イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの @ 横浜美術館


イサム・ノグチ 「顔皿」 1952年 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble

 

イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの
2019年1月12日(土)-3月24日(日)
横浜美術館
https://yokohama.art.museum/
開館時間:10:00-18:00、3/2は10:00-20:30 (入館は閉館30分前まで)
休館日:木(ただし、3/21は開館)、3/22

 

横浜美術館では、彫刻家・イサム・ノグチと、日本の抽象芸術の先駆者と知られる画家・長谷川三郎の交流に焦点を当て、両者の作品から1950年代の美術を再考する企画展『イサム・ノグチと長谷川三郎―変わるものと変わらざるもの』を開催する。

イサム・ノグチ(1904-1988/ロサンゼルス生まれ)は、幼少期を日本で過ごし、1918年13歳で単身渡米。ニューヨークのコロンビア大学医学部進学課程に通いながら彫刻を学ぶ。27年パリに留学し、半年間彫刻家ブランクーシの助手として働く。1929年よりニューヨークを拠点に、肖像彫刻の制作で生計を立てながら、公園の設計、公共彫刻や舞台美術などを手がける。1931年に13年ぶりに来日し、京都や奈良を訪れる。埴輪を見るほか、陶芸家・宇野仁松のもとで作陶する。1950年に再び来日し、丹下健三、瀧口修造、長谷川三郎ら、日本の建築家や前衛芸術家と交流。彫刻をはじめ舞台美術や家具、照明器具「あかり」のデザイン、陶芸、庭、ランドスケープ・デザインまで、幅広い制作活動を行った。1988年ニューヨークで死去。

長谷川三郎(1906-1957/山口県生まれ)は、高校在学中に小出楢重の下に通い油彩画を学ぶ。東京帝国大学(現・東京大学)で美術史を専攻し、卒業論文で雪舟を論じた。卒業後3年間パリに留学。モンドリアンやカンディンスキーの理論的影響により、1936年より抽象的作品を描きはじめ、「自由美術家協会」の創立に関わる。戦後、「日本アヴァンギャルド美術家クラブ」を結成。戦後は木版、拓版、水墨の作品を多く制作した。1953年、アメリカ抽象美術家協会より「第18回アメリカ抽象美術展」への出品招請を受け、「日本アブストラクト・アート・クラブ」を設立。翌年その代表として渡米。一時帰国後1955年、サンフランシスコ美術大学客員教授として再渡米し東洋美術に関する講義を行う。1957年、同地で病に倒れ客死。

イサム・ノグチと長谷川三郎は、1950年5月、連合国軍による占領末期の東京で出会う。「古い東洋と新しい西洋」を結びつけようと模索していた両者はすぐに意気投合し、日本美の本質を見極めるべく、共に京都、大阪、奈良、伊勢を旅した。長谷川は日本の古い文化遺産への案内役として、ノグチが日本の美の本質を理解する上で重要な役割を果たす。また、ノグチは対話を通して長谷川の制作意欲を奮い立たせ、長谷川が墨や拓本、木版を用いたそれまでにない創作の地平を切り開くきっかけを与えた。

 


長谷川三郎 「自然」 1953年 京都国立近代美術館蔵

本展は、ニューヨークのイサム・ノグチ財団・庭園美術館と横浜美術館の共同企画展。日本の国公立美術館が所蔵する長谷川の墨、木版、拓刷による代表作が一堂に揃うほか、ノグチの石の代表作でアメリカでの発表後、長らく門外不出であった「庭の要素」(1958年)など、日本初公開作品を約40点紹介。絵画、彫刻、版画、写真、墨絵など、約120点におよぶ作品を通して、ノグチと長谷川の交友と創作の軌跡を辿る。

 


長谷川三郎 「無題」 1954年 ティア&マーク・ワッツ・コレクション Photo: Kevin Noble


イサム・ノグチ 「書」 1957年 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble


イサム・ノグチ 「捜す者、捜し出したり」 1969年 イサム・ノグチ財団・庭園美術館(ニューヨーク)蔵
©The Isamu Noguchi Foundation and Garden Museum, New York/ARS-JASPAR Photo: Kevin Noble


長谷川三郎 「無題」 1954年 学校法人甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー蔵

 

関連企画
オープニング・リレートーク「変わるものと変わらざるもの―1950年代のノグチと長谷川」
講師:マシュー・カーシュ(ノグチ美術館キュレーター)、マーク・ディーン・ジョンソン(サンフランシスコ州立大学教授)、中村尚明(横浜美術館主任学芸員)
2019年1月13日(日)13:30-16:00(13:00開場)途中休憩あり
会場:横浜美術館レクチャーホール
定員:220名(事前申込、先着順)
※参加無料、日英逐次通訳有

記念講演会
「長谷川三郎 人と芸術」
「甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリーについて」

講師:河﨑晃一(甲南女子大学教授)、森田啓子(甲南学園 長谷川三郎記念ギャラリー)
2019年2月16日(土)14:00-15:30(13:30開場)
会場:横浜美術館円形フォーラム
定員:120名(申込不要、先着順)
※参加無料

スライドレクチャー「イサム・ノグチの1950年代を中心に」
講師:中村尚明(横浜美術館主任学芸員)
2019年3月3日(日)14:00-15:30(13:30開場)
会場:横浜美術館円形フォーラム
定員:120名(申込不要、先着順)
※参加無料

ワークショップ「日本美とモダンの接点を求めて・・・
展覧会鑑賞と作品制作を通じてノグチと長谷川の神髄に迫る」

学芸員案内による展覧会鑑賞や長谷川の拓本技法を用いたオリジナル作品制作から作家の創作を追体験する、2日間のワークショップ。
講師:中村尚明(横浜美術館主任学芸員)、市民のアトリエエデュケーター
2019年2月17日(日)・24日 (日)13:30-16:30
会場:横浜美術館市民のアトリエ
定員:15名(12歳以上、事前申込・抽選)
参加費:6,500円(材料費含む、観覧券付)

 

※詳細は公式ウェブサイトを参照。


 

同時開催
横浜美術館コレクション展 「リズム、反響、ノイズ」
2019年1月4日(金)-3月24日(日)

New Artist Picks 氷になる直前の、氷点下の水は、 蝶になる直前の、さなぎの中は、 詩になる直前の、横浜美術館は。 ―― 最果タヒ 詩の展示
2019年2月23日(土)-3月24日(日)

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