次回展のお知らせ:『Le fil rouge』

エスパス ルイ・ヴィトンでは、ミュンヘン・パリ・東京の3館にて、国際的に活躍する現代アーティスト8名によるグループ展『Le fil rouge(ル・フィル・ルージュ)』展を開催いたします。

昨年開催されたオープンスタジオプログラム『IN SITU-1』において、共同制作というコンセプトのもと、そのパートナーシップをさらに強固なものにしたエスパス ルイ・ヴィトン。今回のエキシビション『Le fil rouge』では、3館で1つのテーマを軸に、会場ごとに独自の解釈を展開した作品が同時に披露されます。

フランス語で「赤い糸」を意味する『Le fil rouge』展では、糸を主要な表現媒体として、現代アーティストたちが独自の世界を創りあげます。鉛筆や絵具とは異なり、糸はそれ自体が「完成形」として捉えられることはなく、その「物質性」が無限の芸術的表現・探究を刺激します。

例えば、現代アートにおいては、糸が絵筆に代わってキャンバスに刺繍あるいは糊付けされ、絵具と組み合わせられたり、またキャンバスの断片同士を縫い合わせるのに使われたりします。さらに、異なる長さの糸をさまざまなスケールや多様な形状に張り渡すことで、彫刻のようなかたちを創り出したり、空間に線を描いたり、建築的原理を形にしたり、あるいは、物理の法則に反しているかのような空間・作品を創り出すことも可能です。このように、参加アーティストの多くは、従来糸のみを使用して制作を行っているのではなく、糸を幅広い応用範囲が可能で、取り扱いやすい媒体として、さまざまな素材と併せて取り入れています。

各エスパスでは、『Le fil rouge』を共通のテーマとして、8名のうち4名の作品を展示するとともに、他2館で紹介されるアーティストや作品に言及することによって、3館を繋ぐ興味深い対話が生まれます。最初の会場となるミュンヘンのエスパスでは、ガーダ・アメール、トレイシー・エミン、マイケル・レデッカーによる刺繍をベースとした作品が展示されます。歴史的に女性の手工芸とされ、芸術というよりは手仕事としてあまり高い評価を得ることのなかった刺繍ですが、1990年代あたりから少数ではありながら、男女ともに現代アーティスト達が表現テクニックとして刺繍を取り入れるようになりました。ミュンヘンに続いて開催されるパリでは、イザ・メルスハイマー、フレッド・サンドバック、塩田千春によるサイト・スペシフィックなインスタレーションが展示されます。さらに、このプロジェクトを締めくくるエスパス ルイ・ヴィトン 東京では、ガーダ・アメール、マイケル・レデッカー、タティアナ・トゥルヴェの作品が展示されます。また、ハンス・オプ・デ・ベークが、エスパス ルイ・ヴィトンのサポートにより今回のテーマに沿って制作した映像作品《The Thread》が3館共通で上映されます。

Le fil rouge
エスパス ルイ・ヴィトン ミュンヘン
2015年1月29日(木) – 4月11日(土)

エスパス ルイ・ヴィトン パリ
2015年2月6日(金) – 5月3日(日)

エスパス ルイ・ヴィトン 東京
2015年4月8日(水)- 5月31日(日)

参加アーティスト:
ガーダ・アメール(Ghada Amer)、トレイシー・エミン(Tracey Emin)、イザ・メルスハイマー(Isa Melsheimer)、ハンス・オプ・デ・ベーク(Hans Op de Beeck)、マイケル・レデッカー(Michael Raedecker)、フレッド・サンドバック(Fred Sandback)、塩田千春(Chiharu Shiota)、タティアナ・トゥルヴェ(Tatiana Trouvé)

キュレーター:
ミチコ・コウノ(Michiko Kono)

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