ドイツ証券取引所写真賞2012、ジョン・ステザカーが受賞

2012年9月3日、ロンドンのフォトグラファーズ・ギャラリーは、国際的に最も有名な写真賞のひとつであるドイツ証券取引所写真賞2012をジョン・ステザカーが受賞したことを発表した。
1949年にイングランドのウスターに生まれたステザカーは、1970年代初頭よりイギリスのコンセプチュアル・アーティストのひとりとして台頭する。ポストカードやスチル写真、印刷媒体の写真など既存のイメージを用いたコラージュ作品が広く知られている。2000年代半ばより再び評価が高まり、欧米を中心に数多くの展覧会を開催している。選考対象となったのは、ロンドンのホワイトチャペル・ギャラリーにて開催された40年以上にわたる活動を振り返る回顧展で、ステザカーには賞金3万ポンド(約370万円)が与えられる。
同賞は、1996年に同ギャラリーが創設し、16回目となる今回は2010年10月から2011年9月の間にヨーロッパで開催された展覧会や出版された写真集が選考対象となった。ステザカーのほか、最終選考に残ったのは、ピーター・ヒューゴ、クリストファー・ウィリアムス、川内倫子。南アフリカ出身のピーター・ヒューゴは、ドイツの出版社プレステルから刊行したガーナの首都アクラ郊外の電子機器廃棄物処理場を取り上げた写真集『Permanent Error』、アメリカ出身のクリストファー・ウィリアムスは、チェコのチェスケー・ブディヨヴィツェ美術館での個展『Kapitalistischer Realismus』、川内倫子はフランスのグザヴィエ・バラル社から刊行した写真集『Illuminance』(日本語版はFOIL、英語版はアパチャーなど5カ国で同時出版)がそれぞれ選考対象になった。なお、日本からのノミネートは1998年の杉本博司以来二人目となる。
審査員を務めたのは、投票権を持たない同ギャラリーディレクターのブレット・ロジャースを含む、アルル国際写真祭ディレクターのフランソワ・ヘーベル、写真家のマーティン・パー、チューリッヒ美術館ディレクターのベアトリクス・ルフ、ドイツ証券取引所アートコレクションのキュレーター、アンネ=マリー・ベックマンの5人。
現在、最終選考に残った作品による展覧会がフォトグラファーズ・ギャラリーで7月13日から9月9日まで開催されている。今後、フランクフルトのドイツ証券取引所本社、C/Oベルリンへの巡回を予定している。

The Photographers’ Gallery: http://www.photonet.org.uk/

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