エムレ・ヒュネル『フローティング キャビン ライダー カプセル リアクター サイクル』@ 現代美術センターCCA北九州

エムレ・ヒュネル『フローティング キャビン ライダー カプセル リアクター サイクル』
2015年2月16日(月)-3月27日(金)
現代美術センターCCA北九州
http://cca-kitakyushu.org/
開場時間:10:00-17:00
休館日:日、祝
※レセプション:2月14日(土)17:00-19:00

CCA北九州プロジェクト・ギャラリーでは、2013年12月以来二度目となるイスタンブールを拠点に活動するエムレ・ヒュネルの個展『フローティング キャビン ライダー カプセル リアクター サイクル』を開催する。

エムレ・ヒュネルは1977年イスタンブール生まれ。文学や映画を含む芸術のみならず、科学やテクノロジー、戦争、医学の歴史など幅広い領域を参照し、失敗を内在したユートピアなどを多様な表現方法で描き出す。これまでに、二度のマニフェスタ(2012、2008)や釜山ビエンナーレ(2010)といった国際展や『ヤンガー・ザ・・ジーザス』(2009、ニューミュージアム)をはじめとする企画展などに参加している。日本国内では、2013年から2014年にかけて行なわれた森美術館のMAMプロジェクト019で、代表作「ジャガーノート」(2009)や新作彫刻「トリロン」(2013)などを発表。同時期に開催されたCCA北九州の個展では二部構成の16ミリ映像作品「エオリアン過程#1と#2」を発表した。

本展では、新作「フローティング キャビン ライダー カプセル リアクター サイクル」が発表される。

その管状の建築物と「火山」は、雨で立ち込める霧の中で窓に映っている。凍りついた建物に囲まれた芝生、靄に覆われた赤いタワー、ぼんやりとした工場、廃墟化した空港、灰色の格納庫、錆びついた炉は、人工的な太陽の光に照らされている。

終わらないネオンサイン、病院棟、何層にも重なる幹線道路橋、クローン化された松の木、通信アンテナ、そして、その中で何とか生き延びようとするほぼ絶滅しかけている動物種。暗いタクシーの中の白手袋、薄暗いバルコニー、濡れたアスファルトを走るタイヤの音、ガラスのエレベーターに映る緑の影、デジタルのおもちゃのような券売機の雑音、引き戸がスライドする音、地下の食堂口からのぼってくる茹でたエビの匂い、捨てられた新聞紙、誰も目に留めることのない小さな無色のスクリーン。

海上に境界のない「空中都市」を設計し、「国」と「領土」の否認を見越す建築家は稀だ。熱帯気候の黄砂の中、ヤシの木の陰の中にある、高層マンションと竹の庭とプール。特価で貸し出し中になっている私営のセメント小屋も利用可能だ。

まもなく「その建物」の住人は、ごみごみして窮屈な環境、そしてアスベストの問題を取り上げて、その「町」を壊すことを票決し、新しい「ハイパー・タワー」に変える。その「住まいのカプセル」は使用不可能になり、最新式の3Dプリンターの装置に取って代わられる。遊園地ができ、ユーカリの木は伐採され大衆の喜びのために美容産業に送られる。

「自転車競技者」のレースコース、「自転車競技場」と「回転する展望レストラン」は新しい構造物を祝う人たちで満員だ。これは「連鎖反応」なのだ。船のスクリューを操り、発電機のタービンを回して社会は動く。よく知られている「サイクル」だ。
エムレ・ヒュネル(本展プレスリリースより抜粋)

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