音丸耕堂展 ―華麗なる彫漆世界

 

「彫漆」とは、器物の表面に漆を幾重にも塗り重ねて層を作り、その上から模様を彫るもので、江戸時代末期の高松で活躍した讃岐漆芸の祖・玉楮象谷が中国の技法を研究し、讃岐漆芸の技法として確立しました。音丸耕堂(1898-1997)は、象谷、石井磬堂ら先人の優れた技術を継承するとともに、豊かな色漆を駆使した大胆な意匠の作品を生み出した、讃岐漆芸を代表する作家です。1955年(昭和30)には「彫漆」技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。本展は、高松市美術館開館30周年、そして音丸の生誕120周年を記念し、その仕事を通覧する回顧展です。

音丸耕堂は、1898年(明治31)に高松に生まれ、1910年(明治43)石井磬堂の内弟子として修業、1914年頃独立しこの頃独学で玉楮象谷の彫漆作品を研究しました。1921年(大正10)に彫金家の大須賀喬らと香風会を結成し展覧会を開催するなど、漆芸作家として精力的に活動。1932年(昭和7)に第13回帝展に初入選後、入選を繰り返し、1942年(昭和17)第5回新文展で《彫漆月之花 手箱》(高松市美術館蔵)が特選となりました。1955年(昭和30)重要無形文化財保持者(彫漆)に認定され、また同年に日本工芸会の創立に参加するなど、日本の工芸界に多大な影響を与えた作家として知られています。

耕堂の最大の特徴は、豊富な色彩表現にあります。もともと漆の色彩は、朱、黒、黄、緑、褐色の五色に限られていましたが、耕堂は新素材のレーキ顔料をいち早く取り入れ、難しい中間色や鮮明な色漆を駆使した作品を制作しました。漆による色彩の表現領域を格段と広げ、その斬新なデザイン感覚により、見る者を魅了し続ける音丸耕堂作品を存分にお楽しみいただける展覧会です。

 

 

会場:高松市美術館2階企画展示室

会期:2018(平成30)年9月15日(土)~10月21日(日)

開館時間:9:30~19:00(但し日曜日は17:00閉館/入室は閉館30分前まで)

休館日:月曜日(但し月曜日が祝日の場合は翌火曜日休館)

観覧料:一般800円(640円)、大学生500円(400円)

*()内は前売り及び20名以上の団体料金

*前売チケットは、高松市美術館1階受付、高松市役所生協、ゆめタウン高松サービスカウンター、宮脇書店本店及び南本店にて9月14日(金)まで販売

*身体障害者手帳・療育手帳または精神障害者保健福祉手帳所持者は無料

主催=高松市美術館 共催=四国新聞社 助成=一般財団法人 自治総合センター

 

展覧会詳細は高松市美術館HPでご確認ください。

 

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