見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展 @ ワタリウム美術館


ロイス・ワインバーガー「無題」1996年

 

見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展
2019年7月13日(土)-10月20日(日)
ワタリウム美術館
http://www.watarium.co.jp/
開館時間:11:00-19:00(水曜は21:00まで)
休館日:月(ただし、7/15、8/12、9/16、9/23、10/14は開館)

 

ワタリウム美術館では、ウィーンの自庭で育てた荒地植物を各所に植えるというガーデン・プロジェクトをはじめ、1990年代初頭から長きにわたって、自然とアートに関する議論に影響を与え続けてきたアーティスト、ロイス・ワインバーガーの個展『見える自然/見えない自然 ロイス・ワインバーガー展』を開催する。ワインバーガーは本展のみならず、宮城県石巻市で今年の夏に開催されるリボーンアート・フェスティバル2019でもプロジェクトを展開している。

ロイス・ワインバーガーは1947年にオーストリア、チロル地方の山間にあるシュタムスで生まれる。幼少期より植物や動物の絵を描いていたワインバーガーは、両親の農家を手伝いながら、鉄骨工の職に就くなどを経て、30歳頃からアートの分野の仕事に専念する。97年にドクメンタ10に参加し、カッセル中央駅の使われていない線路に中央・東ヨーロッパの荒地植物の種をまいて放置し、庭に変えたプロジェクト「植物を越えるものは植物と一体である」(1997)を展開。植物を移民のメタファーとして用いた同プロジェクトで国際的な注目を高める。そのほか、アスファルトをはがし、露出した土に荒地植物を植えるプロジェクト「燃焼と歩行」(1993-)、小さな土地を柵で囲い、放置することで、人間の干渉を入れずに荒地植物の庭がつくられてゆくプロジェクト「ワイルド・キューブ」(1998/99)、安価なショッピングバッグに土と野生植物を詰め、別の場所へと運び、新しい土地で育てるポータブル・ガーデン(1994/2000)など、数々のプロジェクトを通じて、生態や環境について根本的な疑問を投げかけてきた。1980年代より世界各地の展覧会に参加し、2000年にはウィーン近代美術館で個展を開催、2009年の第53回ヴェネツィア・ビエンナーレ・オーストリア館に代表として参加している。また、2017年にはドクメンタ14に参加し、アテネでは国立現代美術館(EMST)で「Debris Field」(2010-2016)を、カッセルではTorwacheで写真と粘土の立体作品、カールスアウエで土を掘り起こしたインスタレーションを発表している。

本展は、その生い立ちや、自然物や身の回りの人工物を扱いはじめた1970年代から80年代にかけての初期作品にはじまり、ウィーンの自庭で育てた荒地植物を各所に植えるというガーデン・プロジェクトの数々、1999年にワタリウム美術館で開かれたグループ展『エンプティ・ガーデン展』のために来日した際に手がけたプロジェクトのドキュメント、夫婦で植物を用いた民間信仰の呪術や儀式を追体験したパフォーマンス・シリーズ「ホーム・ブードゥー」(2004)など、ワインバーガーの自然と人口の空間を対象とした制作活動を概観する。

 


ロイス・ワインバーガー「植物を越えるものは植物と一体である」1997年


ロイス・ワインバーガー「グリーンマン」2004年

 

 


 

リボーンアート・フェスティバル2019
2019年8月3日(土)-9月29日(日)(網地島エリアは8/20から公開開始)
https://www.reborn-art-fes.jp/
展示会場:宮城県石巻市(牡鹿半島、網地島、石巻市街地)

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