本展では、九州を拠点にし、自らの生きる環境に根差した問題意識を持って主体的な活動を行う同時代の表現者7組を紹介する。
九州には、首都圏のように多くの美術館やギャラリーやアートマーケットがあるわけではない。しかし芸術は、そのような芸術インフラが整った大都市の環境の中でしか生まれないものではない。地方にはその地方ごとの芸術の存在の仕方があるはずである。そしてまた九州で生きる作家の価値観や行動原理は、大都市に住む人々のそれに追従する必要はない。必要なのは、自らの問題意識を持ち、自身を取り巻く環境を見つめて応答していくことであり、その先にこそこの土地が独自の文化を持ち、さらに生み出し続けていく可能性があるのではないだろうか?
本展のタイトルは、熊本出身の詩人・谷川雁の詩論の中の一節を参照している。
「段々降りてゆく」よりほかないのだ。飛躍は主観的には生れない。下部へ、下部へ、根へ、根へ、花咲かぬ処へ、暗黒のみちる所へ、そこに万有の母がある。存在の原点がある。初発のエネルギイがある。
——谷川雁「原点が存在する」1954
自身の存在の核心をなしているものを掴もうと地道な模索を続ける作家の姿勢、あるいは自らのいる環境・状況を見定めた上でそこから自身の表現を立ち上げようとする姿勢を、この「段々降りてゆく」という言葉のイメージに重ねた。
それぞれの場所で展開される作家たちの実践例を通して、九州の環境と状況に即した芸術や表現者のあり方、そして「私たちにとって切実な表現とは何か?」ということを、来場者の皆さんとともに考えられれば幸いである。
■開催期間:2021年3月27日(土)-6月13日(日)
■会場:熊本市現代美術館 ギャラリーⅠ・Ⅱ
■開館時間:10:00-20:00(展覧会入場は19:30まで)
■休館日:火曜日※ただし5/4(火・祝)は開館し、5/6(木)は休館
■観覧料:一般 1,100(900)円、シニア(65歳以上) 900(700)円、学生(高校生以上) 600(500)円、
中学生以下無料
*( )内は前売、20名以上の団体、各種障害者手帳(身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、被爆者健康手帳等、付き添いの方1名にも適用)、電車・バス1日乗車券等、JAF会員証、緑のじゅうたんサポーター証をご提示の方にも適用
* 前売券の販売は3月26日(金)まで
【チケット取扱い】熊本市現代美術館、イープラス(e+)、ローソンチケット[Lコード:81580]
主 催:熊本市現代美術館[熊本市・公益財団法人 熊本市美術文化振興財団]、熊本日日新聞社
後 援:熊本県、熊本県教育委員会、熊本市教育委員会、熊本県文化協会、熊本県美術家連盟、
熊本国際観光コンベンション協会、NHK熊本放送局、J:COM、エフエム熊本、FM791
助 成:一般財団法人地域創造
美術館ホームページ:https://www.camk.jp/exhibition/dandan/