レポート:「中園町ミートアップvol.5:森純平」

6月16日(木)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、ゲストと市民が話し合うイベント「中園町ミートアップvol.5:森純平」を開催し、終了しました。
撮影:谷康弘
今回のゲストは、千葉県松戸市でアーティスト・イン・レジデンス「PARADISE AIR」を設立し、運営する森純平さんです。アーティスト・イン・レジデンスとは、アーティストが一定期間ある土地に滞在し、作品制作や発表をするのをサポートする場所のことです。松戸市は江戸時代に宿場町として栄え、泊まったお代の代わりに俳句や絵を残す芸術家が多く居ました。その伝統“一宿一芸”をコンセプトにしたPARADISE AIRでは、松戸へ向けて創造的な活動をすることを条件に約1カ月滞在を支援するプログラムなどを行って、国内外からアーティストを受け入れています。
松戸の市民はアートを活用した地域活性化に積極的です。しかし世界中にたくさん居るアーティストの中から誰か1人を見つけ出し依頼するのは簡単ではありません。PARADISE AIRでは、まず意欲あるアーティストを公募し、実際に暮らして松戸という土地を体感してもらうことで、作品プランが変化していくのを見守ります。
ディスカッションの参加者の中で、アーティストの制作のコーディネーション業務に携わった経験のある方が、地域を案内する時にアーティストが行きたい所に行くべきか、未知のスポットを体験してもらうべきか迷っていると質問しました。PARADISE AIRではアーティストに任せて自由に松戸の街を歩いてもらっています。酒場が多い松戸はお酒の席で地域のコミュニティと交流しやすく、アーティストのほうからPARADISE AIRのスタッフに松戸の新たな魅力を教えてくれることも多いそうです。一方で制作活動を優先してPARADISE AIRにこもろうとする人には、まずは松戸の街に出てもらうよう促します。「早急なアウトプットより、松戸で色々なものに出会ってインプットしてほしい。将来『あの時松戸で過ごした時間が今の自分に繋がっている』と思えるような体験をしてもらえれば」と森さんは語りました。
1人でアーティストをコーディネートしていると、対応できることに限界があるという悩みには、PARADISE AIRでは1人のアーティストに10人ほどのグループチャットがついて、それぞれの専門性や人脈を活かして対応していると答えます。一見実現が難しそうなアーティストの要望には「ストレッチ」する感覚で協力するそうです。できる範囲で頑張ってみることで、今後対応できる可動域を広げていきます。例えば初めはアート活動が難しかった公園が、イベント毎に申請を重ねることで、自由に使える場所に変えることができたと話しました。
撮影:谷康弘
「meet the artist 2022」では、6月20日(月)開催の「中園町ミートアップvol.6:伊藤洋」や6月25日(土)に開催する「中園町ミートアップvol.7:平野浩靖」をはじめ、さまざまなイベントを準備中です。詳細は随時YCAMのウェブサイトでお知らせします。ぜひチェックしてみてください。プロジェクトメンバーも募集中です。こちらのお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

Copyrighted Image