パンク!日常生活の革命


Karl Kraus, Zum Ewigen Friefden © Karl Kraus Archive

 

パンク!日常生活の革命
2021年5月14日(金)- 5月28日(金)
2021年5月14日(金)- 5月17日(月)、6月14日(月)- 6月27日(日) ※新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言・まん延防止等重点措置に対する協力要請により日程変更。(※5月20日修正)
倉敷市阿知1丁目14-14 エクセリア館1階
開館時間:11:00-17:00
会期中無休
EEEプロジェクト:http://www.kuragei.com/
展覧会URL:http://www.kuragei.com/Events_Punk/

 

昨秋にゲリラガールズの個展を企画した倉敷芸術科学⼤学の川上研究室が取り組むEEE(Education, Education and Education)プロジェクトが、学生とともに取り組むキュレーションの実践として、展覧会『パンク!日常生活の革命』を倉敷市内の会場で開催する。

EEEプロジェクトを手がける川上幸之介は、一般的に騒がしい音楽に派手なビジュアル、モッシュピットで暴れる観客といったイメージを持たれている「パンク」の系譜をたどり直すことで、本展を通じて、その独自の倫理的実践と批評性に、現代美術との親和性や両者の相乗性を見出し、同時に、パンクによる日常生活における音楽を通じた自立空間の形成の方法や意味の再検討を試みる。

 


Isidore Isou, Venom and Eternity ©Re:voir


King Mob, Luddites: 69 © Chris Grey

 

シチュエーショニスト・インターナショナルの理論的支柱となったラウル・ヴァネーゲムの「日常生活の革命」をタイトルに用いた本展は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、マスメディアに対する独立自営のメディアとして『ファッケル(Die Fackel)』を立ち上げたオーストリアのドイツ系ユダヤ人の作家兼ジャーナリストカール・クラウスが、ナチズムが台頭し、ヒトラーが政権を握る直前の1932年に朗読した「永遠の平和のために」を起点に、まずはアルフレッド・ジャリ、ダダ、レトリスム、シチュエーショニスト・インターナショナル、ブラック・マスク&アップ・アゲインスト・ザ・ウォール・マザーファッカー、キング・モブという流れで、20世紀の急進的な前衛芸術運動とその関係性を紹介。続いて、「セックス・ピストルズがSIに端を発しているのであれば、ラディカルな閃光とバーレスクな怒りという彼ら特有のひねりは、ロンドンのノッティング・ヒルゲート地区を拠点とするごろつき衒学者達によってもたらされた」という言説を、キング・モブが発行した「キング・モブ・エコー」やセックス・ピストルズの仕掛け人として知られるマルコム・マクラーレンが監督したTV映画「オックスフォード・ストリートの亡霊」を通して検証、現代美術とパンクの接点を探る。

そして、「パンクの中の『修復的な』反体制運動であり、政治的な転覆を図るシステムとしてのパンクの重要性を再確認させることを目的」としたアナーコ・パンクの始祖としてのクラス、ジェンダー不平等、人種差別、家父長制、階級主義、アナーキズムなど、さまざまな抑圧と闘うために団結し、コミュニティ形成、DIY による音楽、アート、ジン、グッズ制作、政治的な活動を展開し国際的に広がったムーブメントとしての「ライオット・ガール」、権利を剥奪されたクィア・パンクスの地下ネットワークを育み、マス・マーケットの外で、同性愛嫌悪、性差別、人種差別といった問題に対して、自分たちの物語を語り、創り出す場を切り開いていったクィアコアを参照しながら、日常生活における自立空間の可能性を検討する。

 


Gee Vaucher, Oh America © Gee Vaucher


Kerri Koch, Don’t Need You: the Herstory of Riot Girl © Urban Cowgirl


Queer punks crash the San Francisco Pride parade (June 25, 1989). G. B. Jones (center) sits on the hood of a battered police-car float, smoking a cigarette next to a sign referencing the Stonewall riots. Photo by Danny Nicoletta Courtesy of https://dannynicoletta.com/ ©️Danny Nicoletta

 

なお、本展開催に際し、作成されたカタログには、出展アーティストやパンクの紹介のほか、パンクを現代のアンダーグラウンド・シーンの源流に位置付ける、批評家の小倉利丸による論考「不法占拠者たちの闘い −世紀末アンダーグラウンドが目覚めた時−」、デヴィッド・グレーバーが2008年1月にテート・ブリテンで開かれたアントニオ・ネグリ、フランコ・ベラルディ(ビフォ)、マウリツィオ・ラッツァラート、ジュディット・ルヴェルによるカンファレンスのレビューとして執筆した「ポスト労働者主義の悲哀――《芸術と非物質的労働》カンファレンス・レヴュー(2008年1月19日土曜日、テート・ブリテン)」が収録されている(※カタログは会場でのみ入手可能)。

EEEプロジェクトでは、これまでにもジョン・バルデッサリやイム・ミヌク、ゲリラガールズをはじめとする国際的に活躍するアーティストとのコラボレーション、プロレタリア美術運動の中で記録映画を監督した厚⽊たか、同運動の結成者で画家の岡本唐貴や、大正期新興美術運動を現代美術の⽂脈で紹介する展覧会企画、キュレーターや批評家、思想家などによる公開講座など、さまざまなアートプロジェクトを⼿がけている。本展『パンク !⽇常⽣活の⾰命』は、川上研究室のプロジェクトに賛同したモトヤユナイテッド株式会社が協賛している。

 


増補新版 PUNK! The Revolution of Everyday Life 展覧会カタログ(川上幸之介編、
倉敷芸術科学大学芸術学部 川上幸之介研究室)

 


巡回情報
岡山会場:スクセル・タワー1階(倉敷市阿知1丁目14-14 エクセリア館1階)
2021年6月14日(月)– 6月27日(日)

東京会場:北千住 BUoY
2021年10月9日(土)– 10月24日(日)
https://buoy.or.jp/program/punk/

長崎会場:すみれ舎
2021年11月5日(金)– 11月13日(土)
https://sumiresha.wixsite.com/jokokai/ptrel

福岡会場:アートスペース・テトラ
2021年12月3日(金)– 12月10日(金)
http://www.as-tetra.info/archives/2021/211203211318.html

大阪会場:エル・おおさか(大阪市中央区北浜東3-14)
2022年3月4日(金)– 3月8日(火)
https://kuragei.com/?page_id=582


大阪会場チラシ


大阪会場チラシ

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