TOKAS-Emerging 2025
2025年4月5日(土)-5月4日(日・祝)
トーキョーアーツアンドスペース本郷
https://www.tokyoartsandspace.jp/
開館時間:11:00–19:00 入場は閉館30分前まで
休館日:月
展覧会URL:https://www.tokyoartsandspace.jp/archive/exhibition/2025/20250405-7383.html
トーキョーアーツアンドスペース本郷では、日本国内を拠点とする35歳以下のアーティストを対象とした活動支援プログラムによる展覧会「TOKAS-Emerging 2025」を開催する。本年度は154組の応募から選ばれた井澤茉梨絵、奥村美海、高橋直宏、野村由香の4名がそれぞれ個展形式で作品を発表する。
本プログラムは、トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)が前進のトーキョーワンダーサイト時代の2001年より取り組む若手作家の活動支援プログラム。採択された作家は約半年間にわたり、TOKAS学芸員やほかの参加作家の前でプレゼンテーション、ディスカッションを行ない、TOKASの専門的な視点からの助言や同世代の作家との交流による新たな視点を得ながら展覧会の準備を進める。また、展覧会の会場施工や照明の専門業者による補助や、レクチャーといったプロフェッショナルと共に展示を作る貴重な機会が与えられる。
会期初日には、出展作家4名のアーティスト・トークが公募審査員を務めた福元崇志(国立国際美術館主任研究員)、森啓輔(千葉市美術館学芸員)をゲストに迎えて開かれる。
井澤茉梨絵《冬眠》2024年
奥村美海《Perspective structures of Palimpsest》2024年
井澤茉梨絵(1992年生まれ)は、キャンバスをひとつの環境とみなし、その中での「適応と反発」をテーマに絵画制作に取り組んでいる。種々の生き物が一定の枠組みの中で適応と反発を繰り返しながら生きるための身体を獲得すると同時に、生き物の営みによってその環境のありようも浮き彫りとなるといった相互に影響をもたらす関係性に関心を持つ。2017年に京都市立芸術大学大学院美術研究科油画専攻を修了し、近年は東京で井澤自身が運営するアトリエ兼ギャラリー「space 櫛形」にて個展「巨人の化石と絞め殺し植物」(2022)、「土の中にいる人」(2024)を開催。本展「生き物の形、環境の形」では、ある環境、その周縁、そして同時に存在する異なる環境にまで関心を広げ、大型作品を中心とした複数の絵画による「展示空間」を新たな環境として創出することを試みる。
奥村美海(1999年静岡県生まれ)は、落書きや帳簿に書かれた線など、生の痕跡として個人の日常生活に強く結びついた筆跡を「マイクロレター」と名付けて収集・研究し、それらを解体・再構成した作品を制作している。現在は東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程に在籍。近年の主な展覧会に渋谷パルコを拠点に開かれるアート&カルチャーイベント「P.O.N.D.2024」(PARCO MUSEUM TOKYO)、個展「マイクロレター」(亀戸アートセンター、東京、2024)。本展「もも、Q うしゅう、32850 日」では、90歳を迎える自身の祖父へのリサーチをもとに平面作品や映像によるインスタレーションを展開し、祖父と奥村の間に流れた年月から、時間の中の記憶と身体、筆跡と認知の関係性を探る。
高橋直宏《聖別》2024年
野村由香《Repetitive Activity in Toyama City》2023年
高橋直宏(1991年北海道生まれ)は、身体の可変性と、それによる意味や認識の変化をテーマに、解体可能な人体彫刻を制作している。物流や通信技術の発展によって、切り離された身体の一部が、遠隔地でもコミュニケーションや作業を行なうことが可能になった現代における身体について、彫刻を通じて探究している。2020年に金沢美術工芸大学大学院博士後期課程美術工芸研究科彫刻分野を満期退学(博士号取得)。主な展覧会に「AGAIN−ST ルーツ/ツール 彫刻の虚材と教材」(武蔵野美術大学美術館、東京、2022)、「群馬青年ビエンナーレ2021」(群馬県立近代美術館)、「アートアワードトーキョー丸の内2017」(新東京ビル、東京)など。本展「インフラ・ヒュー/マンと3つのC」では、さまざまな制度や技術の中で切断、加工、再構成される身体に着目し、異なる作品を接合した人体彫刻によって、社会システムにおいて私たちを切断するもの、人間/非人間の関係をいかに表現するか検討する。
野村由香(1994年岐阜県生まれ)は、人智を超えたスケールで展開される自然の変化やその根底にある力を捉えるため、作家自身を動力とする装置を作品として発表している。2019年に京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻を修了。主な展覧会に「半井桃水館芸術祭 シャンデリア」(半井桃水館/宮谷の家、長崎、2024)、「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」(六甲高山植物園)など。本展「光る山」(助成:公益財団法人 松浦芸術文化財団)では、石炭の質感、時間や生命の蓄積に魅了されたことをきっかけに、北海道と九州の炭鉱でリサーチを行ない、坑道をモチーフとした作品を制作。石炭というエネルギー源をめぐる人間と大地の物語を表現し、人と自然の関係性について再考する。
関連イベント
アーティスト・トーク
2025年4月5日(土)15:30–17:30
出演:井澤茉梨絵、奥村美海、高橋直宏、野村由香
ゲスト:福元崇志(国立国際美術館主任研究員)、森啓輔(千葉市美術館学芸員)
会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷
料金:無料