Graphic by © Hideki Inaba, 2014
Le fil rouge(ル フィル ルージュ)
2015年4月8日(土)-5月31日(日)
エスパス ルイ・ヴィトン東京
http://espacelouisvuittontokyo.com/
開廊時間:12:00-20:00
休廊日:不定休
エスパス ルイ・ヴィトンでは、ミュンヘン、パリ、東京の3館でひとつのテーマを共有し、会場ごとに独自の解釈で展開していく展覧会『Le fil rouge(ル フィル ルージュ)』を開催する。昨年のオープンスタジオプログラム『IN SITU-1』(東京ではソ・ミンジョンが参加)に引き続き、共同制作というコンセプトのもとに展覧会制作が行なわれる。キュレーターは、バイエラー財団美術館アソシエイト・キュレーターのミチコ・コウノ。
「Le fil rouge」とは、フランス語で「赤い糸」を意味する。現代美術において、糸は絵筆に代わってキャンバスに刺繍あるいは糊付けされ、絵画と組み合わせたり、キャンバスの断片同士を縫い合わせるのに使用されたりする。また、異なる長さの糸をさまざまなスケールや多様な形状に張り渡すことで、彫刻のようなかたちを創り出したり、空間に線を描いたり、建築的原理を具現化したり、あるいは、物理の法則に反するかのような空間・作品を創り出すことを可能にしてきた。
『Le fil rouge』では、ガーダ・アメール、トレイシー・エミン、マイケル・レデッカー、イザ・メルスハイマー、フレッド・サンドバック、塩田千春、タティアナ・トゥルヴェ、ハンス・オプ・デ・ベークといった糸を主要な表現媒体のひとつとして制作活動を続けるアーティストを紹介する(太字は東京会場出品作家)。各会場では、参加作家8名のうち4名の作品を展示するとともに、ほかの会場に出品する作家や作品に言及することで3館を繋ぐ対話を展開する。全会場共通で展示されるハンス・オプ・デ・ベークが今回のテーマに沿って制作した、パペットを用いた映像作品「The Thread」のほか、既に開幕したミュンヘン会場ではガーダ・アメール、トレイシー・エミン、マイケル・レデッカーの刺繍をベースとした作品を紹介。糸を用いた表現の中でも、刺繍は従来の女性の手仕事、手工芸といった歴史的な意味合いを再考する形で、1990年代頃より現代美術のひとつの表現技法として散見される。ミュンヘンに続いてパリ会場では、第56回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館代表に選出された塩田千春と、イザ・メルスハイマー、フレッド・サンドバックによるサイト・スペシフィックなインスタレーションの展示が今月6日から始まった。
4月8日からはじまる東京会場は、前述したハンス・オプ・デ・ベークの「The Thread」、ポルノ雑誌の写真などを刺繍で描き出し、女性の歓びに関するステレオタイプやタブーに言及するガーダ・アメール、絵画と裁縫を組み合わせたキャンバス作品で知られるマイケル・レデッカーに加えて、東京会場でのみ展示を行なうタティアナ・トゥルヴェの床すれすれに吊るされた250本の測鉛線からなるインスタレーションで構成される予定。