愛について アジアン・コンテンポラリー @ 東京都写真美術館


キム・インスク《息子と私》〈サイエソ:はざまから〉より 2008年 東京都写真美術館蔵 ©金仁淑

 

愛について アジアン・コンテンポラリー
2018年10月2日(火)-11月25日(日)
東京都写真美術館 2階展示室
http://topmuseum.jp/
開廊時間:10:00-18:00(木・金曜は20:00まで)入館は閉館30分前まで
休廊日:月(ただし、10/8は開館)、10/9
展覧会企画:笠原美智子(石橋財団ブリヂストン美術館副館長、前・東京都写真美術館事業企画課長)
展覧会担当:山田裕理(東京都写真美術館学芸員)
展覧会特設サイト:https://aboutlove.asia/

 

東京都写真美術館では、家族、セクシュアリティ、ジェンダーのあり方に焦点をあて、主に東アジア地域出身の女性のアーティストの作品を通じて、変わりゆくアジアの現在を見つめる展覧会『愛について アジアン・コンテンポラリー』を開催する。

本展は、伝統や文化、結婚、異国で生きる不安と自由、ジェンダーやアイデンティティ、社会階級と民族、小さな個人の歴史、家族、そして、自分の存在といった、それぞれのテーマに丁寧な思索を重ねてきた、出身国や年齢、作品のスタイルも異なる6名の女性のアーティストで構成される。金仁淑(1978年大阪府生まれ)は、在日コリアンとして大阪に育ち、現在はソウルを拠点に制作活動を行なう。在日コリアンの家族の肖像を撮した「サイエソ:はざまから」など、自身のアイデンティティを含む複数の文化の狭間に浮かび上がる問題に取り組んでいる。済州島を拠点に制作活動を展開するキム・オクソン(1967年ソウル生まれ)は、異文化との葛藤や調和、アイデンティティといったテーマを一貫して扱っている。ホウ・ルル・シュウズ(1962年台湾・嘉義生まれ)は、活動初期より一貫してジェンダー、アイデンティティ、社会階級、民族をテーマに制作を続けている。台湾に嫁いだ外国人花嫁を取り上げた「亞洲新娘之歌」や高雄の基地の街をテーマにした「高雄眷村三部曲」など、積極的に言葉を交えた写真表現を展開している。チェン・ズ(1989年北京生まれ)は、自傷行為を続けてきた自分自身のポートレイト、同じ行為をとる人々を撮影したシリーズで注目を集め、2016年には写真集『Bees & The Bearable』を発表している。現在進行形の最新作「Towards Evening: Six Chapters」では日記や手紙を素材に言葉とイメージの問題を扱っている。ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザイン大学院に在学中のジェラルディン・カン(1988年シンガポール生まれ)は、大学のプロジェクトとして制作したファミリー・ポートレイト「ありのまま」で注目を集め、近年はシンガポールのゴミ収集や移民労働者に焦点を当てた「夜はどうやって寝ますか?」などを制作している。須藤絢乃(1986年大阪府生まれ)は、実在する行方不明の女性に扮して撮影したセルフポートレイト「幻影 Gespenster」をはじめ、セルフポートレイトの可能性を探求する作品に取り組んできた。2014年には東京都写真美術館を会場に開かれたキヤノン写真新世紀でグランプリを受賞している。

 


キム・オクソン《ヒロヨとマイケル2》〈ハッピー・トゥギャザー〉より 2004年 東京都写真美術館蔵 ©Oksun KIM


チェン・ズ《蜜蜂 #065-01》〈蜜蜂〉より 2010年 ©Chen Zhe


ジェラルディン・カン《08:33》〈ありのまま〉より 2010年 作家蔵 ©Geraldine Kang

 

本展を企画するのは、前・東京都写真美術館事業企画課長で石橋財団ブリヂストン美術館副館長の笠原美智子と、IZU PHOTO MUSEUMでフィオナ・タンやテリ・ワイフェンバック、同館のコレクションを使った『永遠に、そしてふたたび』を手がけてきた山田裕理(東京都写真美術館学芸員)のふたり。1991年の『私という未知へ向かって 現代女性セルフ・ポートレイト』をはじめ、ジェンダーの問題を考察する展覧会を多数企画してきた笠原は、グローバリズムと情報化が徹底して進んでいる現代において、ある地域を区切って土地の特性を浮かび上がらせることは不可能に近いが、一方で、日本ではアジアのアーティスト、とりわけ女性のアーティストを紹介する機会は少なく、家父長的な価値観が非常に強い日本では、意識的に企画しない限りその機会はますます減っていくだろうと述べる。

なお、会期中には出品作家によるリレートークや、元・栃木県立美術館学芸員の小勝禮子をゲストに迎えた笠原美智子との対談を開催する。

 


ホウ・ルル・シュウズ《尚久菊(シャン・ジョウジュー)と陸鐸(ルー・ドゥオ)01》〈高雄眷村三部曲 エピソード1:ここは私たちの出会う場所 (励志新村)〉より 2012年 作家蔵 ©Lulu Shur-Tzy Hou

 

関連企画
出品作家によるリレートーク
ホウ・ルル・シュウズ x キム・オクソン
2018年 10月4日(木)18:00-20:00
チェン・ズ x ジェラルディン・カン
2018年 10月5日(金)18:00-20:00
金仁淑 x 須藤絢乃
2018年 11月17日(土)15:30-17:00
会場:東京都写真美術館1階スタジオ
定員:各50名(整理番号順入場/自由席)入場無料/要入場整理券
※当日10時より1階総合受付にて整理券配布
※逐次通訳付き(日本語)

ゲスト対談
出演:小勝禮子(近現代美術史・美術批評)
笠原美智子(石橋財団ブリヂストン美術館副館長、前・東京都写真美術館事業企画課長、本展企画者)
2018年10月13日(土)15:30-17:00
会場:東京都写真美術館1階スタジオ
定員:50名(整理番号順入場/自由席)入場無料/要入場整理券
※当日10時より1階総合受付にて整理券配布

※そのほかの関連企画は公式ウェブサイトを参照。

 


須藤絢乃〈幻影 Gespenster〉より 2013年 作家蔵 ©Ayano Sudo / 須藤絢乃 Courtesy of MEM, Tokyo

 


 

代官山フォトフェア アーティスト・トーク
登壇者:笠原美智子、須藤絢乃、チェン・ズ、ジェラルディン・カン、黄亜紀(Yaji Huang)
2018年9月28日(金)19:00-21:00
会場:ヒルサイドフォーラム・エキシビジョンルーム(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟)
http://fapa.jp/fair-2018/day/sept-28-friday/3084/

『ジェンダー写真論 1991-2017』から「愛について アジアン・コンテンポラリー」展へ 〜笠原美智子の仕事とアジアの女性写真家の現在〜
登壇者:笠原美智子、金仁淑
2018年10月6日(土)19:00-20:30(開場:18:30)
会場:百年(東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10 村田ビル2F)
http://www.100hyakunen.com/news/201809092409

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