第14回イスタンブール・ビエンナーレ

 

2015年9月5日より、キャロライン・クリストフ=バカルギエフが掲げる「Saltwater(ソルトウォーター): 想念形体の理論」のコンセプトのもと、第14回イスタンブール・ビエンナーレが開幕する。

前回のビエンナーレでは直前の大規模な反政府デモの影響を受ける形で、当初の計画より展示会場の変更や無料入場の実施といった対応を見せた同ビエンナーレ。今回はイスタンブール近代美術館やARTERといった中心部の美術館や美術機関のみならず、ボスポラス海峡の最北部やアジア側まで、船上やホテル、旧銀行、ガレージ、庭園、学校、商店、民家など30カ所以上の展示会場で展開、公式ウェブサイトでは全会場を回るには最低3日間はかかると記している。

クリストフ=バカルギエフは、複数の識者とともに展覧会のコンセプトを構想するとともに、開催都市の歴史を踏まえ、政治的かつ社会的要素を前面に押し出し、過去と対峙するというドクメンタ13で見せた展覧会制作の手法を踏襲している。50点以上の新作を依頼し、非常に小さな作品や海洋学、環境学、海洋考古学、アールヌーボー、神経科学、数学、神知学といった領域の歴史的資料など、出品作品の総数は1500点を超える。参加作家のリストは発表されていないが、ウィリアム・ケントリッジのレフ・トロツキーがトルコで辿った軌跡に着想を得た新作マルチチャンネルインスタレーション、アスリ・チャウシュオールが昆虫から紅の染料を抽出する古代アルメニアの技術を検討した新作インスタレーションを発表するほか、イレーナ・ハイダクスーザン・フィリップスアドリアン・ビジャール・ロハスフランシス・アリスシウド・メイレレスパトリック・ブランなどが参加予定。また、19世紀に世界で初めてニューロン説を唱えたサンティアゴ・ラモン・イ・カハルや、「想念形体」で知られる神智学者のアニー・ベサントチャールズ・リードビーターの名前も挙がっている。

今月、イスタンブールでは郊外のスルタンベイリの警察署付近での爆発やドルマバフチェ宮殿の正面入り口側の守衛所への音響爆弾と銃器による襲撃事件が続いた。これらの事件を受けたビエンナーレの変更は発表されていないが、外務省では「十分注意してください」との渡航情報(危険情報)が発出されている(2015年8月25日現在)。

 

第14回イスタンブール・ビエンナーレ
2015年9月5日(土)-11月1日(日)
http://bienal.iksv.org/

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