Hanako Murakami ANTICAMERA(OF THE EYE) #P1 (2016) © Hanako Murakami / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Tokyo
村上華子『ANTICAMERA(OF THE EYE)』
2016年4月9日(土)-5月7日(土)
タカ・イシイギャラリー 東京
http://www.takaishiigallery.com/
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:日、月、祝
※オープニング・レセプション:4月9日(土)18:00-20:00
タカ・イシイギャラリーでは、写真の古典技法や活版印刷術など、過去のものとされるメディアに焦点をあてたリサーチに基づいた作品を制作している村上華子の個展『ANTICAMERA(OF THE EYE)』を開催する。
村上華子(1984年生まれ)は、東京大学文学部を卒業後、東京藝術大学映像研究科修士課程を修了する。その後ベルギー政府奨学生として渡欧し、現在はフランスを拠点に活動している。写真の古典技法や活版印刷術など、過去のものとされるメディアに焦点をあてたリサーチに基づいた作品制作を行なっており、昨年のαMプロジェクトの個展では、インターネット上で検索したイメージとダゲレオタイプを交差させた作品「APPRITION」などを発表し、イメージの考古学を喚起させる展示空間をつくりあげた。これまでに、滞在制作先のル・フレノワ:フランス国立現代アートスタジオでの展示『パノラマ17』(2015)や、『日常の実践』(国際芸術センター青森、2011)、『トーキョーストーリー』(トーキョーワンダーサイト、2010)、大地の芸術祭 越後妻有トリエンナーレ2009などで作品を発表している。
本展では、村上はカラー写真黎明期の技法でリュミエール兄弟により発明されたオートクロームから、ポスト印象主義の点描絵画、デジタルカメラの撮像素子、デジタル写真のピクセル、そして網膜の視覚細胞への繋がりを見てとり、およそ一世紀前に製造されながら未使用のままであったオートクロームの乾板を現像し、それを引き伸ばして制作した「ANTICAMERA(OF THE EYE)」を発表する。
あらゆる写真は網膜であるかもしれない。それがいつの時代であれ、どこかで、誰かの網膜に映った光景、あるいはその断片である。それは一枚の紙片であったり、銀メッキした銅版、あるいはガラス板、フィルム、さらには電子媒体でもあり得る。だがそのいずれも、一度網膜に映り、そして消えたものの物質化である。
橙色の光が射し込む。網膜が世界と衝突し、距離は完全に零になる。あるいは、衝突したのは世界のほうかもしれない。ともあれ、そこですべての距離は消えた。アンチカメラ。まぶたと網膜の間で、時が宙吊りになった。
2016年2月 村上華子(本展プレスリリースより)
なお、タカ・イシイギャラリーでは、村上華子の作品集『ANTICAMERA(OF THE EYE)』を本展に併せて刊行する。
Hanako Murakami ANTICAMERA(OF THE EYE) #P1 (detail) (2016) © Hanako Murakami / Courtesy of Taka Ishii Gallery, Tokyo