小泉明郎展『Dreamscapegoatfuck』@ 無人島プロダクション

 

小泉明郎展『Dreamscapegoatfuck』
2019年7月20日(土)-8月31日(土)
無人島プロダクション
http://www.mujin-to.com/
開廊時間:12:00-19:00(日曜は17:00まで)
休廊日:月・祝休、夏季休廊(8/11-8/14)
※オープニング・レセプション:7月20日(土)15:00-17:00

 

無人島プロダクションは、東京・墨田区江東橋の元段ボール工場に移転し、移転後初の展覧会として、小泉明郎の個展『Dreamscapegoatfuck』を開催する。東京のBUoY北千住アートセンターや京都芸術センターで発表した「私たちは未来の死者を弔う」も話題となり、開幕を直前に控えるあいちトリエンナーレ2019への参加も決定している小泉は、映像インスタレーション「Battlelands」と小泉初のVRインスタレーション「Sacrifice」、立体作品「Sleeping Boy」を本展で発表する。

小泉明郎(1976年群馬県生まれ)は、共感や感情移入を促す装置としての映像メディアを使い、戦争の表象における集団的無意識と欲望を作品化してきた。当初より演劇的要素を組み込んだ映像作品を制作していたが、マルチチャンネルの映像インスタレーションやVRインスタレーションへの展開のほか、あいちトリエンナーレ2019では、VR技術を使った初の本格的演劇作品にも取り組む。2000年代前半より国内外で作品を発表し、近年の主な個展に『Battlelands』(ペレス美術館、2018/ミネアポリス美術館、2019)、『Le nouveau souffle juste après la tempête』(ヴァル=ド=マルヌ現代美術館、フランス、2018)、『帝国は今日も歌う』(デ・ハレン・ハールレム、オランダ、2016)、『捕われた声は静寂の夢を見る』(アーツ前橋、2015)、主なグループ展に第14回シャルジャ・ビエンナーレ、第12回上海ビエンナーレ、『トラベラー:まだ見ぬ地を踏むために』(国立国際美術館、大阪、2018)、『歴史を体で書く』(国立現代美術館、果川市、韓国、2017)、『MOTアニュアル2016 キセイノセイキ』(東京都現代美術館、2016)などがある。

本展で発表する映像インスタレーション「Battlelands」(2018)は、マイアミのペレス美術館の依頼を受けて制作された。小泉は本作の制作のためにマイアミを何度も訪れ、イラク戦争とアフガニスタン戦争で従軍し帰還した退役軍人に協力を得て撮影を行なった。退役軍人の日常と彼らが戦地で最もストレスを感じた瞬間を描写した映像をつなぎ、戦争と破壊という極限の状態が、人々の記憶やその後の日常生活に及ぼす影響、命令に従う状況の兵士にとって個人的な「選択」とは何か、感情の中の戦いはどこまで続くのかなどといった問いを投げかける。一方、小泉にとって初のVRインスタレーションとなる「Sacrifice」(2018)は、「Battlelands」完成後にバグダッドに赴き、イラク人の若者アハメッドの協力を得て撮影された。観客は、アハメッドのヴァーチャルな身体にもぐり込んで、彼の身体と自身の身体を重ね合わせながら彼の体験を聞く。(※「Sacrifice」は事前予約優先の鑑賞となる。予約はこちらから。)「Battlelands」と「Sacrifice」はそれぞれ世界各地で発表されてきたが、この対をなす両作品が同時に展示されるのは本展が初となる。そして、本展では、小泉が息子が生まれてから数年間、息子の死のイメージが脳裏から離れず悩まされた時期に制作した立体作品「Sleeping Boy」(2015)が、「加害者」「被害者」双方の現実の追体験を促すふたつのインスタレーション作品をつなぐ重要な役目を負う。

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