オードリー・イルマス賞2016

2016年4月6日、ニューヨークでバードカレッジ・センター・フォー・キュラトリアル・スタディーズ(以下、CCS Bard)が主催するオードリー・イルマス賞の授賞式典が開かれ、ハーレム・スタジオ美術館のディレクター兼チーフ・キュレーターを務めるテルマ・ゴールデンが賞金25,000ドル(約271万円)を受賞した。

テルマ・ゴールデンは1965年ニューヨーク生まれ。高校時代よりメトロポリタン美術館に実習生として働き、マサチューセッツ州のスミス・カレッジ在学中もハーレム・スタジオ美術館でインターンとして勤務。卒業後、ハーレム・スタジオ美術館のキュラトリアル・インターンを経て、翌88年からホイットニー美術館でキュレーターとして活動。キュレーター・チームの一員を務めた1993年のホイットニー・ビエンナーレや、企画を担当した『Black Male: Representations of Masculinity in Contemporary Art』(1994-95)、新進作家のためのプログラムのディレクションで注目される。2000年にディレクター兼チーフ・キュレーターとして、ハーレム・スタジオ美術館に戻ると、クリス・オフィリやグレン・ライゴンの個展、『Black Romantic: The Figurative Impulse in Contemporary Art』や『Freestyle』、『Frequency』といったテーマ展を企画。同美術館は展覧会のみならず、コレクションの充実、レジデンスプログラムや教育、パブリックプログラムの充実を通じて、国際的な評価を高めている。

CCS Bardのエグゼクティブ・ディレクターを務めるトム・エクルズは、「テルマ・ゴールデンは、時宜を得た展覧会企画、批判的精神、説得力と知性を持った主張を通じて、キュレーションが有する、時代の中心をなす問題の提起や思想の創出に対する重要性を実証してきた。そして、彼女のハーレム・スタジオ美術館への貢献は、まさしく称賛に値すべきものである」と選出理由を語った。

CCS Bardは、20世紀後半や同時代の美術や文化の研究や、その実験的な展示方法を探求するための研究機関として1990年に設立された。教育プログラムのみならず、図書館やアーカイブ、ヘッセル美術館といった充実した施設を備え、現代美術の研究やキュラトリアル・スタディーズにおける世界有数の研究機関として知られている。1998年に展覧会制作の発展に多大なる貢献を果たしたキュレーターの功績を讃えるべく賞を創設。2012年より、同賞支援者でCCS Bardのボードメンバーのオードリー・イルマスの名を冠している。

CCS Bard Curatorial Excellencehttp://www.bard.edu/ccs/visit/about-ccs-bard/award-for-curatorial-excellence/


歴代受賞者
2015|クリスティン・トーメ、マーサ・ウィルソン
2014|チャールズ・エッシュ
2013|エリザベス・サスマン
2012|アン・ゴールドスタイン
2011|ヘレン・モールスワース、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト
2010|ルーシー・リッパード
2009|オクウィ・エンヴェゾー
2008|カトリーヌ・ダヴィッド
2007|アラナ・ハイス
2006|リン・クック、ワシフ・コルトゥン
2005|キャシー・ハルブライヒ、マリ・カルメン・ラミレス
2004|ウォルター・ホップス
2003|キナストン・マクシャイン
2002|スザンヌ・ゲッツ
2001|ポール・シンメル
2000|カスパー・ケーニヒ
1999|マルシア・タッカー
1998|ハラルド・ゼーマン

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