アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 -若冲からウォーホル、リヒターへ- @ 鳥取県立美術館


 

アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 -若冲からウォーホル、リヒターへ-
2025年3月30日(日)-6月15日(日)
(半期展示替|前期:3/30-5/11|後期:5/13-6/15)
(3期展示替|前期:3/30-4/20|後期:4/22-5/18|後期:5/20-6/15)
鳥取県立美術館(鳥取県倉吉市駄経寺町2-3-12)
https://tottori-moa.jp/
開館時間:9:00–17:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月(3/31、4/28、5/5は開館)
展覧会企画:尾﨑信一郎(鳥取県立美術館長)
展覧会URL:https://tottori-moa.jp/exhibition/view/exhibition-01/

 

2025年3月30日、鳥取県倉吉市に新たに開館する鳥取県立美術館では「アート・オブ・ザ・リアル 時代を超える美術 -若冲からウォーホル、リヒターへ-」を開催。近世鳥取画壇の写実描写、前田寛治の独自のリアリズム、さらに初期の辻晉堂における写実表現など、鳥取県のコレクションの特徴を活かし、古来より美術の重要なテーマであった「リアル」をめぐる挑戦の軌跡を、江戸/現在、日本/海外などの枠を超えて横断的に捉え直す。

開館記念展となる本展は、出品作家100名以上による油彩画、日本画、彫刻、写真など多彩なジャンルの作品約180点を通じて、「リアル」をめぐる挑戦の軌跡を「迫真と本質」「写実を超える」「日常と生活」「物質と物体」「事件と記憶」「身体という現実 」の6つのセクションおよびエピローグで構成し紹介する。

 


土方稲嶺《群鶴図》18世紀 絹本著色・一幅 府中市美術館(※3/30-5/11 展示)


前田寛治《西洋婦人像》1925年頃 油彩/カンヴァス 鳥取県立美術館蔵

 

第1章「迫真と本質」では、江戸時代後期に鳥取に生まれ鳥取画壇の祖とも称される土方稲嶺、日本の洋画界に重要な足跡を残した前田寛治、陶土を用いた彫刻(陶彫)により戦後の彫刻界に独自の位置を築いた辻晉堂の鳥取を代表する3作家をはじめ、現実を目に見えるままに再現する「リアル」に迫った作家を紹介。続く「写実を超える」では、パブロ・ピカソルネ・マグリットなど、20世紀美術を牽引したキュビスムとシュルレアリスム、あるいは日本画における「奇想の系譜」にあたる伊藤若冲などから、新しい「リアル」の表現を辿る。さらに、鳥取砂丘を制作の舞台とした植田正治の《パパとママとコドモたち》(1949/1980年代プリント)、同じく鳥取砂丘を制作の一部の舞台としたやなぎみわの《Windswept Women 2》(2009)、砂丘をイメージさせる浜田浜雄の《ユパス》(1939)も同セクションで紹介する。

第3章「日常と生活」では、日常という現実もまた美のひとつの源泉と捉え、美術の地平は大きく広げたとされるマルセル・デュシャンの《自転車の車輪》(1913/64)、アンディ・ウォーホルの《ブリロ・ボックス》(1968)などを紹介。第4章「物質と物体」では、本展タイトルの由来となった、1968年にニューヨーク近代美術館で開催された「アート・オブ・ザ・リアル Art of the Real」展にちなんで、モダニズム以降の素材そのものを扱った「リアルな芸術」を取り上げる。同展の参加作家だったロバート・モリスのフェルトによる作品《無題》(1968)や、より現代の作品として画鋲を素材とする冨井大裕の《ゴールドフィンガー》(2007)を紹介。ゲルハルト・リヒターによる《抽象絵画(648-1)》(1987)も本章で取り上げる。

 


冨井大裕《ゴールドフィンガー 》2007年 画鋲(27,225本)、指示書 東京国立近代美術館蔵


小早川秋聲《虫の音》1938年 絹本著色・一面 鳥取県立美術館蔵(※5/13-6/15 展示予定)

 

第5章「事件と記憶」では、震災と疫病、そして戦争といった不安の時代の中で、美術家たちが社会的現実をどのように表現してきたのかに着目する。本章では、ミレーの《晩鐘》をモチーフとしつつもキノコ雲を背景に農具ではなく武器を手にするふたりの人物を描いた森村泰昌の《Brothers (A Late Autumn Prayer)》(1991)、鳥取県光徳寺の長男として生まれ、各国を旅して描いたほか、従軍画家として戦地に赴き兵士に寄り添う戦争画を遺した小早川秋聲などを紹介。第6章「身体という現実」では私たちにとって最も身近であり、交換できない現実としての身体に関わる表現の変貌を、フランシス・ベーコンイヴ・クラインの作品を通じて検証する。そして、エピローグとして、国境や世代、性差といった境界がしばしば私たちを分断し、他者との共感を困難にする中で、このような境界を越えていく力としての美術を、未来に向けたひとつの希望として提示する。

