ウィリアム・ケントリッジ『時間の抵抗』@ 元・立誠小学校 講堂


「時間の抵抗」2012年 5チャンネルビデオ、メガフォン、呼吸する機械(木製の可動式装置)のインスタレーション(音声あり、再生時間30分)コラボレーション:フィリップ・ミラー、キャサリン・メイバーグ、ピーター・ギャリソン 映像からのスチル, courtesy of Fondazione MAXXI © William Kentridge

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015 プレイベント[作品展示]
ウィリアム・ケントリッジ『時間の抵抗』
2014年2月8日(土)-3月16日(日)
元・立誠小学校 講堂
http://www.rissei.org/
開館時間:11:00-19:00 最終入場は18:30まで
休館日:水

PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015:http://www.parasophia.jp/

「PARASOPHIA: 京都国際現代芸術祭2015」の開催一年前のプレイベントとして、ドクメンタ13にも出品された大規模映像インスタレーション作品「時間の抵抗[The Refusal of Time]」(2012)の展示公開が元・立誠小学校 講堂(京都市中京区)にて行なわれる。

ウィリアム・ケントリッジは1955年ヨハネスブルグ生まれ。同地にて政治学、アフリカ研究、美術を学んだ後、パリのエコール・ジャック・ルコックにて演劇を学ぶ。1980年代末より、木炭とパステルで描いたドローイングを部分的に描き直しては、35mm映画用カメラで撮影する「動くドローイング」とも呼べるアニメーション・フィルムを制作、発表する。これまでにドクメンタやヴェネツィア・ビエンナーレへの複数回の参加をはじめ、数多くの国際展で作品を発表、2004年にはカンヌ映画祭で作品を上映している。近年も、2009年から11年にかけて7つの美術館を巡回する展覧会を開催し、2010年にはニューヨークのメトロポリタン・オペラにてオペラ『鼻』の上演を行なっている。日本国内でも横浜トリエンナーレ2001への参加、また、初来日時の同志社大学での講演会(2008)、京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、広島市現代美術館を巡回した日本初の大規模な個展『ウィリアム・ケントリッジ——歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……』(2009-10)、2010年には第26回京都賞の思想・芸術部門を受賞するなど、京都との関係も深い。


「時間の抵抗」2012年 5チャンネルビデオ、メガフォン、呼吸する機械(木製の可動式装置)のインスタレーション(音声あり、再生時間30分)コラボレーション:フィリップ・ミラー、キャサリン・メイバーグ、ピーター・ギャリソン 国立21世紀美術館(イタリア、2012)での展示風景, Photo: Matteo Monti, courtesy of Fondazione MAXXI © William Kentridge

「時間の抵抗」は5面スクリーンへの映像投影と多重音響、象徴的な運動機械を組み合わせた映像インスタレーション。20世紀初頭の近代物理学の誕生を研究するハーバード大学の科学史家ピーター・ギャリソンとケントリッジとの時間を巡る対話から着想され、野生動物にも似た美しく俊敏な踊りで知られる南アフリカの女性ダンサー、ダダ・マシロとのワークショップの過程で生み出された作品。時間の意味を求める人間の飽くなき努力と人間に定義されることを拒むかのような時間の不思議さ、一方で人間が定義した時間の規則や拘束から逃れようと抗う人間、こうした両義性を内包し、近代の普遍的で根源的な問題を執拗に検証し続けているケントリッジの、知の現在位置を明示する重要な作品である。今回は石川コレクション(岡山)の協力により、展示公開が実現。会期中にはケントリッジ自身によるレクチャーを予定している。

会場となる元・立誠小学校(1993年閉校)は、1928年の開校以前には京都電燈株式会社(現・関西電力)があり、1897年2月にリュミエール兄弟のシネマトグラフの試写実験がその中庭で行なわれたことから、日本映画発祥の地のひとつとされている。

関連イベント
レクチャー「宿命からの逃走——《時間の抵抗》について」
ウィリアム・ケントリッジ
2014年2月22日(土)13:00-15:00
会場:先斗町歌舞練場(京都市中京区先斗町三条下ル)
定員:350名(申込不要、無料)※英語を使用(日本語逐次通訳あり)


「時間の抵抗」2012年 5チャンネルビデオ、メガフォン、呼吸する機械(木製の可動式装置)のインスタレーション(音声あり、再生時間30分)コラボレーション:フィリップ・ミラー、キャサリン・メイバーグ、ピーター・ギャリソン 映像からのスチル, courtesy of Fondazione MAXXI © William Kentridge

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