ハン・ネフケンス財団のアジアを対象とした映像制作助成をナターシャ・トンテイが受賞


Image: Natasha Tontey. Copyright Leandro Quintero and Courtesy of Han Nefkens Foundation.

 

2024年11月19日、バルセロナを拠点に映像作品を中心とした制作委託や収集活動に取り組むハン・ネフケンス財団は、アジア国籍あるいはアジア在住のアーティストを対象に新作映像作品の製作を支援する「Loop Barcelona Video Art Production Grant 2024(ループ・バルセロナ・ビデオアート・プロダクション・グラント2024)」の受賞者に、ジャカルタとジョグジャカルタに拠点を置くミナハサ出身のアーティスト、ナターシャ・トンテイを選出した。トンテイには新作制作補助費として15,000ドル(約230万円)が授与され、完成作品は本助成に協賛する東京都現代美術館を含む世界7都市の美術機関で2025年末から発表される予定。

ナターシャ・トンテイ(1989年)は、「捏造された恐怖」にまつわる歴史や神話の虚構に着目し、主流の制度や組織ではなく、社会から排除された個々の存在の視野を投影した未来の可能性を探る映像作品や映像インスタレーション、パフォーマンスなどを発表してきた。近年の主な個展に「Primate Visions; Macaque Macabre」(ヌサンタラ近現代美術館、ジャカルタ、2023)や「Garden Amidst the Flame」(Auto Italia、ロンドン、2022)。主なグループ展や映画祭に第34回シンガポール国際映画祭(2023)、第57回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(2023)、シンガポール・ビエンナーレ2022、「From the Sea to the Clouds to the Soil」(Stroom Den Haag、ハーグ、2022)、「Ghost 2565: Live Without Dead Time」(バンコク、2022)などがある。

ハン・ネフケンスや同財団スタッフ、協力美術機関関係者ら審査員は、テクノロジーが急速に変化する時代における儀式や伝統に対するトンテイの洞察力を認め、「トンテイは、さまざまなレイヤーとテクニックを巧みに組み合わせることで、そうした時代におけるジェンダーやマスキュリニティをケアや慈愛の要素を通じて批評する不条理な物語を創作する。また、ユーモアかつ破壊的要素を含む言語を駆使し、神話や先祖伝来の知識について思索を深める方法を発表している」と、その活動を高く評価した。

Loop Barcelona Video Art Production Grantは、長編ドキュメンタリーを除く上映を想定した映像作品の製作を助成するために、2018年にループ・バルセロナジョアン・ミロ財団の協力の下に開始。アジア国籍あるいはアジア在住の40歳以下のアーティストに国際的な発表機会を提供し、そのキャリア形成を支援することを目的としている。本年度は、アート・ハブ・コペンハーゲン、イタリア国立21世紀美術館[MAXXI](ローマ)、イルハム・ギャラリー(クアラルンプール)、インサイドアウト美術館(北京)、台北現代美術館、東京都現代美術館、ピカソ美術館(バルセロナ)の7館が協力している。

ハン・ネフケンス財団:https://www.hnfoundation.com/

 


歴代受賞者
2023|イ・ウンヒ(Eunhee Lee)
2022|イーキン・キー・チャールズ(Ekin Kee Charles)
2021|ティモテウス・アンガワン・クスノ(Timoteus Anggawan Kusno)
2020|シュウ・チェユウ[許哲瑜](Che-Yu Hsu)
2019|ムスキキ・チィイン[致穎](Musquiqui Chihying)
2018|タオ・グエン・ファン(Thao Nguyen Phan)

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