デザイン:米山菜津子
毛利悠子 Recompose ― 第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館帰国展
2026年7月24日(金)–11月23日(月・祝)
横浜美術館 ギャラリー9
https://yokohama.art.museum
開館時間:10:00–18:00(11/21、22は10:00–20:00まで、入館は閉館30分前まで)
休館日:木(ただし、8/13、9/24、11/19は開館)
展覧会URL:https://yokohama.art.museum/exhibition/202607_mohriyuko
横浜美術館では、2024年の第60回ヴェネツィア・ビエンナーレにおける日本館展示の帰国展「毛利悠子 Recompose」を開催する。
毛利悠子(1980年神奈川県生まれ)は、磁力や重力、空気のゆらぎといった自然現象を主なモチーフに、既製品やファウンド・オブジェ、自作の装置を組み合わせ、構築へのアプローチではなく、環境などの諸条件により変化していく「出来事」にフォーカスしたインスタレーション、彫刻を制作してきた。電子回路によって生み出されるエネルギーが作品のコンポジションを通じて乱反射することで、日々生起する予測できない諸現象や、より大きな世界構造に潜在する複雑性の断片を、視覚や聴覚、ときに触覚を通じて鑑賞者に伝えていく。近年の主な個展に「Entanglements」(ピレリ・ハンガービコッカ、ミラノ、2025/セントロ・ボティン、サンタンデール、2026)、「Piano Solo: 12th January, 1900」(国立現代美術館ソウル館、2025)、「ジャム・セッション 石橋財団コレクション×毛利悠子 ピュシスについて」(アーティゾン美術館、東京、2024)など。第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2024)をはじめ、第14回光州ビエンナーレ(2023)、第23回シドニー・ビエンナーレ(2022)、第34回サンパウロ・ビエンナーレ(2021)など、国際展への参加を重ねてきた。主な受賞歴に、カルダー賞(2026)、第67回芸術選奨文部科学大臣新人賞(2017)、神奈川文化賞未来賞(2016)、日産アートアワードグランプリ(2015)などがある。
第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館「Compose」展示風景 2024年(主催:国際交流基金) 撮影:久家靖秀
国際交流基金のコミッション、イ・スッキョンのキュレーションのもと開催されたヴェネツィアでの個展「Compose」は、作曲や構築を意味するタイトルだが、語源をたどると「com=共に」「pose=置く」というふたつの語に行き着く。もの同士の関わりと、それらが生み出す力を主題に制作を続けてきた毛利は、この個展において、コロナ禍や各地の紛争などさまざまなレベルで分断の危機にさらされる世界に向け、「共存」「共生」の意味をあらためて問いかけた。
本展「Recompose」は、その個展を2年の時を経て再構築する試みとなる。改修工事を機に新設されたガラス張りの展示室・ギャラリー9を会場に、毛利が継続的に手がけてきたふたつのシリーズを紹介する。〈モレモレ(Moré Moré[Leaky])〉は、東京の地下鉄構内の各所で頻発する水漏れと、それを駅員たちが手近な道具で対処する様子に想を得た彫刻シリーズ。さまざまな日用品を用いて、即興的な水の循環システムが形作られる。果物をモチーフとした〈デコンポジション(Decomposition)〉では、電極を刺された果物がゆっくりと朽ちていく過程で、その水分量の変化に伴い、不規則な音と光が生み出される。両者に共通するモチーフである「水」の循環や変容を可視化したこれらの作品は、空間全体に広がる光や音、匂いとともに、観る者の五感に強く、かつ柔らかく働きかける。
第60回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館「Compose」展示風景 2024年(主催:国際交流基金) 撮影:久家靖秀
