霞はじめてたなびく @ トーキョーアーツアンドスペース本郷


吉開菜央『静坐社』映画、2017年

 

ACT(Artists Contemporary TOKAS)Vol.1
霞はじめてたなびく
2019年2月23日(土)-3月24日(日)
トーキョーアーツアンドスペース本郷
http://www.tokyoartsandspace.jp/
開館時間:11:00-19:00 入館は閉館30分前まで
休館日:月

 

トーキョーアーツアンドスペース(TOKAS)では、新企画「ACT(Artists Contemporary TOKAS)」の第一弾として、佐藤雅晴、西村有、吉開菜央を紹介する展覧会『霞はじめてたなびく』を開催する。

「ACT」では、公募展や企画展、海外派遣など、TOKASのプログラムに参加経験のあるアーティストを中心に、今注目すべき活動を行なっているアーティストを紹介する展覧会企画。初回となる本展では、古代中国で季節を表す方法として考案され、江戸時代に日本の風景や気候に合うように翻案された七十二候から、展覧会がはじまる2月下旬を表す「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」をタイトルに、ささやかな日常の変化を身体で敏感に感じとり、その経験や作品制作を通じて世界を捉え直し、それまで見えていなかった風景を展示空間に浮かび上がらせる、佐藤雅晴、西村有、吉開菜央の3名を紹介する。

佐藤雅晴(1972年大分県生まれ)は、実際の風景を映像に撮り、1コマ1コマをパソコン上でトレースし、アニメーションを制作する。佐藤は1999年に東京芸術大学大学院を修了した後に、デュッセルドルフ美術大学に研修生として在籍した期間を含む10年間、ドイツで制作活動を続けた。2009年に岡本太郎現代芸術賞特別賞を受賞、その後も川崎市市民ミュージアム、ギャラリーαM、原美術館などで個展を開催。現在、森美術館で開催中の『六本木クロッシング2019展:つないでみる』やKEN NAKAHASHIの『死神先生』にも出品している。本展では、旅で訪れた福島の風景を癌に侵されていく佐藤自身の身体と重ね合わせるように取り込み、その一部をアニメーション化した新作の映像インスタレーション「福島尾行」(2018)を発表する。

 


佐藤雅晴「福島尾行」2018年、シングルチャンネルビデオ

 

西村有(1982年神奈川県生まれ)は、制作過程での日常的な気づき、記憶を重視しながら、絵画を制作している。そこに描かれる風景は実際にあるものの再現ではなく、どこかで見たことのあるような風景や人物、あるいは物語のワンシーンを思わせるような絵画が、空間に展示されることで隣り合うそれぞれの作品との間に物語が展開していく。2004年に多摩美術大学を卒業。2017年には絹谷幸二賞を受賞し、昨年は『あざみ野コンテンポラリーvol.9 今もゆれている』(横浜市民ギャラリーあざみ野)などに参加。金沢21世紀美術館のアペルトで個展は現在も開催中。2019年3月に開かれる『VOCA展2019-新しい平面の作家たち-』(上野の森美術館)への出品も決まっている。本展では、展覧会名に呼応した新作絵画を発表する。

吉開菜央(1987年山口県生まれ)は、10代から身体表現に取り組んできた背景を生かし、身体的な感覚や現象に着目した映像と音による表現を追求している。映像制作のみならず、深田晃司が監督した『鳥(仮)』(2016)への出演やミュージックビデオの監督、出演、振付、舞台作品への出演など多彩な活動を展開している。日本女子体育大学舞踊学専攻を経て、東京芸術大学大学院映像研究科に進む。2014年に制作した『ほったまるびより』が翌年の第19回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で新人賞を受賞。本展では、大正期に流行した心身修養法のひとつである岡田式静坐法を展開していた京都の静坐社で、建物が取り壊される直前に制作した『静坐社』の映像インスタレーションや新作映像を発表する。

 

関連イベント
参加作家によるトーク
出演:西村有、吉開菜央
2019年2月23日(土)16:30-18:00
会場:トーキョーアーツアンドスペース本郷

 

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