レポート:「中園町ミートアップvol.3:西翼+かねこみわ+廣田祐也」

6月3日(金)に、YCAMと市民が協働するアートプロジェクト「meet the artist 2022」の一環として、スポーツイベント「未来の運動会」について運営メンバーと市民が話し合う「中園町ミートアップvol.3:西翼+かねこみわ+廣田祐也」を開催し、終了しました。

撮影:谷康弘

本イベントでは「未来の運動会」を運営する西翼さん、かねこみわさん、廣田祐也さんの3人を招き、「未来の運動会」のこれからについて議論を深めました。

かねこみわ
撮影:谷康弘

「未来の運動会」とは、参加者が種目を創作し実際にプレイするスポーツイベントです。全員その日初めて挑む種目になるので、上手さを気にせず思い切り体を動かせます。ルールにひねりを効かせたり、メディアテクノロジーを活用したりすることで、単に身体能力だけでは勝敗が決まらないのも魅力です。ディスカッションでは、子どもの頃体格に自信がなく運動会が憂鬱だったという人が、「未来の運動会」なら楽しめそうと顔をほころばせました。
「未来の運動会」は老若男女問わず参加できるイベントですが、今回は学校現場への応用が話し合われました。参加者のひとりで体育教師を務められている方は、2年前から「未来の運動会」を参考に「スポーツ共創」を学校に取り入れています。子どもたち自身で納得のいく競技を考えれば、苦手な種目を強制されスポーツが嫌いになる事態を防げると考えたからです。それに対し廣田さんは「競技を考えさせる時点で既に強制。僕たちは有志だが、学校を挙げてやるとなると参加したくない子どもも居るはず」と指摘しました。その参加者の方は「ある程度の強制は『やってみると意外に楽しい』と、未知の自分に気づくきっかけになる。その機会の1つとして運動会は存続したいので、『未来の運動会』をすることで少しでも自由度を上げられれば」と応えました。

廣田祐也
撮影:谷康弘

すでに出来上がっている人間関係の中で種目を話し合う難しさもあります。発言力が強い子に気を遣い、競技のアイディアを言いづらいのではないでしょうか。通常の「未来の運動会」では、お年寄りや障がい者など様々な人が参加することを念頭に置いて競技を考えます。学校でも自分たちだけでなく、外部の人も楽しめるようにと意識すれば話し合いが発展するのではと、西さんが提案しました。地域の小さな子やお年寄りが積極的に参加する、開かれた運動会像が理想という声が上がります。伝統を重んじる人には、前衛的な「未来の運動会」は受け入れがたく映るかもしれません。それでも、これまで開かれた「未来の運動会」に毎回数百人近く集まってきたことに、参加者のひとりは希望を見出していました。そこから「続ければ地域に馴染んでいき、一時的なイベントから文化へと成長するはず」と展望を語りました。


西翼
撮影:谷康弘

この他にもディスカッションでは、平和教育とスポーツ教育の関わりや、応援による一体感の考察など、ディープな話題が多岐に渡って展開されました。「meet the artist 2022」では次回の「中園町ミートアップvol.4:吉見正孝」「中園町ミートアップvol.5:森純平」をはじめ、さまざまなイベントを準備中です。詳細は随時YCAMのウェブサイトでお知らせします。ぜひチェックしてみてください。プロジェクトメンバーも募集中です。お問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

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