ターナー賞2014


Duncan Campbell It for Others (2013) at Scottish Pavilion, 55th Venice Biennale Photo: ART iT

2014年12月1日、今年で30回目を迎えるターナー賞の授賞式典がロンドンのテート・ブリテンで開催され、ダンカン・キャンベルの受賞が発表された。キャンベルには賞金25,000ポンド(約465万円)、最終候補に残ったシアラ・フィリップス、ジェームス・リチャーズ、トリス・ヴォナ=ミッシェルにはそれぞれ5,000ポンド(約93万円)が授与された。一昨年のエリザベス・プライス、昨年のローラ・プロヴォストに続き、映像作品を中心に制作しているアーティストの受賞となった。

ダンカン・キャンベルは1972年ダブリン生まれ。ジグマー・ポルケ、公民権運動に尽力を注いだバーナデット・デブリン、自動車会社デロリアン・モーター・カンパニー(DMC)の創設者ジョン・ザッカリー・デロリアンなど強烈な個性を持った人物に対する詳細なリサーチを実施して、そのリサーチに基づいた事実とフィクションを織り交ぜた映像で描き出す作品で知られる。選考対象となったのは、昨年、第55回ヴェネツィア・ビエンナーレのスコットランド館で発表した「It for Others」(2013)。同作品では、クリス・マルケルとアラン・レネの共同製作『彫像もまた死す』(1953)を素材として、文化帝国主義、文化の商品化に対する社会的、歴史的検討を試みている。


Duncan Campbell It for Others (2013) at Scottish Pavilion, 55th Venice Biennale Photo: ART iT

審査は、審査委員長のペネロペ・カーティス(テート・ブリテン ディレクター)のほか、ステファン・カルマー(アーティスツ・スペース エグゼクティブ・ディレクター兼キュレーター、ニューヨーク)、ヘレン・レッグ(スパイク・アイランド ディレクター、ブリストル)、サラ・マックロリー(グラスゴー・インターナショナル ディレクター)、ディルク・スノワート(ウィールズ・コンテンポラリー・アート・センター アーティスティック・ディレクター、ブリュッセル)が担当した。

1984年に創設された同賞は、過去1年間に開催された展覧会などの実績をもとに、イギリスを拠点に活動する50歳未満のアーティストに与えられる。毎年変わる審査員によって選出された4名のアーティストがテート・ブリテンにて展示を行ない、同展覧会会期中に受賞者が発表される。また、授賞式典のテレビ放送、受賞者を巡る論争など、美術関係者のみならず一般的にも知名度の高い現代美術の賞として注目されている。これまでに、ギルバート&ジョージ(1986)やデミアン・ハースト(1995)、昨年の第55回ヴェネツィア・ビエンナーレ・イギリス館代表作家のジェレミー・デラー(2004)らが受賞。

なお、過去のターナー賞受賞作家およびノミネート作家の作品が多数出品されている企画展『プライベート・ユートピア ここだけの場所 ブリティッシュ・カウンシル・コレクションにみる英国美術の現在』が、現在、高知県立美術館で12月21日まで開催されている。同展はその後、岡山県立美術館に巡回する予定(2015年1月9日-2月22日)。

ターナー賞2014:http://www.tate.org.uk/whats-on/tate-britain/exhibition/turner-prize-2014

ターナー賞2014
2014年9月30日-2015年1月4日
テート・ブリテン、ロンドン
http://www.tate.org.uk/

2014年11月2日(日)-12月21日(日)
高知県立美術館
http://www.kochi-bunkazaidan.or.jp/~museum/

2015年1月9日(金)-2月22日(日)
岡山県立美術館
http://www.pref.okayama.jp/seikatsu/kenbi/

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