呼吸する地図たち @ 東京芸術劇場 ギャラリー1


ホー・ルイアン「アジア・ザ・アンミラキュラス」 撮影:谷康弘、写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

 

呼吸する地図たち
2019年7月10日(水)-7月15日(月・祝)
東京芸術劇場 ギャラリー1
https://jfac.jp/culture/events/e-asia2019-the-breathing-of-maps/
開館時間:13:00-18:00(最終日は17:00まで ※レクチャー&レクチャー・パフォーマンス&シンポジウムは最下部を参照)
会期中無休
キュレーター:マーク・テ、井高久美子

 

国際交流基金アジアセンターは、日本と東南アジアの文化交流事業の紹介を目的とする『響きあうアジア2019』の一環として、昨年末から今年3月にかけて山口情報芸術センター[YCAM]で開催した展覧会『呼吸する地図たち』を再構成し、YCAMで実施されたパフォーマンスの映像アーカイブ展示や、レクチャー・パフォーマンス、トーク、シンポジウムを通じて、アジア太平洋地域の現代美術の「今」と「未来」を多角的に考察する。

本展に先駆けてYCAMで開催された『呼吸する地図たち』は、国際交流基金アジアセンターが2015年から開始した東南アジアと日本の若手キュレーターの相互理解をもとに新しいネットワーク構築を目的とした協働美術事業「Condition Report」の日本における成果展に当たる。「東南アジアとは何か」を考えるにあたり、あるいは、アジアの近代化を考えるにあたり、展覧会タイトルにも含まれる「地図」は、近代化の象徴的産物として、西洋の影響においてアジアの「国民」の創生、文化、経済、社会の変容を表出し、近代社会特有の空間概念や共同体意識を生み出す視覚装置として機能してきた。タイの歴史学者であるトンチャイ・ウィニッチャクンは、その概念を「地理的身体(geo-body)」と名付けている。『呼吸する地図たち』が試みたのは、「地図」によって規定された「地理的身体」を静的なものとして捉えるのではなく、「地図」と「地図」の間にある、さまざまな時層での社会の変容を読み解きつつ、人間のアクチュアルな身体的活動の集積から形づくられる「生きた地理的身体」の探求だった。

6日間にわたって東京芸術劇場を舞台に開かれる再構成版の『呼吸する地図たち』は、ホー・ツーニェンのビデオ・インスタレーションと、複数のアーティストおよび研究者がYCAMで実施したパフォーマンスの映像アーカイブを紹介する展示部門と、ホー・ルイアンイルワン・アーメット+ティタ・サリナのレクチャー・パフォーマンス、さらには、国際交流基金において90年代から現在まで美術コーディネーターとして数々の事業を手掛けてきた古市保子が、マーク・テの演出の下で行なうレクチャー・パフォーマンス、小原真史志賀理江子らによるレクチャーなどからなるレクチャー&レクチャー・パフォーマンス&シンポジウム部門の2部構成となる。また、本企画に併せて開かれる「国際シンポジウム2019 エキシビション・メイキング:文脈を繋ぐ、作る、届ける現代美術」では、ドクメンタ15アーティスティック・ディレクターのルアンルパ代表アデ・ダルマワン、ヨコハマトリエンナーレ2020アーティスティック・ディレクターのラクス・メディア・コレクティヴのジーベシュ・バグチ、あいちトリエンナーレ2019チーフ・キュレーターの飯田志保子、『呼吸する地図たち』コ・キュレーターでファイブ・アーツ・センター演出家のマーク・テを登壇者に迎え、社会における文化生産のシステムが、現代美術の実践に与える可能性と制限とに向き合いながら、局地的・具体的な文脈をどのように扱い、つなげ、発信するのかといった課題を話し合い、より良い方向性を探っていく。

 

インスタレーション&映像アーカイブ展示
2019年7月10日(水)-7月15日(月・祝)
出品作家/研究者
ホー・ツーニェン、ファリッシュ・ヌール、ジャネット・ピレイ、オクイ・ララ、チ・トゥー、カルロス・セルドラン、小原真史、西尾佳織

 


ファリッシュ・ヌール「知るべきことは何もない:スタンフォード・ラッフルズ ジャワの地図と帝国認識論」 撮影:谷康弘、写真提供:山口情報芸術センター[YCAM]

 

レクチャー&レクチャー・パフォーマンス&シンポジウム
2019年7月10日(水)19:00-20:30
[レクチャー・パフォーマンス]
ホー・ルイアン「アジア・ザ・アンミラキュラス」(英語・日本語字幕)

2019年7月11日(木)19:00-21:00
[キュレーター、ゲスト・スピーカーによるイントロダクション]
マーク・テ、井高久美子、トンチャイ・ウィニッチャクン(特別ゲスト)「時代を超える地理的身体」(英語・日本語、逐次通訳)

2019年7月12日(金)19:00-20:15
[レクチャー・パフォーマンス]
イルワン・アーメット+ティタ・サリナ「ネーム・ロンダリング」(インドネシア語、逐次通訳)

2019年7月13日(土)14:00-18:00
[国際シンポジウム2019]
アデ・ダルマワン、ジーベシュ・バグチ、飯田志保子、マーク・テ
モデレーター:アンドリュー・マークル、崔敬華
「エキシビション・メイキング:文脈を繋ぐ、作る、届ける現代美術」(日英同時通訳)
詳細URL:https://jfac.jp/culture/events/e-asia2019-the-breathing-of-maps-symposium/

2019年7月14日(日)17:00-18:00
[レクチャー]
小原真史「不在の身体と写真」(日本語)

2019年7月14日(日)19:00-20:00
[レクチャー]
志賀理江子+清水チナツ+長崎由幹「ヒューマン・スプリング」(日本語)

2019年7月15日(月・祝)14:00-15:00
[レクチャー]
古市保子、マーク・テ(演出)「アジアを歩く」(日本語)

申込方法:名前、希望日、職業、電話番号、E-mailアドレスを明記の上、件名を「呼吸する地図たち」として、下記の電話番号、E-mailにて申込。
※7/13の国際シンポジウム2019の申込はこちらから(https://jfac.jp/culture/events/e-asia2019-the-breathing-of-maps-symposium/
申込み・問合せ先:国際交流基金アジアセンター 文化事業第1チーム(担当:古市・杉田) TEL:03-5369-6140、E-mail:jfac_visual_arts@jpf.go.jp

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