没後20年 東野芳明と戦後美術 @ 富山県美術館


 

没後20年 東野芳明と戦後美術
2025年1月25日(土)-4月6日(日)
富山県美術館 展示室2、3、4
https://tad-toyama.jp/
開館時間:9:30–18:00 入場は閉館30分前まで
休館日:水、2/25
展覧会URL:https://tad-toyama.jp/exhibition-event/18872
展覧会アドバイザー:海老塚耕一

 

富山県美術館では、中原佑介、針生一郎とともに「御三家」として戦後日本美術を代表する評論家に挙げられ、同館前身の富山県立近代美術館の運営委員を務め、そのコレクション形成にも大きな影響を与えた東野芳明の美術評論家としての歩みを紹介する「没後20年 東野芳明と戦後美術」を開催する。

東野芳明(1930-2005/東京生まれ)は、東京大学を卒業した1954年に雑誌『美術批評』の新人評論募集にて、評論「パウル・クレエ試論」で第一席を受賞し、美術評論家として歩み始める。1950年代末に渡欧・渡米した東野は、そこで目にした欧米の「現代美術」をいち早く国内に紹介することに努め、60年代以降は、「反芸術」と称した同世代の芸術家たちの伴走者として、彼らの活動を後押しした。創作現場での体験を交えた、臨場感に満ちた批評を執筆するのみならず、展覧会の企画にも携わり、国内外の作り手たちと多くの時間を共有。58年(第29回)にはヴェネツィア・ビエンナーレの日本館アシスタント・コミッショナー、70年(第35回)、72年(第36回)には日本館コミッショナーを務めた。生涯にわたり交友を深め、作品考察を試みたマルセル・デュシャンについて、『マルセル・デュシャン』(美術出版社、1977)、『マルセル・デュシャン「遺作論」以後』(美術出版社、1990)を発表。78年から80年にかけて、デュシャン本人の許可のもと、「花嫁は彼女の独身者たちによって裸にされて、さえも」(1915-23、フィラデルフィア美術館蔵)のレプリカ制作(1980、東京大学駒場博物館蔵)の監修を瀧口修造とともに務めた。主な著作に、『現代美術――ポロック以後』(美術出版社、1965)、『ジャスパー・ジョーンズ――そして/あるいは』(美術出版社、1979 ※のちに増補版として『ジャスパー・ジョーンズ アメリカ美術の原基』(美術出版社、1986)、『曖昧な水 レオナルド・アリス・ビートルズ』(現代企画室、1982)、『ロビンソン夫人と現代美術』(美術出版社、1986)など。後年は、水をめぐる思索を深め、趣味の素潜りによる写真作品も制作した。

 


ジャクスン・ポロック《無題》1946年 富山県美術館蔵


ジャン・フォートリエ《シーソーのシステム》1960年 富山県美術館蔵

 

東野は同館前身の富山県立近代美術館の草創期から1990年に病に倒れるまで、美術館の運営委員や企画展のコミッショナーとして美術館の活動に関わっており、同館では東野旧蔵の作品、資料、書籍を所蔵している。没後20年を記念して開催される本展は、近年の調査を踏まえ、これまで未公開だった資料も含めて東野旧蔵作品・資料を大々的に紹介しながら、東野芳明の美術評論家としての歩みを辿る。また、東野が批評等で言及した芸術家の作品も紹介、なかでも東野がライフワークとして研究したマルセル・デュシャン関連の作品、資料は一室に集めて展示する。

 


東野芳明《セルフ・ポートレート》1975年 個人蔵


東野芳明《水の肌-2(サンタモニカ、サム・フランシス邸)》1987年 富山県美術館

 

関連イベント
トークイベント「東野さんとの日々」
2025年1月25日(土)14:00–15:30(開場:13:30-)
講師:海老塚耕一(美術家、元多摩美術大学教授)
会場:富山県美術館3階 ホール
※無料(申込不要)

スライドレクチャー『東野芳明講演「瀧口修造と戦後美術」を聞く』
2025年3月8日(土)14:00–15:45
会場:富山県美術館3階 ホール
※無料(申込不要)
※東野芳明が企画展「瀧口修造と戦後美術」(富山県立近代美術館)に際して行なった講演会音声(1982年7月4日録音)を関連画像とともに再生する。

ギャラリートーク
2025年2月22日(土)、3月22日(土)、4月5日(土)各日14:00–14:30
会場:富山県美術館2階 企画展示室(入口に集合)
※無料(申込不要)
※当日有効の企画展観覧券が必要

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