開館直前の3月29日には、パレードや野外音楽祭、アート&クラフトマーケットなど、開館記念オープニングイベントを開催。オープニングイベントの一環として、3月28日に意匠設計を担当した槇総合計画事務所の亀本ゲーリーと松田浩幸によるレクチャー「美術館建築について」、3月29日にはいずれも開館記念展の出品作家でもある森村泰昌とやなぎみわを招いたシンポジウム「ほんとに美術館って必要なの? ーミュゼオロジー再考」といった開館記念シンポジウムも開催する。さらに会期中には、安村敏信(静嘉堂文庫美術館館長)、宮下規久朗(神戸大学大学院教授)、尾﨑信一郎(鳥取県立美術館館長)、笠原美智子(長野県立美術館館長)を講師とするスペシャルトークをはじめ、ゲルハルト・リヒターの発想や手法に触れるワークショップなど、さまざまな関連イベントも実施される。

 


イヴ・クライン《人体測定170》1960年 顔料、カンヴァスに裏うちされた紙 広島市現代美術館蔵


やなぎみわ《My Grandmothers AI》2003年 発色現像方式印画 鳥取県立美術館蔵

 

開館記念シンポジウム第1部
「美術館建築について」
2025年3月28日(金)14:00–15:30
講師:亀本ゲーリー(槇総合計画事務所 代表取締役)、松田浩幸(槇総合計画事務所)
会場:鳥取県立美術館 1Fひろま
定員:150人(事前申込制、先着順)※無料
対象:高校生以上
申込方法:https://tottori-moa.jp/news/13395/#session

開館記念シンポジウム第2部
「ほんとに美術館って必要なの? ーミュゼオロジー再考」
2025年3月29日(土)10:30–12:00
ゲスト:森村泰昌(美術家)、やなぎみわ(美術家・舞台演出家)
モデレーター:尾﨑信一郎(鳥取県立美術館館長)
会場:鳥取県立美術館 1Fひろま
定員:150人(事前申込制、先着順)※無料
対象:高校生以上
申込方法:https://tottori-moa.jp/news/13395/#session

 


森村泰昌《Brothers (A Late Autumn Prayer)》1991年 発色現像方式印画 鳥取県立美術館蔵

 

「ART OF THE REALアート・オブ・ザ・リアル時代を超える美術 -若冲からウォーホル、リヒターへ-」関連イベント
スペシャルトーク
「江戸絵画史における鳥取画人たち」
2025年4月12日(土)14:00–15:30
講師:安村敏信(静嘉堂文庫美術館館長)
会場:鳥取県立美術館 1Fホール
定員:50名(事前申込制)※無料
申込方法:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSclDm1NMC5qOTNZ-oUD_jHjumAyMLEy3YC7U5KpPOvdVxCzlg/viewform

「ウォーホル芸術─20世紀を映した鏡」
2025年4月29日(火・祝)14:00–15:30
講師:宮下規久朗(神戸大学大学院教授)
会場:鳥取県立美術館 1Fホール
定員:50名(事前申込制)※無料
申込方法:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSclDm1NMC5qOTNZ-oUD_jHjumAyMLEy3YC7U5KpPOvdVxCzlg/viewform

「“アート・オブ・ザ・リアル”をめぐって」
2025年5月24日(土)14:00–15:30
講師:尾﨑信一郎(鳥取県立美術館館長)
会場:鳥取県立美術館 1Fホール
定員:50名(事前申込制)※無料
申込方法:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSclDm1NMC5qOTNZ-oUD_jHjumAyMLEy3YC7U5KpPOvdVxCzlg/viewform

「美術とジェンダー 石内 都とやなぎみわを中心に」
2025年6月7日(土)14:00–15:30
講師:笠原美智子(長野県立美術館館長)
会場:鳥取県立美術館 1Fホール
定員:50名(事前申込制)※無料
申込方法:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSclDm1NMC5qOTNZ-oUD_jHjumAyMLEy3YC7U5KpPOvdVxCzlg/viewform

 


ゲルハルト・リヒター《抽象絵画(648-1)》1987年 国立国際美術館蔵 ©Gerhard Richter 2024 (26072024)

 

ワークショップ
リヒターの表現に挑戦!~抽象絵画をつくろう
2025年5月10日(土)13:30–16:30
会場:鳥取県立美術館 1Fスタジオ2・3
定員:15組(事前申込制)
対象:子どもから大人まで(小学3年生以下は保護者同伴)
参加費:1作品につき300円(材料実費)※各組制作は2人まで
申込方法:https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScH67zC_3KYfewVo39o0-Sn7FeHeBpdnJVgX6dIXQf2Vjfh4g/viewform

なんじゃコラージュ
2025年5月11日(日)、5月18日(日)、5月25日(日)
各日:10:00–12:00、14:00–16:00
会場:鳥取県立美術館 1Fスタジオ2・3
対象:子どもから大人まで(小学3年生以下は保護者同伴)
※時間中随時受付、無料

ギャラリートーク 学芸員のイチ推し
会期中の毎週日曜日14:00-15:00 ※要観覧券

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