ジョシュア・オコン @ アサクサ


 

ジョシュア・オコン
2018年10月20日(土)-11月11日(日)
アサクサ
http://www.asakusa-o.com/
開廊時間:12:00-19:00
休廊日:火、水、木、金
※オープニングレセプション:10月20日(土)18:00-20:00

 

アサクサでは、2016年以来2度目となるジョシュア・オコンの個展を開催する。

ジョシュア・オコン(1970年メキシコシティ生まれ)は、ドキュメンタリーの手法、即興や台本に基づいた演技を織り交ぜ、フィクションと現実が混在する状況をつくりだす映像作品を制作している。政治的断層の特異点に分け入り、さまざまな団体の主張とその正当性をめぐる問題を扱うオコンの映像作品は、しばしばビデオカメラを前に実行された社会的実験として立ち現われる。現代社会が引き起こす対立を明確にする一方で、独特のユーモアで視点を切り替えるその手法が、一方的な意見の対立を乗りこえた認識の先へと鑑賞者を促す。1994年にモントリオールのコンコルディア大学を卒業、2002年にカリフォルニア大学ロサンゼルス校でMFAを取得。近年はカリフォルニアのトーランス美術館やメキシコ自治大学付属現代美術館[MUAC]、コルビー美術館などで個展を開催。そのほか、マニフェスタ11、ミグロ美術館のグループ展などに出品している。日本国内では、2014年に倉敷芸術科学大学内および同市にある加計美術館で個展を開催している。

本展では、2020年東京オリンピックのボート・カヌーおよび乗馬の競技場建設が計画されている東京湾の中央防波堤埋立地を扱った新作を中心に発表する。3台の4K解像度のモニタに映し出される緑豊かな木々の地表の下には、1977年から東京都が排出した5,500万トンの産業・家庭廃棄物が、海面から30メートルの高さまで堆積している。埋め立て作業を終え緑化をはじめる中央防波堤外側処分場は、強烈なにおいとメタンガスが漂う中、深い緑の層に覆われている。オコンは大自然や野生生物の生態を描くネイチャードキュメンタリーの手法を用いて、廃棄物を周到に管理する共同幻想を生みだしながら、一方で自然を商業化し、さらなる消費活動を促す新自由主義的な環境政策を指摘している。莫大な堆積物を覆い隠す緑は、根本的な矛盾を表層のイメージ戦略によって覆い隠すガバナンスのあり方の一端を示しているのである。また、同地の土地所有権をめぐって、大田区と江東区の間で抗争が続いている。

なお、本展は、アーティストの招聘、新作の構想、制作、発表を通して、批判的思考を促し、創造的議論の場を醸成することを目的とした「アサクサエンターテイメンツ」の一環として企画されている。

 

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アーティストトーク
2018年10月20日(土)16:00-17:30
会場:アサクサ

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