名古屋市美術館 開館30周年記念『辰野登恵子 ON PAPERS:A Retrospective 1969-2012』@ 名古屋市美術館


辰野登恵子「AIWIP-22」2012年、リトグラフ、紙 個人蔵 撮影:岡野圭 ©︎辰野剛、平出利恵子

 

名古屋市美術館 開館30周年記念
辰野登恵子 ON PAPERS:A Retrospective 1969-2012
2019年2月16日(土)-3月31日(日)
名古屋市美術館
http://www.art-museum.city.nagoya.jp/
開館時間:9:30-17:00(金曜は20:00まで) 入場は閉館30分前まで
休館日:月

 

名古屋市美術館では、日本の抽象絵画の表現を牽引した辰野登恵子の40年余りにわたる探求を、未発表の作品含む版画およびドローイング群を中心に再検証する展覧会『辰野登恵子 ON PAPERS:A Retrospective 1969-2012』を開催する。

辰野登恵子(1950年長野県生まれ)は、豊かな色彩と濃密なマチエールをもつ大型の抽象絵画を中心とした制作で知られる。活動初期はドットやグリッド、ストライプなどの規則的なパターンを用いた版画に取り組み、ほどなくして主な表現手法を油彩に移すと、常に新しい試みを取り入れつつ、色彩に富む有機的な形象のある絵画空間を追求しつづけた。1974年に東京芸術大学大学院を修了した辰野は、84年に『現代美術への視点 メタファーとシンボル』(東京国立近代美術館、翌年国立国際美術館に巡回)、89年にゲント市立現代美術館の『ユーロパリア ‘89ジャパン現代美術展』、94年に横浜美術館の『戦後日本の前衛美術』(後に『Japanese Art After 1945: Scream Against the Sky』として、グッゲンハイム美術館、サンフランシスコ現代美術館に巡回)、同年の第22回サンパウロ・ビエンナーレに参加するなど、国内外の数々の展覧会を重ね、95年には東京国立近代美術館で10年間の活動を振り返る個展『辰野登恵子 1986-1995』を開催。その後も2007年に仁川国際女性作家ビエンナーレ、2012年には柴田敏雄とともに国立新美術館で二人展『与えられた形象-辰野登恵子/柴田敏雄』などで作品を発表している。また、制作活動に加え、2003年には多摩美術大学客員教授に就任し、翌2004年から同大学教授を務め、後続の育成にも取り組んだ。2014年に享年64歳で逝去。没後も辰野作品を所蔵する国内各地の美術館で追悼展示が開かれている。

埼玉県立近代美術館から巡回する本展では、これまでまとまった展観の機会が限られてきた版画やドローイングなど紙の仕事を中心に、油彩30点を含む約220点の作品の紹介。辰野が本格的に油彩の制作に移行したのちも、それと並行してエッチングや木版、リトグラフなどさまざまな版種による版画制作に取り組み、油彩と版画の両者を往還しながら、創作の幅や深みを増していった点を明らかにする。また、辰野にとって、油絵具やパステルによる大型のドローイングが、単なる下絵の域を超え、重要な実験の場となっていたことの検証も行なう。

 


辰野登恵子「UNTITLED-45」1974年、シルクスクリーン、紙 個人蔵 撮影:岡野圭 ©︎辰野剛、平出利恵子


辰野登恵子「UNTITLED-I」1982年、ドライポイント・シュガーアクアチント、紙 個人蔵 撮影:岡野圭 ©︎辰野剛、平出利恵子


辰野登恵子「Oct-20-95」1995年、パステル、紙 個人蔵 撮影:岡野圭 ©︎辰野剛、平出利恵子

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