
ゴースト 見えないものが見えるとき
2025年9月20日(土)–12月21日(日)
アーツ前橋 ギャラリー
https://artsmaebashi.jp/
開館時間:10:00–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:水
展覧会ディレクター:南條史生(アーツ前橋特別館長)
展覧会担当:井波吉太郎(アーツ前橋学芸員)、庭山貴裕(アーツ前橋学芸員)、出原均(アーツ前橋館長)
展覧会URL:https://www.artsmaebashi.jp/?p=21837
アーツ前橋では、絵画、彫刻、写真、映像、インスタレーションといったさまざまな表現を「ゴースト」というキーワードを通して紹介し、見えるもの・見えないものが生み出す謎めいた魅力を探る展覧会「ゴースト 見えないものが見えるとき」を開催する。
本展ディレクターの南條史生は、「ゴースト」を過去のものでも空想でもなく、「私たちの視界の外側で、今この瞬間にも確かに“存在”している、もう一つのノイズ」であり、その概念は「現代の混沌とした世界――戦争、分断、テクノロジーの脅威、環境破壊、そして人新世における絶望感――に対し、目に見えないもの、消えたもの、取り残されたもの、あるいは現在に忍び寄る過去の気配や未来の可能性の隠喩として捉えることができる」と記す。その上で、国内外で活動する20組の約100点を紹介する本展に「ゴースト」のタイトルを掲げ、「“見えない存在”に目を向け、対話を試み、再び世界の一部として迎え入れることで、私たちの新たな可能性を開く場」の創出を目指す。

人工知能(AI)や仮想現実(VR)などのメタバース技術の発展により、魂や意志が生物だけに宿るという従来の前提が根本から問い直される現在。本展では、先端的な技術を用いてその変容を捉えようと試みる山内祥太や平田尚也による新作や、彼らの先駆的存在に位置付けられるトニー・アウスラーによる大規模な映像インスタレーション、さらには、新しい絵画表現を探求する新平誠洙、西太志や、半世紀以上のキャリアを誇る漫画家の諸星大二郎など、多様なメディウムによるゴーストの表現を通じて、人間と非人間の境界を問い直す。
また、戦争や政治的抑圧によって引き起こされた大量破壊と殺戮の記憶や記録を扱ったクリスチャン・ボルタンスキー、丸木位里・俊、ハラーイル・サルキシアン、丹羽良徳の作品は、単なる過去ではなく、歴史の中で未解決の課題(私たちを揺り動かす歴史上の幽霊=ゴースト)を提示し、横尾忠則、諏訪敦、アピチャッポン・ウィーラセタクン、松井冬子、岩根愛、竹村京、ヒグチユウコの作品は、土地の儀礼や自然の風景、あるいは個人的体験や感情などから立ち現れる、さまざまなゴーストの表現を展開する。

過去の記憶を留めた古い街並みと、再開発によって出現しつつある新しい街並みとが渾然一体となった地方都市・前橋、そして街を見下ろす赤城山で育まれた伝承文化に目を向けた作品として、尾花賢一+石倉敏明は、水にまつわる赤城山の伝説を取材した新作を館内で展示。マームとジプシーは、広瀬川周辺をリサーチし、前橋空襲の生存者や製糸工場の女工たち、劇団を主宰する藤田貴大の家族の記憶など、時空をこえて河畔から浮かび上がる声をもとにインスタレーションを制作。同作品をアーツ前橋だけでなく、前橋文学館や周辺の店舗にも作品を設置する。また、daisydozeは、前橋生まれの詩人・萩原朔太郎をモチーフに、ヘッドフォンの音声に導かれて市街地を巡るオーディオイマーシブシアターを展開。それぞれの試みから、前橋に潜むゴーストの存在を探っていく。

関連企画
daisydozeによるサウンドイマーシブシアター「糸町」
2025年9月20日(土)–12月21日(日)
所要時間:30〜40分
会場:前橋市 中心市街地
参加費:300円(展覧会とは別料金)
申込方法:事前申込、事前決済 ※近日開設予定の専用フォームから申込(公式ウェブサイトを参照)
マームとジプシー《Curtain Call》街なか展示
2025年9月20日(土)–12月21日(日)
会場:アーツ前橋ギャラリーのほか、前橋文学館オープンギャラリーなど広瀬川河畔に点在する4つのポイント
※各会場の詳細は、決まり次第公式ウェブサイトで発表
関連イベント
南條史生特別館長によるギャラリートーク
2025年9月28日(日)、12月7日(日)14:00–15:00
会場:アーツ前橋ギャラリー
定員:30名(事前申込)
参加費:無料(※当日の観覧券を提示)
申込フォーム:https://logoform.jp/form/dWZu/1147486
学芸員によるギャラリートーク
2025年9月27日(土)、10月18日(土)、11月29日(土)14:00–15:00
会場:アーツ前橋ギャラリー
参加者:どなたでも(未就学児は保護者同伴)
参加費:無料
おしゃべりアートデイズ
2025年10月11日(土)、11月8日(土)、12月13日(土)14:00–(所要時間約40分)
会場:アーツ前橋ギャラリー
定員:各回5名程度(事前申込)
参加費:無料(※当日の観覧券を提示)
※アーツナビゲーターとともに、展示中の2作品を対象に気づいたことや感じたことなどをおしゃべりしながら鑑賞するプログラム
近隣での同時開催展示
竹村京「ついてはなれて」
2025年9月19日(金)–10月26日(日)
タカ・イシイギャラリー前橋(まえばしガレリア ギャラリー1)
https://www.takaishiigallery.com/jp/archives/35417/