収集物語」として展示を構成する。第1章は1950年代から70年代に西宮、東京、あるいはパリで出会った数々の作品を紹介。津高和一の「母子像」(1951)や斎藤義重の「ペンチ」(1967)といったコレクションの出発点にして柱となるアーティストの作品や、具体美術協会のリーダーであり、山村とは企業人同士の関係にもあった吉原治良の「作品」(1966)などを展示する。第2章は70年代末から80年代初頭に収集した田中敦子の「作品」(1958)や高松次郎篠原有司男を出品。第3章では83年から85年に収集した、関口敦仁吉村益信、関西ニュー・ウェイブと呼ばれた作家のひとり、杉山知子の「”THE START – a man and mamorigami”」(1984)などを出品する。晩年、山村は村上三郎の「作品〈空〉」(1956/85)など、失われた実験的作品の再制作に乗り出し、資料収集や作家へのインタビューにも取り組んでいた。同展では、近年盛んなオーラルヒストリー(口述歴史)やアーカイブズ資料に関する先駆的な事例とも言えるプロジェクトも、作品と関連資料により紹介する。

会期中には、山村の下で具体に関する資料整理や作家へのインタビューに取り組み、『兵庫県立近代美術館所蔵 山村コレクション全作品図録』(1989)や『具体資料集:ドキュメント具体1954-1972』(1993)にも携わった尾﨑信一郎(鳥取県立博物館副館長)による記念講演会「山村コレクションは美術館に何を問いかけるか」や、同展を担当した江上ゆか、鈴木慈子によるレクチャーなどを開催する。

 


田中敦子「作品」1958年 兵庫県立美術館(山村コレクション)
©Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association


杉山知子「”THE START – a man and mamorigami”」1984 年 兵庫県立美術館(山村コレクション)

 

関連イベント
記念講演会「山村コレクションは美術館に何を問いかけるか」
講師:尾﨑信一郎(鳥取県立博物館副館長)
2019年9月1日(日)14:00-(約90分)
会場:兵庫県立美術館 ミュージアムホール
定員:250名、聴講無料
※兵庫県立美術館「芸術の館友の会」会員優先座席あり

担当学芸員によるテーマ・レクチャー
[1]聞き取りと紙資料から描く「山村コレクション」収集物語
講師:江上ゆか(兵庫県立美術館学芸員)
2019年8月24日(土)16:00-(約60分)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:100名、聴講無料

[2]山村德太郎の具体コレクション
講師:鈴木慈子(兵庫県立美術館学芸員)
2019年9月14日(土)16:00-(約60分)
会場:兵庫県立美術館 レクチャールーム
定員:100名、聴講無料

担当学芸員によるギャラリー・ツアー
2019年8月17日(土)、9月21日(土)各日18:00-(約45分)
展覧会場入り口に集合、要観覧券

そのほかの関連イベントは公式ウェブサイトを参照

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